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受験の、季節です

紅葉も真っ盛りになる頃、三年生は一気に受験の雰囲気にかわりました。

受験対策の補習があったり、過去問を先生に貰ったり、授業の合間の休憩時間もカリカリ勉強している子がいっぱいです。

もちろん私達も勉強してますよ。


「教科毎に小テスト、実力テストに、模擬試験。過去問対策テスト、補習でもテスト。あと、面接の練習……」

「あぁぁ、かなちゃんが受験前に燃え尽きているわ」

「早苗、燃え尽きたらそこで終わっちゃうから、かなをたたき起こしなさい」

「はーいっ」


由紀乃ちゃん辛辣。そして早苗ちゃん、ニッコリ笑ってマジで背中叩かなくても…。かなちゃんが痛みに悶えてるよ? どんだけ力入れたのさ?


「晶子ちゃん? ぼうっとしてどうしたの?」

「ん? ううん、何でもないよ。ちょっと眠いだけだから」


早苗ちゃんに顔を覗き込まれて首をかしげられました。

苦笑して首を振る。寝不足な原因は分かっているのでね。


昨日、亮くんが突然うちに来て、何があったさぁ話せ。と両肩掴まれて揺さぶられたのですよ。

いきなりすぎて、私何かやらかした!? って焦ったよ。

飯塚先輩に絡まれ (?)た後だったから余計に…飯塚先輩から亮くんに話が振られたかと…。うん、きっと連絡先とか知らないし、大丈夫。何もない。


大丈夫だと、何もないと言い続けて、それでもジットリと疑わしげに見られながら、亮くんを何とか家に帰しました。

本当、いきなりすぎて何やったの私? って考えちゃったよ。

直後に普通に帰ってきた光希に少しイラッとしてしまったわ。


「筆記試験はまぁ、置いておいて……面接試験が、気が重いよぅ」

「晶子ちゃん別に人見知りじゃないじゃない」

「う~ん。普通に話したりは大丈夫だけどさぁ。面接試験って、いかにも全て検査してますっ! 見てます! って感じしない? あの雰囲気が苦手」

「あ~分かるぅ。私の場合ついふざけそうでさぁ。……先生にも、頼むからはっちゃけるなよ。って言われてる」


担任の先生に朝の挨拶のように言われてるらしい。

かなちゃん、一体クラスで何をやらかしたのさ?

早苗ちゃん? あ、黙秘ですか、そうですか。あんまり人に迷惑かけちゃダメだよ?

……そう言えば、去年の文化祭で一人だけねじり鉢巻してたね、かなちゃん…。めちゃくちゃはっちゃけてたね…。

かなちゃん、頑張れ。


「早苗と晶子は同じ高校を受けるのよね?」

「そうだよ。受験の日も一緒に行く予定」

「ね~。……そして受験が終わると光希がスタンバイしてうちに強制連行されるから、早苗ちゃん、おばさんに言っておいてね」

「え?」


目をパチクリさせてますが、多分っていうか、絶対高校の門前で待ってるよ光希。もしくは光希と亮くんの二人。

だんだん似てきたんだよね…光希と亮くんが。


「予想が斜めにかっ飛ぶと、更にそこにうちのお父さんが車で来ちゃうっていう…」

「…逃げ場がないわね…」

「ええっ!? 私も? 私も晶子ちゃんちに連れていかれるの?」

「だって早苗ちゃん…亮くんと光希だよ?」

「「あきらめなよ、早苗 (ちゃん)」」

「ぁぅぅ……」


由紀乃ちゃんとかなちゃんは、流石小学校から一緒にいるだけあってもう慣れっこです。

早苗ちゃんは自分が巻き込まれたこと、あんまりないからね。まだ慣れないよね。

でも諦めて。言っても、更に言い返されて丸め込まれて終わりだから。


「受かれば晶子ちゃんとはまた三年一緒だけど、二人とは離れちゃうのかぁ」

「まぁ仕方ないといえば仕方ないんだけど……寂しいよねー」

「春休みは遊ぼうね!」

「もう春休みの話?」


由紀乃ちゃんが呆れたように笑った。

そして早苗ちゃんも、諦めたように笑いました。





冬休みまでは小テストや面接練習で日々を過ごしました。

流石に、受験の年なのでハロウィンやクリスマスに集まったりすることはなく、家族でちょっとケーキ食べたりするくらいで終わりました。


しかし、なんと!

クリスマスプレゼントが携帯電話でした!!


「わぁ! 良いの!?」

「本当は高校受かったら、って思ったけど。受験の日にもあると便利かしらと思ってね」

「父さん達と同じ携帯会社だから、家族割も効くしな」

「インターネットやメールばかりやらないようにね。あと、もし高校が持ってきてはダメな場合はちゃんと家に置いておくのよ?」

「うん、ありがとう!」


携帯電話!

`前の時´は母子家庭だったから流石にそこまで贅沢出来なくって、大学に入ってから自分で買ったの!

それが、まさか高校前に持てるなんて!

勿論中学は授業に関係ないものは持ち込み禁止なので、持っていきませんよ。


「あ、そうだ。父さんと母さんの番号は登録してあるからね」

「それと、これね」

「? それは?」


お父さんに言われて電話帳を開けば、既に二件登録してありました。

……うん、なにかあった時のために、会社やパート先の番号を登録するのはわかるけどね? 誕生日とか血液型は、登録しなくても良いんじゃないかなぁ?


お母さんに渡されたのは、携帯の電話番号を書いた紙でした。

とりあえず受けとりましたが、誰の番号?


「亮太君の携帯も、晶子と同機種だから」

「え、ぁ、はい」


つまりこれは亮くんの携帯番号ですね。

メールアドレスは? あ、自分で作るからまた今度?

デフォルトだと広告メールとか危ないメールとかくるもんね。


ちなみに、私は電話帳はフルネームを敬称無しで登録するタイプです。

なので『か行』しか埋まらなかったです。

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