第一話:藩王様の最初のお仕事②
◇闇夜の追跡◇
GM:まず一つ目、ここで戦闘があったのは間違いないね。一応その痕跡を隠蔽しようとしたみたいだけど、そこまできっちりとはされてない。
ナザル:戦闘の痕跡は一回だけか?
GM:それが二つ目だね。戦闘は二回起きてる。鉱山の方からやってきているボーアの足跡が複数あるんだけど、それがこの辺りで突然ぐちゃぐちゃに入り乱れているね。
レアン:さっきの透明な奴から不意打ちを食らったのかもしれんな。
GM:ちなみに二回目の戦闘の痕跡は、一回目のに比べて明らかに隠蔽が雑だよ。
リュミエ:二回目の時には、監視として残されてた奴しかいなくて手が足りなかった、ってところかな?
サージュ:なるほど。
GM:三つ目。トロール、ボガード、コボルドの死体が近くに埋められていたよ。身に着けているものからロートレック家の兵士だとわかる。
リュミエ:死因、というか殺害方法は特定できる?
GM:「レンジャーorセージ技能+知力ボーナス」で目標値15かな。
セレスト:(ころころ)成功していますわ。
GM:えーと、剣や鉤爪による切り傷や衝撃属性と思われる打撃の痕が見て取れるよ。
リュミエ:剣はともかく、鉤爪に衝撃属性か……
GM:それと、埋められている死体は蛮族のものだけです。ボーアや輸送隊にいたはずの人族の奴隷なんかは見当たらないね。
ナザル:戦利品として持っていかれたか。
レアン:我が兵士を殺し財産を奪っていった、と。絶対に許さんぞ。
サージュ:うーん。奴隷は一般人ですよね。戦闘に巻き込まれて死者が0なのも変じゃないですか?
セレスト:奪う目的で殺さないようにしていたか、死んでいても食料として持っていかれたということもあり得ますわよ。
サージュ:そうなのでしょうか……あ、ちゃんとした埋葬は後回しとしても、祈りを捧げるだけでもしておきますね。
セレスト:それは私がやった方が良さそうですわね。おそらくダルクレム信者でしょうし。
GM:それはそうかもね。了解。そして四つ目。この場から林の中へ向かって入っていく足跡を見つけたよ。こっちは頑張って隠蔽してあったけど、リュミエに見破られたね。達成値的に、妖精たちが見つけてくれたのかもしれないけど(笑)
リュミエ:ありがとう兄弟(笑)これで追跡はできそうだな。
GM:最後、五つ目。サージュがキルヒアによってもたらされた直感に従って地面を掘ると、羊皮紙の切れ端が出てきました。わずかにインクの跡がついてるよ。えーと、本来は知名度は存在しないものなんだけど、切れ端だし目標値15で見識判定かな。
サージュ:(ころころ)成功しましたけど、知名度が存在しないって、もしかして……
GM:ある意味、サージュが見つけることになったのは運命かもね。これは〈魔神の契約書〉の一部だ。使用した時の燃えカスを見落としていたんだろう。
使用した〈魔神の契約書〉がどうなるのかは特に記述はないが、この卓では燃え尽きるという解釈になってる。
サージュ:やっぱりそうですか。……フフフ、キルヒア様が魔神を滅せよと命じておられるということですね。頭の光がかなり激しく点滅してます。
セレスト:こ、これは……サージュ、怒っていますの?
サージュ:いいえ、怒ってなどいませんよ、お嬢様。魔神は世界の敵。淡々と滅ぼすのみです(ぴかぴか)
セレスト:……こんなサージュは初めて見ましたわ。
ナザル:ふむ。魔神で透明となると、真っ先に思い浮かぶのがいるが。
GM:今までの情報で魔物知識判定していいよー。
サージュ:【ペネトレイト】入れて(ころころ)18です。
GM:皆さんのご想像通り、ゴードベルだね。弱点値は19だけど、どうする?
レアン:(ころころ)我もナザル殿も6ゾロは出ず。正直、指輪消費してまで弱点を抜くほどの相手でもない気もするが。
サージュ:(データ確認)単体ならそうですが……わずかでも早く倒せる可能性を上げるためにも、ここは割っておきます。予備もありますしね。
セレスト:良いと思いますわよ。物理ダメージですし、無駄にはならないでしょう。
リュミエ:デーモンルーラーが出てくるとなると、連れていかれた奴隷は生贄にされてそうだな。死体も供物にするだろうし。
サージュ:すぐにでも足跡を追っていきたいところですけど、もう日が沈むんでしたね……
GM:一時間もしないうちに沈むね。
セレスト:私たちの存在はすでに知られているわけですし、悠長に夜が明けるのを待っていては逃げられてしまうかもしれませんわ。ゴードベルをわざわざ監視に残していたということは、敵の居場所はそこまで遠くないと思うのです。
レアン:ん?そもそもデーモンルーラーが使役している魔神なら、最大一時間しか解放しておけないのではないか?まあ、敵がルールを超越してモンスターを使役するのはよくあることだが。
セレスト:……確かにそうですわね。デーモンルーラー技能で従えた魔神に、監視の仕事をさせるのは難しいですか。
リュミエ:そういうことが可能になるマジックアイテム、とかなんでもありっちゃありだしなー。
GM:そこはスルーでオナシャス!
サージュ:ぶっちゃけますね(笑)
GM:だって、そうでもしないとゴードベルの能力活かせないんだもん。
セレスト:なるほど(苦笑)
リュミエ:マジックアイテム戦利品にしてくれてもいいのよ?(笑)
GM:使えなくても怒らないように(笑)
シナリオをチェックしたときに気付いてはいたのだが、いい修正方法も思いつかなかったのだ。
セレスト:ともかく、敵がそこまで遠くにいないというのは、間違っていないと思うのですわ。
ナザル:ちなみにだが〈穢れのナイトバイザー〉は六時間分ある。
サージュ:ならいけるでしょうか。よく考えてみたら、私は暗闇のペナルティを受けても、あまり問題ありませんし。
レアン:GM、足跡が向かっている方向に拠点にできそうな場所があるか、心当たりは?
GM:うーん、本来の使い方とは違ってくるけど、地形の把握ってことで地図作成判定をしてもらおうかな。高いほどより詳細にわかるよ。
サージュ:(ころころ)20。私が一番高いですか。生まれ故郷への道だからでしょうか(笑)
GM:ここから5キロほど進むと崖になっている。その下も林が広がっていて、上からではわかりづらくなっているね。
リュミエ:そこまで広大だと、林と言うのには違和感があるな(笑)
GM:あー……いや、森だと木がが密集していて動きに制限がかかりそうじゃん?だから空間に空きがあるという意味で林って言ったんだよね。
リュミエ:そういえば最初に言ってたね。オッケー、広大な林が広がっていると。そうすると、上空から遠めに見ると、崖なんてなしに連続しているように見えるのかな?
GM:そうだね。だから崖の下に死角ができてる。
セレスト:なるほど……5キロなら、その崖までは行ってみましょうか。
レアン:我も異存はないぞ。ナザル殿、よろしいか?
ナザル:ああ、問題ない。
リュミエ:了解だ、お嬢様。それじゃGM、足跡追跡判定していいかな?
GM:いいよー。目標値は19。
ナザル:そこそこ高いな。そういえば、もう暗くなっているか?
GM:そうだね。この判定からペナルティが入ることにしようか。
ナザル:了解。〈穢れのナイトバイザー〉を装着しておく。
リュミエ:毎度の【フェアリーウィッシュⅡ】(ころころ)発動。からの、頼むぜ兄弟(ころころ)ぐふっ、50点……すまん、お嬢様(がくり)
セレスト:(ころころ)大丈夫ですわ。出目11で21です。
サージュ:流石です、お嬢様。
リュミエ:お嬢様に助けられたか。ここでのピンゾロはシャレにならない……
GM:危なかったね(笑)それじゃ問題なく追跡できるけど、隊列決めておいてね。
セレスト:昼間と同じ……と、言いたいところですけれど、私が先頭でなくてはおかしいですわよね?
サージュ:お嬢様しか成功してませんものね。
レアン:ならば我と先頭――
リュミエ:お嬢様とレアン様と位置を入れ替えるのが、ちょうど良さそうかな?
セレスト:そうですわね。お兄様、バックアタックへの備えをお願い致しますわ。
レアン:……う、うむ。我に任せておけ!
ナザル:妹殿に危険が無いよう、俺がしっかりとサポートしよう。レアン殿、安心してくれ。
レアン:ああ、頼んだぞ、ナザル殿。
◇見えざる敵◇
GM:月明かりの下、一時間半ほど進んだところで、遠目に崖が見えてくるよ。まだ下の様子はうかがえないね。
セレスト:一旦停止ですわね。ここまでにゴードベルの気配はありませんでしたの?
GM:なかったね。
リュミエ:先に隠密できるメンバーだけで、崖の下を探ってきた方がいいかな?
セレスト:私は敏捷低い上に金属鎧ですので、隠密は厳しいですわ……
ナザル:先行するなら俺一人の方がいいだろう。残った側に何か起きないとも限らんしな。隠密は得意だ、任せておけ。
リュミエ:崖の上なら視界内だし、その方がいいか。念のため通信可能にしておきたいけど……この状況で使い魔はちょっと怖いな。【シークレットボイス】は……効果時間3分じゃ短いか。
レアン:ならば【ドール・サイト】をかけた人形を渡しておこう(ころころ)よし、これを適当に括り付けておいてくれ。ハンドサインをいくつか決めておけば、離れてしまっても大丈夫だろう。
ナザル:よし、わかった……ん?これ、レアン殿が動けなくなるのではないか?
レアン:動けなくなるのは【リモート・ドール】の方だな。こっちは視覚のみの代わりに体は動かせるし、魔法を解除せずに自由に視界を切り替えられるから、かなり使い勝手がいい。
ナザル:そうだったか。なるほど、便利なものだな。
サージュ:ところでレアン様。その人形って、ひょっとしてお嬢様がモデルですか?
レアン:何を言うか、妹モデルの人形は鑑賞用だから、魔法に使ったりはせん。
リュミエ:なるほど(笑)
セレスト:……後で処分しましょう(ボソ)
GM:データ的にはぬいぐるみなんだけど、鑑賞用ってどんなのだ(笑)
ナザル:さて、準備はこれくらいか。では、崖の際まで近づくぞ。
GM:オーケー。では隠密判定をどうぞ。
ナザル(ころころ)低めだが、もろもろ足して21だな。
GM:(ゴードベルだと気付けないな)ではナザル、君は闇の中、音もなく崖際まで移動できた。今のところ、誰かに気付かれた気配はないね。
ナザル:ふむ。崖の下を覗いてみるが。
GM:崖の高さは20メートルくらい。崖下にテントが三つ並んでいるのが見えるよ。奴隷らしき格好の人族が五人、どうやら荷造りをしているっぽいね。
ナザル:ビンゴか。姿が見えるのは奴隷だけか?後、明かりは?
GM:格好はみんな奴隷っぽいね。明かりは見当たらないよ。
セレスト(待機中):明かりがないのですか?発見を恐れてということでしょうか。
リュミエ(待機中):格好だけで、奴隷じゃないって可能性もあるかな?
ナザル:そうだな……動きから明かりがなくて不便をしているかどうかはわからないか?
GM:うーん……まあわかるか。そんな様子はなさそうだね。
ナザル:むう。少し不安になるな、それは。まさか、奴隷がみんな暗視持ちの種族ということはないだろうし。
レアン(待機中):我が領の奴隷の種族が、やたら偏っているという事実は?
GM:ないね。だいたい人口比通りに人間が一番多いはず。
ナザル:……怪しいが、ここで悩んでいてもしょうがあるまい。崖を降りられそうな場所はあるか?
GM:見渡せる範囲で一番降りやすそうな場所が、30メートルほど右手側にあるんだけど……えーと、ナザル、ここで危険感知判定をしてもらおうかな。
ナザル:奴か?(ころころ)20だが。
GM:崖を降りる場所を探すために周囲を見渡すと、30メートルほど離れたところに、見えない何かがいることに気付いたよ。というか、その降りやすそうな場所の近くにいる。
セレスト(待機中):そこから降りるとふんで、張っていましたか。
ナザル:耳飾りを借り受けて正解だったな。奴はまた逃げようとするか?
GM:あ、ゴードベルはナザルには気――って、〈蝙蝠の耳飾り〉は位置が分かるだけだし、どっちを見ているかとかわかるわけないじゃん。
ナザル:ほう、こちらには気付いていないのか(ニヤリ)
GM:ああ、うん。少なくとも逃げる様子はないね。
ナザル:(データ確認)ふん、俺一人でも問題ないな。30メートルなら通常移動で接敵できる、ここで始末しておこう。
サージュ(待機中):ええ、魔神は速やかに始末するべきです。
リュミエ(待機中):放置してオレがバックアタックされると死ねるしな(苦笑)
ナザル:一応、人形を通じて、攻撃を仕掛ける意を伝えておいて、先制判定に入っていいか?
GM:いや、距離30メートルで攻撃をしようとしている全員が、隠密で相手の危険感知を上回っている……つまり、不意打ちが成立している。
ナザル:おっと、確かにそうだな。
GM:もちろん、正々堂々と名乗りを上げて戦いを挑んでもいいよ。
ナザル:そんなことはせん(笑)
GM:デスヨネー。ゴードベルは固定値を使うよ。それじゃ、行動をどうぞ。
対ゴードベル戦開始!とはいうものの――
ナザル:ゴードベルの固定回避値は18か。透明のペナルティは不意打ちで相殺してるから、【キャッツアイ】使うまでもなくピンゾロ以外当たるな。
セレスト(応援中):流石の命中力ですわね。
ナザル:【マッスルベアー】《天地投げ》(ころころ)命中して(ころころ)24点。
GM:14点食らって転倒。
ナザル:《踏みつけ》(ころころ)当たって(ころころ)回って(ころころ)28点。
GM:18点食らって……もう半減してる。
ナザル:《天地投げ》の必要なかったか、これ。《ファストアクション》分で、さらに投げ(ころころ)まあ当たる(ころころ)ピンゾロ!《踏みつけ》(ころころ)当たって(ころころ)21点。
リュミエ(応援中):《天地投げ》の意味あったな(笑)
GM:生き残ったどー。起き上がって……攻撃しかないっすね。
ナザル:《天地投げ》カウンター。パストラルの奥義を見よ!(ころころ)成功(ころころ)レベル分足して37点だな。
GM:ナザルの投げによって地面に叩きつけられ、ゴードベルは動かなくなる。ぴったり十秒でやられたなー。
常時透明という強力な特殊能力を持つ替わりに、ステータスはレベルに対して低めのゴードベル。自分が不意打ちを食らってしまっては、こうなるのは必然である。
レアン:ナザル殿が戦闘に入った時点で、そちらに向かったということでいいか?戦闘に入った時点でこちらのことはバレているだろうし、隠密もなにもあるまい。
GM:(気付くのは倒された時点だけど、ほとんど変わらないか)まあいいかな。すぐに合流できるよ。
サージュ:ナザル様、魔神は?
ナザル:そこに転がっている。1ラウンドで始末できたのは、弱点が分かっていたおかげだ。助かった。
リュミエ:すぐにでも崖を降りたいけど、下の様子はどんな感じ?
GM:あ、リュミエが下をうかがうなら、テントのそばの明かりに気付くよ。傘がかぶせてあるけど、かなり明るいね。
リュミエ:おや。今の戦闘で気付かれてつけた、って感じでもないのかな?……もしかして〈妖精のランタン〉?
ナザル:ああ、そういうことだったのか。
セレスト:サージュのために明かりを用意してくれているなんて、親切ですわね。
GM:下にいた奴隷たちは特に変化ないけど、テントから誰か出てきそう。
リュミエ:よし、すぐに降りよう。判定は?
GM:この場所は崖というよりも、急な斜面に近い。目標値15の軽業判定に成功すれば降りられるよ。達成値が足りない場合は、不足分の倍の高さから落下したものとしてダメージを受ける。上限は20メートルだけどね。
セレスト:私の軽業の基準値は3ですわ……
サージュ:大丈夫です、お嬢様。私は-4です。
リュミエ:まったく大丈夫じゃねー。レアン様に降ろしてもらった方がいいな。
レアン:任せろ、と言いたいが、一度に二人は無理だよな?
GM:一回に降ろせるのは一人までだね。往復するとなると途中で敵が来るかもね。というか、ぶっちゃけると、1ラウンド経過で来るよ。
サージュ:20メートルなら、最悪、私は上にいたままでもなんとかなりますけど。
レアン:待て。GM、我が竜化すれば二人とも降ろせないか?
GM:うーん……竜化後は三部位だし降ろせるとしようか。でも竜化に1ラウンドかかるよね?
レアン:ここまで移動したラウンドでは主動作は行っていない。敵が動き出すのを見て即座に竜化すれば、次のラウンドで降ろせないか?
GM:なるほど、よし許可しよう。ただし、レアンにつかまる二人もつかまる以外の行動はできないとするね。
セレスト:わかりましたわ……チッ、賦術入れたかったのですが(ボソ)
リュミエ:お嬢様、猫、猫取れてる(笑)
レアン:では、敵の行動に素早く反応して竜化!少し減っていたMPも回復したぞ。落ちた装備は、ストーンサーバントに見張らせておくか。
GM:あ、収納するアイテムは?
レアン:おそらくボス戦だろうし、魔晶石と魔符を全部収納してしまおう。あ、クリスタルは残す。さあ妹よ、この兄につかまるのだ!
セレスト:……この場は仕方ないですわね。サージュ、貴女もつかまりなさい。
サージュ:はい、お嬢様。レアン様、失礼致します。
ナザル:……これ、降りやすい場所など無視して、全員レアン殿に降ろしてもらえば、気付かれずに降りれたか、ひょっとしなくとも。
一同:……あ。
GM:(うん、隠密成功してたしその方法も取れたんだよね)
ナザル:仕留められる状況だったから思わず殺ってしまったが、罠だったか(笑)
リュミエ:まあ、ゴードベル放置はそれはそれで怖かったし、しょうがないさ、うん。
セレスト:やってしまったことは、もうどうしようもありませんわ。反省は後に致しましょう。
GM:それじゃ、自力で降りる二人は判定してね。
リュミエ:兄弟を呼んでる時間はないなー(ころころ)危ない、ぴったりで成功。
ナザル:(ころころ)問題ない。
GM:リュミエとナザルが素早く斜面を駆け降りたところに、テントから男たちが駆け付ける。彼らが目にするのは、悠然と舞い降りる竜の姿。
セレスト:そこだけなら格好良いのですけれど、私たちがぶら下がっているのがマイナスですわね(笑)
レアン:はっはっは。出迎えご苦労、不埒者ども。我が領で働いた狼藉、お前たちの命で贖ってもらおうか。
◇マジンスレイヤー◇
GM:走ってきたのは見た目人間の男が三人。だけど、そのうち一人は途中で額から角を生やした巨人へと姿を変えるよ。下半身は山羊みたいになってる。
リュミエ:苗床に封入された魔神か。
GM:君たちは降りてきた直後なので、今同一の座標にいるものとするね。巨人は君たちから15メートル離れた地点、後の二人はさらに10メートル離れた地点にいるよ。
セレスト:露骨に範囲魔法を警戒した配置ですね(笑)
GM:(単純に移動力が足りなかったって理由もあるんだよね)まあ、否定はしないよ(笑)それで、君たちから見て、右側には自由に移動できるけど、左側は崖なので移動できないからね。
レアン:状況は把握した。それで、何か口上はないのか?死ぬ前に言い残したいことがあるなら、聞いてやる慈悲くらいはあるぞ。
GM:ではお言葉に甘えまして……残った男二人の内、戦士っぽい見た目の方が「あのドレイクは……まさか藩王自ら出てきたのか!?やはり、奴隷など捨てて離れるべきだったのでは?」と言うけど、魔術師っぽい見た目の方が「せっかくの生贄をむざむざ捨てていけるか!高々バロン程度、返り討ちにしてくれる」と返すね。あ、蛮族如きに話しかけたりはしません。
レアン:……ほほう、バロン程度と言ったか。元より殺すつもりだったが、特別惨たらしく殺してやろう(怒)
リュミエ:そう言うってことは、敵もかなりの実力か。まあ、魔神のほうはだいたい想像つくけど。ところで何語喋ってるんだ?
GM:……あ、ごめん。よく考えたら、君たちにはわからない言語だった。話しかける気ないのに、交易共通語使ったりはしないよな。
セレスト:つまり、共通する母語というわけですわね。見た目人間なら地方語でしょうか。
サージュ:魔神の手先が何と言おうが、気にすることはありません。交易共通語で言いますね。「魔神とその手先たち、お前たちはこの世界にいてはならない存在。速やかに消え去りなさい」同時にキルヒア様の聖印を掲げて光ります。
GM:便利だなフロウライト(笑)なら魔術師風の方が「キルヒア神官がなぜ蛮族領域に!?それに、誰が魔神の手先だ!私は魔神を従えているのだぞ!」と怒って言うよ。
サージュ:ハッ(嘲笑)哀れなものですね。己が魔神に使われていることすらわかっていない小物でしたか。
セレスト:……魔神がかかわると、サージュちょっと怖いですわね(汗)
ナザル:はっはっは。殺る気があるのは、いいことではないか。
レアン:言い残すことはそれだけか。では死ね。
GM:それじゃ、まず魔物知識判定だね。知名度は男二人が13、巨人が18で、弱点は巨人だけで22だよ。
サージュ:巨人にだけ【ペネトレイト】入れますね(ころころ)20なので指輪割ります。
GM:抜かれたか。魔術師風の男が邪悪な魔神使い、戦士風の男が手練れの神官戦士、巨人がフォルゴーンだね。
セレスト:フォルゴーンは予想通りですが、男二人は初めて聞く敵ですわね?
GM:半オリジナルモンスターだからね。邪悪な魔神使いは、邪教の高司祭の神聖魔法を召異魔法に置き換えたもの。手練れの神官戦士は上級騎士から《かばう》関係と鼓咆を削除、替わりに神聖魔法9レベルと召異魔法1レベルが生えてMP+30、加えて《魔法拡大/数》《マルチアクション》《足さばき》を習得しているよ。どっちも種族は人間で、神官戦士が〈妖精のランタン〉を持っているよ。
レアン:ふん、それなりに強いな……ん?召異魔法1レベルって、こいつ、まさか……
サージュ:神官戦士も魔神の苗床にされているんですか。単なる被害者という可能性も――
GM:あ、信仰する神はラーリスで魔力は12だよ。
サージュ:――なかったですね。ラーリス信者はある意味、魔神より許しがたき存在です。
リュミエ:騙されて埋め込まれたのかな。フォルゴーン倒したら、今度はこいつが魔神になりそうで面倒だなー。
GM:それと、フォルゴーンは独立したモンスターじゃなくて、あくまで魔神使いが一時解放している魔神として扱うね。具体的には、「フォルゴーンは魔神使いの指示がなければ行動しない」ことと、「【コマンドキャスト】なしでは神聖魔法が使えない」という制限がある。魔神使いが死んだら、その時点で永久解放されるけどね。
リュミエ:魔法の制限は結構大きいな。先に魔神使いを気絶させられれば楽だけど、この状況じゃ難しそうか……
レアン:今の我は三部位だから、全力移動で迂回すれば止められないが。
リュミエ:神官戦士にも魔神が封入されていた場合、下手に単独で突っ込むと、フォルゴーン永久解放して次の魔神を解放ってされた時が怖すぎるんだよね。
GM:魔神が封入されているかどうかは、実際に解放されるまでわかんないからね!後、魔神使いと神官戦士には剣のかけらが五個ずつ入ってるよ。フォルゴーンはなし。
ナザル:かけらそっちに入っているのか。フォルゴーンはあくまでボスが使役しているだけ、という扱いなのだな。
GM:だね。ただ、トレジャードロップの追加HPが全部位に30ずつ載ってるけど。
ナザル:おい(笑)レベル分のかけらよりも増えているではないか。
セレスト:なかなか厳しそうですわね……
サージュ:大丈夫です、お嬢様。キルヒア様のご加護がある限り、魔神になど遅れは取りません。
セレスト:サージュ……私、ダルクレム神官なのですけれど(ボソ)
GM:敵の説明はこれくらいかなー。では次に弱点隠蔽判定を、自力で魔法使えないけどフォルゴーンが一番高い(ころころ)はっはっは、26を目標値にしてね。
レアン:高いな、それは(ころころ)24……むう、変身前なら〈知性の指輪〉割れたんだが、今は割ると知力ボーナスが落ちてしまう。
セレスト:6ゾロオンリーですわ……(ころころ)ダメですね。
ナザル:(ころころ)まあ無理だが、土属性ダメージは飛んでこなさそうだな。
GM:リザードマンも卑怯な弱点であったか。次は先制判定を、こっちは19だね。
サージュ:【イニシアティブブースト】Aで入れますね。
ナザル:(ころころ)成功だ。
リュミエ:(ころころ)オレも成功。
GM:オーケー。それじゃ、戦闘開始だ!