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吉田兼部の超短編−春

超短編 夢を見たいのなら

作者: 吉田兼部

誰だって、青春を謳歌した。それがどんなに無意味だったとしても。


誰だって、騒がしい恋をした。それがどんなに陳腐だったとしても。


そんな若さがあった。恋の為なら、命を進んで削った。後付けの理由なんていらない。くだらないこの世界に絶望し、崇高な自分だけの世界を追い求めていた。


やがて現実が、嗤って襲いかかる。虹色の理想は、燃やされて灰燼に帰す。風に乗って過去へ散ってゆく。


夢を見たいのなら、存分に見るといい。

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