運どぅ……体育大会です
さぁ、中学最後の運どう…、体育大会がもうすぐです。
中一の時は運動会とか言っていた筈なのに、何故か皆、運動会って言葉がダサいとかで、体育大会って言うようになってます。
プリントには運動会って書いてあるけどね。ほら、意味は一緒だから、どう呼ぶかは好き好きだよね。多分。
「今年はリレーに出ます! じゃんけんに勝ちました!」
「あんまり張り切るなよ。きっと転けるから」
「…亮くん、変なフラグ立てようとしないで…」
頭撫でながら微笑む亮くんは、まるで小さい子をあやしているようです。
おかしいな、同じ歳だよね。
私の出るのはクラス対抗です。あと障害物リレーと、玉入れ。
亮くんは学年対抗と部活対抗のリレー、あと何故か借り物競争に出ます。
木内君は私と一緒にクラス対抗。あと借り物競争です。
バトン練習を三日もすれば、すぐに運動か……体育大会です。
やっぱり慣れないなぁ。
「なんか、雨降りそうだね~」
「ちょっと寒いよね、今日」
木内君とクラスの待機場所で座りながら空を見る。
ちょっと厚めの雲が流れてますね。風も結構強いのか、雲の流れが見てとれますよ。
雨降らないといいね~。と話していれば、亮くんが長袖ジャージの上着を持ってきました。
「晶子、これ膝に掛けとけ。木内も、まだ出番先だろう?」
「ありがとー亮くん」
「えっ? あ、あの桑崎君…これ誰の?」
ジャージの上着は亮くんのものでした。
私持ってきた記憶無いしね。てか、誰も用意してないと思うけどね。
こういうのを、用意周到っていうんだろうなぁ。
私に対しての過保護は何時ものことなので、ありがたく使います。遠慮はありません。
しかし、今回は木内君にも過保護が発動されました。
木内君が戸惑ってます。当たり前だけどね。
そして誰のジャージなのかは言いませんでした。
集合だから、とさっさと行ってしまった亮くんをポカン顔で見送る木内君。口開きっぱなしだよ~。
「まぁ…持ってきたんだし…使えば良いんじゃないかな」
「……う、ん」
亮くんに関しては深く考えちゃ駄目だと思うよ。
気にしたら負けだよ。
木内君は何か諦めた表情をして、ジャージを膝に掛けました。
さ、気を取り直して!
学年対抗リレーです。
亮くんの他に長谷部君もいます。女子の方にはもちろんかなちゃんと由紀乃ちゃんが出ます。
木内君と一緒に応援をしっかりしますよ。
しなちゃんはこのあとのハードル走に出るので集合場所へ行ってます。
「なんかさ、三年生と一年生の体格って、結構差があるよね」
「そうだね。たった二歳しか違わないのに、縦も横も一回り以上違う人達いるね」
学年対抗だから、一年、二年、三年で並んでるんだけど、大人と子供ってくらい違う人達いるよ。
毎年思うんだけど、今年は特に大きい三年生と、ひょろっとした小さい一年生が並んでたから…。凄く目に付いちゃった。
木内君と他愛ない話をしつつ三年生を応援します。
亮くんが一人抜いて一位に付き、次のバトンで長谷部君になり、そのままゴールです。
なんとも安定感のあるリレーでした。
しなちゃんも、運動部ではないのに綺麗なフォームでハードルを跳んでいきます。
残念ながら三位だったけど、家庭科部だし、こんなもんじゃない? と笑っていました。
「晶子、そろそろ集合だぞ」
「え、本当? ……あ、次の次が玉入れだ。ありがと亮くん」
「頑張ってねー、晶子ちゃん」
「気を付けてね、」
「はーい」
亮くんに促され、しなちゃんと木内君に見送られて集合場所へ向かいます。
クラスの子達とお喋りしながら順番を待っていると、ポツ、と冷たいものが頭に当たりました。
「ぇ、?」
「わっ雨!」
周りを見ると、パラパラと雨が降ってきてます。
でも、傘はいらない程度の小雨だからってことで、玉入れ続行。
籠に投げ入れようと上を向くと雨が顔にあたって、目に入りそうでちょっと嫌ですね。眼鏡の子達が前が見えないって笑ってますよ。
玉入れを終えても雨は降ってます。
でも強くもなっていないので次の競技が始まりました。
クラスの子達と席に戻れば、タオルとジャージを手に持った亮くんがスタンバイしてました。
「晶子、こっち」
「はーい」
椅子に座れば肩にジャージを掛けられ、タオルで腕を拭かれる。拭かれた方からジャージに腕を通して着れば、頭に新しいタオルが被せられました。
亮くんどっから出したの? ていうか、何枚持ってきたの?
いつの間にか木内君も同じ格好してるし。
木内君と目が合うと苦笑されました。
亮くんにタオルを被せられたみたいですね。
「亮くんのタオルは?」
「あるぞ。川口も使うか?」
「私は自分のタオル大きいから大丈夫~」
しなちゃんが取り出したタオルが…なんかちょっとバスタオルに見えるのは私の気のせいかな?
頭からタオルを被ったしなちゃんは、隣にいた友達と二人でタオルを分け合うというか、無理矢理友達入れてます。
私は亮くんにタオルを被せて軽く拭きました。
お世話されてばかりは恥ずかしいしね。
「晶子ちゃんも大胆だよね~」
「いや、あれは桑崎君のせいで感覚麻痺してるんじゃ…?」
しなちゃんがニヤニヤしながら私達を見てたなんて気付きませんでした。
「…ところで、本当に、このジャージ誰の…?」
木内君の戸惑った呟きは誰も聞いてませんでした。
木内君のジャージについて、ちょっと広げようとしたけど話をもっていけませんでした。
思い出した頃にフラグにでもしようかなぁ。




