第2ボタン。
今日は卒業式。
そして私には今、好きな人がいる。
一つ上、三年生の吉良先輩。
私は吹奏楽部で、先輩は野球部。
だから、試合の応援として、観戦してた。
カッコいいけど、私には届かない存在。
先輩は、大半の女子に人気だった。
去年のバレンタインデーは、自分が手作りのチョコを入れようとロッカーまで行くと、既に満杯であり、ロッカーの前に長蛇の列が出来る程だった。
そのときは諦めて、帰って自分で食べたんだっけ。
でも今年は、バレンタインの日に、野球部から吹奏楽部に、感謝の気持ちを伝える会があって、会の後に渡す事が出来た。
みんな会の始まりから持っていて、準備遅れて最後になっちゃったんだけど。
それから少し話すようになって。
でも、次の日、先輩は、同じクラスの人と付き合う事になったって噂が流れてきて…
帰ってから、諦めようって決心したの。
でも、心のどこかに諦めきれない気持ちがあって……
噂が嘘だったと知った時には、一人で舞い上がってた。
届かない恋なのに。
そして、今に至る。
先輩…格好いいなぁ…
終始、先輩を見ていた。
途中で気づかれて、目が合った時、少し笑顔だった。
心臓が破裂するかと思った。
なんとか耐えた。
ようやく式が終わった。
3年生は教室で最後の学活が行われている。
1、2年生は体育館の片付けをする事になっていた。
いつ終わるのか、いつ終わるのか。
式中よりもドキドキしていた。
卒業式の後の大イベントがあるから。
よく少女マンガや小説で見る、
第2ボタンをもらう、あのイベント。
おそらく沢山の女子がドキドキしていると思う。
更に、第2ボタンは一つしか無いのだ。
だから、私がもらうなんてことは無い。
何期待してんだ。自分は。
ついに片付けが終わり、卒業生と1、2年生が自由に話せる時間があった。
先輩を探していると、急に誰かに手を掴まれた。
だ、誰!?
戸惑いながら、その手の先を見た。
吉良先輩だった。
「え、あ、ちょっと、先輩!?」
状況を飲み込めず、パニックになっていた。
先輩を追いかける女子から逃げるように、体育館裏に走った。
手を繋がれている。
ヤバい。すっごいドキドキする。
胸の高鳴りを感じながら、一緒に走った。
手…おっきいな…
走る事に必死になっていたからか、聞くのを忘れた。
「せ、先輩!?私を…なんで…」
「ふぅ…やっとまけたかな…」
「先輩!?聞いてますか…?先輩?」
「はい。これ、受け取ってくれるかな?」
先輩の手を見ると、ボタンがあった。
「これを渡そうと思ったんだけど、なかなか女子も足速いなぁ…いや、部活やらなくなって鈍くなったかな?」
明るく話している先輩と、状況が理解できていない私。
しばらく沈黙が続いた。
「せ、先輩…ボタン、もらってもいいんですか?こんな私が…」
「うん。あ、あと、すごく言いにくいんだけど…」
先輩は続けた。
「俺と………
春の風が吹いている今日は、私にとって忘れられない1日となった。
結局ありがちなモノになってしまいました、、、
しかし、満足。
私自身も、今日で卒業なので、すっごいこの時に書きたくて。
読んで頂き、ありがとうございました!
いやー、青春だー((おじさん