表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/48

番外編 異世界少女は今日も奮闘する

大変お待たせ致しました。

 私の心は浮き浮き気分。何故なら、今日は参観日だからだ。小三になって初めての参観日。今日来てくれるのはシュン様とリグラーだ。

 お母さんとお父さんは、用事で来れなくなった。私が残念に思っていると、シュン様が「亜莉亜、そのサンカンビってやつに、俺達が行ってもいいか?」と言ってきた。

 私は嬉しくて、思わずシュン様に抱きつきながら「勿論」と答えた。


 だが、このとき私はまさかあんなことになるなんて思わなかった。







「皆さん、授業を始めますよ。」


 先生がニコニコ笑いながら言う。私も思わず、つられて笑ってしまう。


「今日のテーマは『将来の夢について』です。皆さん、考えましたか?」


 先生は生徒を見渡して言う。皆一斉にこくこくと頷く。


「それでは、順番に発表していきましょう。」


 私の順番は最後から五番目。私はそれまで、算数の宿題を隠れてすることにした。


 ……86-14はえっと、72ね。73-21は52。45×50……2250だよね。


 気がつくと私の順番まであと少しになっていた。そろそろ宿題を隠さなければバレるわね。発表している子の方を見る。

 発表していたのは夕汰だった。


「僕の夢は、歯医者になることです。僕には歯医者の知り合いがいるのですが―――……。」


 ……歯医者、そうなんだ。


 小さい頃からずっと一緒に居たが、初めて知った。夕汰はきっと立派な歯医者になれるよ。


 パチパチ


 皆に合わせて私も拍手をする。


「はい、次は伊崎亜莉亜さん。」


「はい。」


 名前が呼ばれ、私は返事をして立つ。ちらりと後ろを見るとシュン様とリグラーがこちらを見ていた。


「私の将来の夢は、教師です。私は勉強が嫌いではありません。なので―――……。」






 こうして、参観日は終わった。ここまでは良かった。問題は、帰る前だった。


「シュン様!」


 私は急いでシュン様のところに駆け寄り、抱き付く。


「亜莉亜、お疲れ。良い発表だったよ。」


 そう言って、ふわりと笑うシュン様はとてもかっこ良かった。暫く、三人で話していた。そのときだった。


「あのー……。」


 後ろを振り向くと、若い女性がいた。多分、誰かのお母さんだろう。


「私、磨里葭(まりか)の母です。」


「磨里葭のお母様でしたか。私、磨里葭の友人の伊崎亜莉亜です。よろしくお願いします。」


 私がにこりと微笑んで言うと、磨里葭のお母さんはこちらを向いた。


「あら、丁寧にありがとう。亜莉亜ちゃん、こちらの方たちはお兄さん?」


 磨里葭のお母さんはニコニコと笑いながら言っているが、シュン様を見る目は、まるで獲物を狙っている虎だ。


 ……確か、磨里葭のお母さんはシングルマザーって言っていたような……。成る程ね。シュン様は渡さないよ?



「いえ、俺達は亜莉亜の兄ではありません。」


 シュン様が目を細めて、笑いながら言う。


「そうなんですね。実は、私女手一つで娘を育てているのです。磨里葭の為にもいい人がいればいいのですけど……。」


 ……おっ! 堂々と言ってきたぞ。


「まぁ、そうなんですね。大変なんですね。」


 ニコニコとお嬢様らしい頬笑みを浮かべながら言う私。だが、私の目は笑っていないだろう。

 どうやら、磨里葭のお母さんはその事に気付いたようだ。


「えぇ、かなり大変です。」


 磨里葭のお母さんもにこやかに言うが、目は笑っていない。


「……亜莉亜、リグラー、そろそろ帰るか。」


 私達の険悪な空気を察してシュン様が提案してきた。私は素直に頷く。

 私達は自然と手を繋ぐ。


 そして、三人で話しながら帰宅したのであった。

番外編ですね。本編は……もう少し待って頂けたら幸いです。


良ければ感想、評価、ブクマよろしくお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ