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修学旅行、最終日です。
今日は歌舞伎を見てから帰宅です。
歌舞伎といっても、日本の昔話が題材になったものなのでそんなに難しくはないそうです。
歌舞伎ってだけで、充分難しいとは思うんだけどなぁ。
「歌舞伎座の舞台って、不思議な形状よね」
「花道って、真ん中じゃないんだね~」
「椅子スッゲェふかふかだなっ」
「堀君、これ座布団が低反発素材って書いてある」
開演まで時間があるので、皆物珍しさからキョロキョロ、きゃいきゃいしています。
一般のお客さんもいるので一応声は押さえてますよ。
学校で事前に配られた、歌舞伎の演目のプリントをもう一度見る。
今日観るのは`桃太郎´です。
……もう一度言います。`桃太郎´です。
歌舞伎で桃太郎って、どんなん? とか思いますよね?
えぇ、私観たはずなのに、`前の時´の記憶がほぼありません。
あんまり興味なかったから、テキトーに眺めて終わったんだろうな、`前の時´は。
「話の流れは、まんま昔話のそれよね」
「桃太郎か? 猿、犬、雉がどんな風に出てくるかが疑問だよな」
亮くんが私の持ってるプリントを覗き込んで来たので、見やすいようにプリントを動かす。
ついでに体も動かしたら、頭がちょっとぶつかった。
「いたっ」
「大丈夫か、晶子?」
「うん、ごめん亮くん」
へらりと笑って、二人でプリントに目を向ける。
あーだこーだと話の予想や演者の衣装の予想なんかをして開演を待ちました。
しなちゃんやめぐちゃんがニヤニヤしながら私達を見ていたなんて気付かなかったです。
堀君が呆れていたのも、木内君がクスクス楽しそうだったのも、視界になんか入ってなかったですよ、えぇ勿論。
「……ほぇ~」
「すごかった……」
「晶子、口開いてる」
歌舞伎終演です。
内容? すごかった。
どうすごいって、とにかくすごかった!
衣装キラッキラだし、猿、犬、雉も人が演じてるのに動きが細かく動物っぽいし、結構な大立回りしてたのに肩で息するとか一切無いし!
音楽も、唄? 台詞? も厳かって言うの?
とにかく、とってもとってもすごかった! 子供向けの話だと思ってたけど、歌舞伎って凄い! 感動ですよ!
あ~、自分の語彙力の無さが悔しいくらいに、説明が出来ないようっ!
「すごかったね~」
「すごかった…」
皆もそれしか言えないみたいです。
仕方ないよね。
歌舞伎を見終わったら、バスに乗って駅へ行き、新幹線でご飯を食べながら帰ります。
移動の時間の関係で、今日はお弁当です。
新幹線で食べるお弁当って、何か嬉しいよね。私だけかしら?
「お~、炊き込みご飯だ」
「お饅頭が入ってる!」
「結構ボリュームあるねぇ」
「晶子、無理はするなよ」
行きと同様にボックス席にして、皆でお弁当を食べます。
炊き込みご飯に煮物、焼き魚と唐揚げ、ほうれん草のごま和えにひじき。あとキャベツの千切りがあって、左端にピンク色のお饅頭が入ってます。
食べきれるかちょっと心配なボリュームです。
「頑張って食べます」
「…頑張るんじゃない」
新幹線は車と違ってあんまり揺れたりしないから、酔いはしないと思うの。
だからきっと食べれるよ。
……時間がないからって車内でご飯食べて気持ち悪くなったことがあるのは、小学校の時だし。大丈夫大丈夫。
あの時は亮くんと光希に挟まれて吐くに吐けずって感じだったから……辛かった。色んな意味でね。
しなちゃんやめぐちゃんと他愛ないお喋りをしながらちょっとずつ食べていったら、結構食べられました。
けど、お弁当ってご飯多いよね、これは流石に全部食べられなかったので、亮くんにあげました。
しなちゃんとめぐちゃん、堀君は完食してました。
木内君も、私と同じくご飯を少し残していたけど、堀君に食べてもらってました。
堀君はまだ食べたかったみたいですが、他の班の子達も班の中であげたりもらったりがあったみたいで、誰も残していませんでした。
多分亮くんもまだ食べれるんだよね。運動部だから? それか、成長期?
「しなちゃんは、どこに入ったのかなぁ。こんなに細いのに」
「痩せの大食いってやつね」
めぐちゃんとまじまじと見てしまいました。
そういえば、しなちゃんって運動も出来るよね。やっぱり基礎代謝ってやつが違うのか?
筋肉はつけなきゃ駄目かな?
「お腹は結構プニプニだよ~」
触る? とお腹をポンポン叩くしなちゃん。
触りはしませんよ。きっと追い討ちかけられるだけだから。
お弁当のゴミは班ごとに回収して、クラスで纏めて先生に渡します。
新幹線のゴミ箱には入れません。一杯になってしまうので、学校まで持ち帰るそうです。
新幹線から降りたらバスで学校まで戻り、先生の話を少し聞いて解散です。
あっという間の二泊三日でした。
歌舞伎の感想?
スゴい以外にないのは作者も同様です。
スゴいんだよ。こう……うん。語彙力って大事。




