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夏休み後半は、あっという間です


「お疲れ、光希」

「お疲れさま~」


残念ながら、九回裏は光希のチームは三者凡退。負けてしまいました。

簡単な挨拶だけでチームは解散になったそうなので、観戦していた芝生の所で光希を待ち、そのままお昼ご飯です。

負けたのにグラウンドに居続けるのは嫌じゃないかな? とも思ったけれど、最後だし、今日の試合は全て観戦して帰りたいそうです。


「疲れた。お腹減った」

「座って~。はい、お皿と箸ね」


荷物を置いた光希に、お母さんが割りばしと紙皿を渡す。

ちょっと人数が多いので、レジャーシート二枚で、お弁当も二つあります。

私の両親と亮くんの両親、私と亮くん。

もう一つのシートに早苗ちゃん、かなちゃん、由紀乃ちゃんと長谷部君。

光希は早苗ちゃんの隣に座りました。人数的にこっちぎゅうぎゅうだからね。


「じゃあ、食べましょうか」

「「「いただきます」」」


第二試合が始まっているけど、気にせずに食べます。

野球って、一試合が長いから、途中でちょっと退屈になっちゃうんだよね。

好きな人は一球一球が楽しいんだろうけど。


「今年も宿題は終わっちゃったのよね?」

「終わらせたよ~。あとは遊ぶだけ!」

「亮太も、皆ももう中二かぁ…早いわねぇ」

「すぐに高校生だな。晶子と亮太くんは、高校どうするんだ?」

「高校?」

「早くないか?」


お母さんの質問に答えたら、両親達に高校の話をされた。気が早くない? と思ったけれど、そういえば、早い子はこの時期から塾とか行ってたなぁ。

でも、受験とか考えたくないわぁ。勉強嫌だわぁ。

私達の話が聞こえたのか、かなちゃんの箸の動きが止まっちゃってるよ。


「早苗ちゃん? どうかした?」


ふと、光希の気遣わしげな声が聞こえた。

そっちを見れば、光希が早苗ちゃんを心配そうに見てます。

てか、顔近いよ光希。むしろ体引っ付いてるよ光希。パーソナルスペースはどこ行った?


「早苗ちゃん?」

「何にもないよ? ちょっと眠いだけだから、気にしないで光希君」

「でも、早苗ちゃん何か変な顔してる」

「変って!」

「苦しそうとか、心配そうとかってことだろ。何か心配事か、高柳?」


亮くんも振り返って早苗ちゃんに聞くけど、何にもないよ。と苦笑されて終りました。

由紀乃ちゃんも長谷部君も早苗ちゃんを見てます。かなちゃんは未だ動きを停止したままです。


「大丈夫? 早苗、家の片付けの疲れがまだとれてないんじゃない?」

「あーそうか。そろそろ店貸すんだっけ」


由紀乃ちゃんと長谷部君の言葉に早苗ちゃんが頷きました。

新しいお店は、若い女性が雑貨屋さんを開くことに決まったらしく、店内のリフォームがやっと終わったとのこと。


「気さくなお姉さんだから、ほっとしたってお母さん笑ってたよ。私も、女の人で良かった」

「へぇ~、どんなお店になるんだろう? 開店したら一回行きたいね、亮くん」

「そうだな」


早苗ちゃんに新しいお店のことや、新しい店主の女の人のことを聞いたり、動き始めたかなちゃんの、進路どうしようという叫びで話題がコロコロ変わっていきました。

七月は勉強会ばかりだったから、お喋りばかりなのが楽しくて話題が尽きなかったです。






今年はおばぁちゃん家にいつもより長めに泊まりました。

来年は受験だから来るなってさ。勉強しなさいって多目にお小遣い貰いました。

物で釣ってないかい、おばぁちゃん?


早苗ちゃんと由紀乃ちゃんが花火大会行けなかったので、花火をしても良いという河川敷で手持ち花火をすることになりました。

流石にこれは子供だけでは危ないので、お父さんが付き添ってくれることになりました。

お母さんは亮くんのお母さんとまったりするそうです。仲良いね。


「バケツに水汲んできたよー」

「ロウソクに火着けたよ、早速やろ!」


かなちゃんと長谷部君のテンションがヤバいくらい高いです。

まぁ、遠くの花火を眺めるのと、自分で持つ花火とでは違うからね。私も楽しいです。


「早苗ちゃん、これやろ~」

「ありがとう、晶子ちゃん。花火、いっぱいあるね…」

「あははは……それぞれ買ってきちゃったからね…」


大容量タイプを皆持ってくるもんだから、凄い大量だよ。

今日だけでやりきれなさそうだなぁ。


「ぅぎゃあ~っ!」

「えっ!?」

「あ、長谷部君が…」


ドボーンッと、川に…足だけ落ちたみたい。

足を滑らせたのか、踏み外したのか、片足が見事にびっちょびちょになりました。

足だけで良かったと、思うべきですかね?


「かなちゃん…笑いすぎだから」

「だっ、ひひっ…おかしっ、ぎゃあって…っ」


ツボに入ったのかしら?

文字通り、お腹抱えて笑ってるよ。…息してる?

かなちゃんの笑いが止まらなくなって、長谷部君はヤケクソになったのか、花火を両手に沢山持って火をつけました。


「危ないだろ、馬鹿」


亮くんに頭叩かれて全てバケツ行きになりましたけどね。


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