あなたは……
遅れてすみません。最初は亜莉亜視点、後は全て一途視点です。
ポタッポタッ
一粒、二粒と水が流れる。
目を開けようとするが、瞼が重い。それでも、私は無理矢理抉じ開ける。
すると、世界は薄暗かった。頭を動かそうとするが、何かに固定されたようにピクリとも動かない。
仕方なく、視線だけ動かしてみる。よくよく目を凝らして見ると、数メートル先に、男の人がいた。もしかして彼は。
私は声に出して言おうとする。
……貴方は……。
◇◇◇◇◇
「カズト、話を聞いて下さい。」
僕はリグラーの目を見て続きを待つ。暫くして、リグラーは口を開いた。
「貴方達が遭遇した人物は、オレゴン侯爵です。彼は私達の幼馴染でした。」
……なんでリグラーはこんなに冷静でいられるんだ?
「っお願いです! アリアを助けるの手伝って下さいっ!僕一人だけじゃ……」
バシャッ!
僕の髪から水が滴り落ちる。リグラーの手を見ると、グラスが握られていた。つまり、水をかけられたのだ。
「落ち着いて下さい。アリア様を心配しているのは貴方だけじゃありません。」
僕は思わず奥歯を噛み締める。冷静になるために一度、深呼吸をした。
「アリアを助けるにはどうすればいいのですか?」
僕が前を見据えて言うと、リグラーは琥珀色の目を細めて笑った。
「良い表情です。それでは早速、本題に入りましょう。」
リグラーはそう言って過去の話をした。それは、アリアの過去を知るお話だった。リグラーは全て話してくれた。アリアを連れ去った人物のことも……。
「オレゴン侯爵は二ヶ月位前に突然現れました。そこで、急遽私とシュン様が呼ばれました。彼のお馴染みの私達を。」
……二ヶ月位前? もしかして、『用事が出来たので急遽戻ります。すぐに帰って来ます。』と置き手紙を残していなくなったときのことかな。
「そこらへんは……まぁ、今度話します。」
そう言うリグラーの顔は苦虫を噛んだような表情だった。
……色々大変だったんだな……。
そこはあえてスルーしとこう。
「それで、結局アリアを助けるにはどうすれば良いのですか?」
「そう……ですね。まずは追跡魔法を掛けましょうか。何か、アリア様が手にしていた物はありませんか?」
……アリアが手にした物?
僕は魔法が掛けられた青い目を細める。
「あ、ハンカチ。……確か、アリアに借りたハンカチがあります。」
僕はそう言いながらポケットの中をまさぐる。そして、ハンカチを取り出した。それを見たリグラーは琥珀色の瞳を輝かせた。
「流石です。それでは、魔法を掛けましょう。」
ハンカチを受け取りながらリグラーは小さく息を吸った。
『ファンティ・ロータ』
すると、ハンカチから小さな、淡い光が出てきた。その光は何処かへと向かって行く。
「カズト、あの光を追いますよ。」
リグラーはそう言って光の後を付いていく。僕は慌ててリグラーの元へ駆け寄る。
……そう言えば、シュン様は何処へ行ったんだ?
僕はそう思いながら必死にリグラーに付いていくしかなかった。
少し短めですね。次回はもう少し長く出来るように頑張りたいと思います。
それと、ブクマ一件増えていました!ありがとうございます!これからも頑張っていきたいと思います。




