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光希が変、しなちゃんが恐い

最近、光希が変。


「変って?」

「うーん…何か、早苗ちゃんとよく居るんだよね~」


前から、早苗ちゃんが居ればその隣に光希が居るんだけど。

何て言うのかな。前は、偶然会うとか、家に皆で集まった時とか、約束してて一緒に居るってことはあったけど。

最近は光希が早苗ちゃんの居るところまでわざわざ来てまで一緒に居る。


「光希が高柳を追いかけてるって事か?」

「そう! そんな感じ!」


さすが亮くん。

漠然とした説明で良く解ったね。

物理的に追いかけてるって訳じゃないけど、早苗ちゃんを見つければ傍に行くし、土日とかは部活帰りに早苗ちゃんちに寄ってから帰ってくることが多くなった。

学校でも、たまに三年の教室に顔を出すこともあるらしいし。

何かあったのかなぁ?


「まぁ、高柳が嫌がったり迷惑してるとかが無きゃ、良いんじゃないか?」

「うん? …そうだね~」


早苗ちゃんも、戸惑ってはいたけど、別に嫌そうじゃなかったし、嫌なら言うだろうし、じゃあ、早苗ちゃんに言われたら光希に注意するってことにしましょうか。





「ふんふんふ~ん」

「しなちゃん、最近ご機嫌だね? 何かあったの?」


鼻歌を歌うしなちゃんに首を傾げて聞けば、しなちゃんは嬉しそうに笑った。

鋏は置こうか、危ないから。


「聞いて! よーちゃんが一緒の高校に行くって言ってくれたの!」


……よーちゃんって誰?


最初から話を聞けば、しなちゃんの幼馴染みの男の子らしい。

小学校と中学校は学区の関係で別になったけれど、高校は一緒にするらしい。

学区が違うって言っても、家は通りを挟んだ斜め向かいだそうです。

小学校違うって分かったとき、凄くショックだったんだって。


「そっかぁ、良かったね~」

「うんっ! よーちゃんに変な虫が付いてないか、学校違うとなかなか監視出来なかったからねー」

「……ん?」


……しなちゃんが何か変なこと言った気が…。気のせいかな?


しなちゃんは今から、高校で使うハンカチに刺繍をするみたいです。

刺繍どころか、ハンカチ自体を作るそうです。今切ってたのはそれですね。

切り口の処理を先生に聞いてたね、そう言えば。

件のよーちゃんとお揃い (つい)の柄にするそうです。

使い勝手が良いとかで、二枚重ねのガーゼハンカチだそうです。怪我したときには便利だよね。吸水性が抜群なんだって。


私はカバンの延長的な感覚で財布作ってます。

まぁ、布を畳んで縫ってひっくり返す、簡単なやつですけどね。

でもデニム生地だとしっかりした硬さになから充分だと思うんだ。縫いにくいけど。

ファスナー縫うのって引っ掛かるから慎重にやらないと、すぐにミシン糸がからまっちゃう。

勿論亮くんと光希の分も作ります。形やファスナーの色を変えて、同じ生地で作ります。


ちなみに、木内君は時間が無いって言いながらレース編みの大量生産しています。黙々と手を動かしています。

木内君の志望校は勿論、飯塚先輩のいるところです。勉強も頑張らないとって日々アワアワしてるよ。

今年の文化祭には飯塚先輩来るらしいですからね。頑張れ木内君。


「晶子ちゃんは、桑崎君と高校別になっちゃうんだよね、平気なの?」

「……しなちゃん、それ何回聞くのよ」


一日に一回はその質問するよね?

そんなに亮くんと離れるのはダメなのかなぁ?


`前の時´にあの学校だったし、でも亮くんが通うには偏差値低いし。

私も、亮くんと一緒の学校通うのは楽しそうって思うけど、仕方ないじゃない。高校も、大学も、`私が´入るところは決まっちゃってるんだから。


まぁ、そんなこと言えるわけないんだけどね。


「……しなちゃん、ずーっと一緒にいるより、たまに会う方が、相手の成長とか魅力がアップするんだよ?」


……って、早苗ちゃんが言ってたよ。

成長は分かるけど、魅力ってなんぞ? まぁ、突っ込まなかったけども。


「なるほど! 会わないうちに女子力磨いて、綺麗になってドキドキさせるのねっ!」

「ぇ、あ…うん?」

「晶子ちゃん! 私も頑張るわっ」

「あ、うん。頑張って?」


どうやらしなちゃんには、言葉の意味が解ったようです。

凄い笑顔で宣言されました。

まぁ、良く分からないけど何かを頑張るのは良いことですよね。


私も頑張りますよ。単願推薦取れれば、授業料免除になるそうなので。

推薦枠が一人分しかないらしいので、先生に頼み込むしかないですね。誰を単願推薦枠に入れるかは、先生が決めるらしいし。

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