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真実

今回は少し短いですね。

「お母さん、ただいまー!」


「亜莉亜ー? お帰り、早かっ……」


 お母さんは私の後ろを見るなり言葉を失った。


「亜莉亜……この方達は……」


「中入ってから説明していい?」


 私はそう言い、シュン様達を連れてリビングへ入った。リビングにはお父さんもいた。


「亜莉亜、今日早いな。友達と遊……」


 お父さんも固まった。


「あのね、ここにいるみんなに話したいことがあるの。最後まで聞いてくれる?」


 私がみんなを見て言うとみんなは真剣な顔をして頷いてくれた。


「あのね、実は……」


 元は違う世界の住民だったこと、死んでこの世界に転生したこと、シュン様というフィアンセがいたこと、リグラーという護衛騎士がいたこと。

 そしてその二人が会いに来てくれたこと。

 包み隠さず全部話した。

 その間、お母さん達は静かに聞いてくれた。


「私がアスカとして死んだのは十六歳のとき、今から7年前だった。不思議と寂しくなかった。家族や夕汰がいたから……。でもね、とっても不安だったの。住む世界も話す言葉も違う。常識も違う。毎日が不安で仕方なかった。でもそんなとき、シュン様とリグラーが来てくれたの。私もうシュン様と離れたくない。リグラーにもいて欲しいの。シュン様が大好きで、愛しくて、リグラーに守って欲しいの。」


 最後には涙が出た。


「亜莉亜……」


 お母さんが呟く。


「俺は……今でも亜莉亜を愛しています。こんなにも年が離れたけど亜莉亜が居なくて毎日が寂しかった。」


「私は……一生亜莉亜様に仕えると決めました。たとえ、見た目や世界が変わっても……」


 家族と夕汰はしばらく黙っていたがやがて口を開いた。多分、私達の思いが伝わったのだろう。


「亜莉亜、お母さんはね。心の中で亜莉亜はどこか人と違うと思っていた。その理由が今分かったわ。貴女は他の世界の住民だったのね。」


 お母さんはそう言ってニコッっと笑った。それは人を疑っているような笑顔ではなかった。

 そして、お父さんが笑って言った。


「亜莉亜、正直父さんは今でも信じられない。だが、実際こうして目の前にいるしな。だからこうやって説明されると納得できるんだ。」


 お父さんは笑って私の頭を撫でた。


 ……お父さん。


 また、涙が出た。


「亜莉亜、僕は信じるよ。僕はいつも不思議に思っていたんだ。誰も教えてないのにどうしてあんなに言葉使いが丁寧なのか。」


 兄はそう言って優しい眼差しで私を見つめた。


「僕は……亜莉亜ちゃんにどんなことがあっても亜莉亜ちゃんの味方でいるよ。」


「うっ……ぐすっ……お母さっ、お父さん、ぐすっ……お兄ちゃんっ夕汰ぁ……うぅ……。あり、が、とっう……ぐすっ。」


 こらえきれなくて声に出して泣いた。お母さん達はそんな私を優しく抱きしめてくれた。


 ……家族の温もりがこんなにも暖かいものだと思わなかった。……理解のある家族で良かった。


次回はエピローグです。

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