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初詣で、神頼みです

演奏会が終わったら気が抜けたのか、あっという間に冬になった気がします。

授業と部活とテスト。そして冬休みです。


「由紀乃ちゃん、初詣、一緒に行かない?」

「初詣? 良いけど、どうしたの急に」


終業式の日、帰る前に由紀乃ちゃんを呼び止めてお誘いです。


「来年受験生じゃない? 合格成就の祈願しに行きたいなぁ、って」

「そうね。皆には聞いたの?」

「まだ~。思い付いたのが昨日だから、まぁ亮くんは決定として~、かなちゃんと早苗ちゃんと長谷部君に聞かなきゃね~」


皆、どの高校に行くか決めてるのかな?

由紀乃ちゃんとちょっとだけ高校の話をしつつ、かなちゃん達のクラスへ向かいます。

ドアから教室を覗くと、かなちゃんは直ぐに見つかりました。


「…あれ? 早苗ちゃんがいなーい」

「本当ね」


二人で首を傾げ、かなちゃんを呼ぶと、早苗ちゃんは何か用事があるとかで、急いで帰ってしまったそうです。

残念。初詣の話は、後で電話してみよう。


「ということでかなちゃん、初詣行かない?」

「行く! 行きます! 神頼み上等!」

「…お、おう…」


かなちゃん、圧がひどい。必死すぎでしょ。

とにかく、教室のドアで立ってると邪魔になるので、かなちゃんのクラスへお邪魔します。

ほとんどの生徒は帰ったので、残っているのは数人。その子達も、帰ろうとしているところだったみたいで、数分もすれば私達のみになりました。


「初詣って、何処の神社行く~?」

「んっとー、学業成就、合格祈願だから、〇〇神社?」

「〇×神社も確か、学問の神様よね」


歩いて行ける場所にはさすがにないから、車か電車で行くことになります。

なので、ある程度自分達が場所が分かる所を候補に出していきます。

三人で一応決めちゃって、皆が行けるかどうかを聞くって感じでいいよね。

とはいっても、中学生の行ける範囲で、学問関係の神社ってあまり多くはないので、十分もあれば決まってしまいます。


「じゃあ、四日の十時に駅のコンビニで待ち合わせでいいかな」

「そうね、お詣りして、お昼御飯食べて帰る感じかしら?」

「きっと屋台出てるし、そこで食べてもいーよね~」


決まったので、私は亮くん、かなちゃんは早苗ちゃん、由紀乃ちゃんは長谷部君にそれぞれ話をすることにします。

あとは電話で話すことにして、三人で一緒に帰りました。途中までですけどね。






「晶子ちゃ~ん!」

「かなちゃん、明けましておめでとうございます」

「あけおめ~! 桑崎君も!」

「明けましておめでとう、野崎」


お母さん達とかなちゃん達と、どの神社に行くか話し合った結果、電車で二駅、歩きで十五分ほどの神社に決まりました。

主に交通の便べんと人込み具合を吟味しました。


かなちゃんと由紀乃ちゃん、長谷部君、私と亮くんの五人で行くことになりました。

早苗ちゃんはお父さんが帰ってくるので、そっち優先です。

一年ぶりに帰ってきたからね。話すことややることが盛り沢山だからね。


ところで…かなちゃんはモッコモコの格好ですね。

私や亮くんも、防寒はしてますよ? でも、かなちゃんほどではないです。

コートとマフラーと手袋で、十分暖かいです。陽射しもあるし。

かなちゃん、着膨れしてて、ちょっとダルマみたいよ?


「かなちゃん、何枚着てるの、それ?」

「えーっとねぇ、コートにダウンでしょ~、セーターとハイネックに、ヒー〇テックとキャミソール? あ、あとあったかタイツとハイソックス、手袋、マフラー、毛糸の帽子!」


完璧! とかなちゃんは笑ってます。

まぁ、かなちゃんが良いならいいんだけどさ。

お喋りしていれば、長谷部君も到着しました。

長谷部君はかなちゃんとは真逆、Tシャツにジーンズ、ダウンジャケットのみ。

しかもジャケットの前開いたまま。

寒そうだよ。


「あけおめ、三人とも」

「「明けましておめでとう」」

「あけおめ~! あとは由紀乃ちゃんだね~」

「あら、私が最後?」

「「由紀乃ちゃん!」」

「おー南川、あけおめ」

「明けましておめでとう、長谷部、桑崎、晶子、かな」


由紀乃ちゃんも到着しました。

由紀乃ちゃんは、かなちゃんを見て、長谷部君を見て、呆れた表情になりました。

うん、言いたいこと凄く解るわ。だからそんな、深いため息吐かないで由紀乃ちゃん。


「うっし! 揃ったし行こうぜ」

「ちょっと待ちなさい。……はい、貴方見てて寒いわよ」

「おう、サンキュー!」


うわぁ…もう、うわぁっ! って感じ?

由紀乃ちゃんが、自分の巻いていたマフラーを長谷部君に巻きました。

手渡しじゃないよ。由紀乃ちゃんが手ずから巻きましたよ。

あれ、私達お邪魔かな? とか一瞬思ったけど、長谷部君はカラッと笑って素直に巻かれましたよ。しかもちょっと背を屈めて、由紀乃ちゃんが首に巻きやすいようにしましたよ。


「かなちゃん…あの二人って……」

「え~、いやいや、何も聞いてないけどなぁ~? ……でも、ぽいよね?」

「ちょっと、何やってるの? 行きましょう?」

「「あ、はーいっ」」


かなちゃんとヒソヒソにやにやしてたら、由紀乃ちゃんが首を傾げながら私達を呼んだ。

話していた内容は聞こえて無かったらしい。良かった良かった。

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