進路調査です
あっという間に冬休みは終わり、三年生が卒業です。
佐川先輩は、服飾科のある女子高へ行くそうです。他の先輩達の進学先も色々聞いてみました。
まぁ、それは置いておいて、ですね…。
「木内君、男子が入りません…」
「言わないで川口さん…」
「あれですね。いっそ、木内君が部長になればいいんじゃない?」
それで、伝説になればいんじゃない?
適当なことを言ったらしなちゃんから爆笑をいただきました。
そして、他の部員も悪のりした結果、見事、木内君が部長になりました。
木内君、凄く顔がひきつっていました。でも、誰も代わりませんよ? 運動部じゃないと、部長ってただの雑用だから。まぁ家庭科部の場合、部長だからといってやることは特に無いんですけどね。
ただの肩書きですよ。
かなちゃん、由紀乃ちゃんは見事レギュラー。長谷部君もレギュラーに入れました。
早苗ちゃんは自由に描いております。
そして! なんと! 亮くんが!
部長になりました!!
ん? 剣道部って、主将って言うんだっけ? ……まぁいいや。
皆、三年生になるとバタバタと忙しくなって、全員が集まって遊ぶとか、勉強会だとかが出来なくなりました。
ちなみに、光希はバレーボール部に入りました。
何でだ、と思ったら、友達がバレーボールにハマったからだと言われました。
そんなんで決めちゃって良いのか?
「今年は桑崎君と一緒のクラスになれたね、晶子ちゃん」
「私達とは離れたけどね」
そうなんですよ。かなちゃん、早苗ちゃん、由紀乃ちゃん、私。四人全員バラバラになってしまいました。
三年生は修学旅行があったのに…ちょっと悲しい。
私は亮くんと一緒。木内君も一緒のクラスです。
長谷部君はかなちゃんと一緒のクラスです。かなちゃんが、由紀乃ちゃんと離れちゃったね~。とニヤニヤからかってましたよ。
長谷部君、残念だ! と叫んでました。やっぱりそういうことかな? かな?
「かなちゃん…」
「任せて晶子ちゃん! 聞き出してみせるわっ」
かなちゃんとがっしり握手しました。
人の恋話ってワクワクするよね。
色々聞いてくれるのを楽しみにしてますよ、かなちゃん。
三年生になってすぐに進路調査のプリントが配られる。
まだ決まってない子達も多いんだけど、キチンと第三希望まで書かなきゃいけないみたい。
私は、前回行った所へ行きます。
色々考えたよ?
二回目だし、光希も生きてて、両親は離婚なんかしてない。
成績も、前よりも全然良くなっているし、別の高校に行ける。
でも、やっぱり…
「高校で、親友と出会ったしね~」
勿論、かなちゃん達も親友です。
でも、あの子とはもう一度、ううん。何度だって友達になりたいし、またくだらないことでバカみたいに笑いたいのよね。
なので、私の進路希望は一択です!
あ、一応三つ埋めましたよ。
……そして、何故か担任の先生に呼ばれました。
職員室です。
「神代、もう少し上の高校に行く気はないか?」
「えぇ? 何で………、亮くんですか?」
いきなり何を、と思ったけれど、ちょっと考えてみれば、すぐに原因が浮かびました。
そういえば、プリント配られた時に亮くんに聞かれたし、書いたやつ見せたわ、私。
先生に聞けば、亮くんは私とまったく一緒の希望を出したらしいです。
亮くん…私の行くところ、わりと偏差値が低めなんだよ…。
「それに、神代自身ももう一つ二つ上でも大丈夫だと思うぞ?」
先生に高校名を挙げられるけれど、私は志望を変える気はないですよ。
とりあえず考えます。とだけ言って解放されました。
さぁて、部活も間に合いそうにないし、帰りましょう。
「う~ん、どうしようか」
「どうしたの、晶子?」
リビングで考え中です。
夕飯の後、先生に言われた事についてちょっと考えていたら、お母さんと光希が首を傾げて私を見てきました。
ので、先生に呼ばれた事を話してみました。相談しましょう。
「私は志望校変える気ないけど、亮くんまで一緒なのはなぁ…」
「はっ? ぇ、姉ちゃん…亮太兄と一緒は嫌なの?」
「えっ!? ちょっと晶子?」
「はっ!? いやいやいや、別に一緒が嫌って訳じゃなくてね?」
だって亮くん、頭良いよ? て言うか、多分スポーツ推薦とかで、剣道の強豪校とかに行けるよ? むしろお誘いくるでしょ?
だけど、私が行こうとしてる高校って、本当に何の特徴もないし、突出した部活もないよ?
そこに、亮くんみたいなハイスペックを入れるのは…ねぇ?
「じゃあ、姉ちゃんが志望校変えれば良いじゃん?」
「そうよ~。もう、ビックリさせないでよ~」
私の心情を話せば、光希とお母さんが呆れた表情でため息を吐きました。
簡単に言いますね。まぁ、普通はそうですよね。
私だって前回のこと…親友の事がなければ、私のレベル上げますよ。亮くんと一緒の高校行きますよ。
でもなぁ……。




