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「ただいま~。光希~、桑崎くん来たよ~」

「おじゃまします」


玄関の鍵を開けて入り声を掛ければ、ドタドタと足音が聞こえて光希が飛び出してきた。


「りょーたくんっ」

「あら早かったわね。おかえり晶子。いらっしゃい桑崎くん」

「はじめまして、桑崎亮太です」


桑崎くんに突撃して抱きついた光希を少しよろけながらも受け止めた桑崎くん。

後ろから来ていたお母さんは困った表情をしながら桑崎くんに微笑んだ。


あがって。と靴を脱ぎながら言えば光希も桑崎くんから離れて急かすように腕を引っ張る。

桑崎くんも困り顔で笑ってるけど、光希を鬱陶しくは思っていないみたいで素直に連れられていった。


「……お母さん、私はあの二人に必要かなぁ?」

「……まぁ、一緒に遊んでらっしゃいな」


既に私の存在を忘れてる光希に呆気にとられながら呟けば、お母さんも微妙な表情になった。無理だったらリビングに来なさい。と助言され背を押された。


子供部屋(私と光希の部屋)に行けば、光希が桑崎くん相手にごっこ遊びを展開してました。

なんかごめん。桑崎くんに怪獣だか怪人だかをやらせている光希に、私はただただ心の中で謝るしか出来なかった。

もちろんそそくさとリビングに逃げましたよ。





光希は桑崎くんを完全にお兄ちゃん認定。

桑崎くんも弟がいなかったからか光希を気に入ってくれたらしく、二、三日に一回くらいのペースで家に遊びに来てくれるようになった。

私はおやつを食べる時くらいしか交流無いんだけどね。

一緒に遊ぶか? とか聞かれても、何とか戦隊とか仮面ライダーとか無理ですから。


「道場?」


金曜は遊べない。という桑崎くんに聞いたら、その日はお父さんの開いている道場で稽古をしているらしい。

首を傾げた私に、こくりと頷いた桑崎くん。


「うん。合気道と剣道のけいこ。父さんは合気道を教えてるんだけど、午前は父さんの友達? の人が剣道を教えてるから、両方見てもらってる」

「二つも…凄いねぇ」


感心して桑崎くんを見れば、好きなことだから、と照れ臭そうに笑った。


そうか、合気道……

光希にやらせれば、もしかして…。

いや、私が小四ってことは、光希は小二よね。いくら技があったって力がないし、下手に痛みを与えたら相手を逆上させてますます光希の死亡率が上がってしまうわ。

犯人が誰か、前の時の記憶ははいけど、大人だろう。子供の抵抗力なんてたかが知れてる。


「神代?」

「ぁ、ごめん。ちょっとボーッとしちゃった」


つい考えこんで黙った私に、桑崎くんが不思議そうに首を傾げた。

笑って誤魔化すと、桑崎くんの隣でおやつを食べていた光希が身を乗り出してきた。


「りょーたくん、おねーちゃんの名前はしょーこだよ?」

「あ? あぁ、そうだな」


いきなり何を言い出すのかな? 光希は。

そして普通に頷くのはやめてほしいな、桑崎くん。

どう言い繕おうとしても、光希の純粋な目と、お母さんのそうね、晶子は晶子ね。との謎の後押しも加わり、桑崎くんに名前で呼ばれるようになりました。

私? 頑なに桑崎くん呼びですよもちろん。

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