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夏休みに入りました


「え、じゃあ花火大会行けないの?」

『うん、ごめんね~。あ、でも光希君の試合はいけるからね!』

「そっか~。残念。でも仕方ないね、片付け頑張ってね」

『ありがとう晶子ちゃん。綺麗に掃除しなくっちゃだから、頑張る』


夏休み初日。

早苗ちゃんから七月中の予定のほとんどが行けなくなったと電話が来ました。

お家の一階、店舗の借り手が見つかったようで、夏休み中に空っぽにしなくちゃいけないようです。

お爺さんが亡くなってから、想い出が一杯あってなかなか手をつけられなくて今までそのままにしていたそうです。

商品である本は業者さんに返したそうですが、カウンターの中とか、簡易給湯室的な? 場所やらを二階に持っていったり整理して捨てたりしなくちゃで。

ぶっちゃけお母さんだけじゃ終わりが見えないんだって。

……頑張れ、早苗ちゃん。


「う~…飽きたぁ」

「かな、あなた始めてから一ページしか終わってないじゃない…」


今日はかなちゃんの家での勉強会です。

で、始まって三十分くらい? でかなちゃんが早速机に突っ伏しました。

夏休みの宿題って結構いっぱいあるからね~。飽きるのは解る。

でも私はがんばりますよ。八月は遊びたいし、……亮くんが見てるし。


早苗ちゃんは後から、これそうなら来るって言ってたし、来れなさそうなら電話をくれるらしいので、それまでは休憩無しです。


「かなちゃん頑張って。分からないところは聞いてくれれば良いし、ね」

「晶子ちゃん…ここから全部分からないです…」

「ぉうふ…」


見開きの半分、全部…だと!?

ふざけてないでやりましょうかね。由紀乃ちゃんが呆れた目で見てるよ。

かなちゃんの分からないところを一つずつ解説していく。

私の今日のノルマは大分終ったしね。たまには人に教えるのも、復習になっていいんだよ。きっと。


暫くカリカリと宿題を片付けていたら電話が鳴り、早苗ちゃんから来れないと連絡があった。

連絡を受けて、かなちゃんの集中も切れてしまったので、休憩にしようってことになりました。

かなちゃんのお母さんがお茶とお菓子を持ってきてくれました!

疲れた時には甘いもの! ちゃんと頭を使っていれば多少の甘味は消化されます! 脂肪にはならないっきっと!


皆で集まってやると、一人でするよりも大分進みが速くなる。

おかげさまで、今年も七月中にほとんどの宿題が片付きました。あとは遊ぶだけです。





「え、良いんですかっ!?」

「ええ。神代さんの技量は大分高くなりましたし、音に気持ちが入ってとても良いわ。これなら、秋の発表会であなたの弾きたがっていた曲、オッケーだせるわよ」

「ありがとうございますっ!」


ピアノ教室の先生に、なんと! `月光´ を弾く許可がもらえました!

あ、ちゃんとまだ続いてますよ、ピアノ教室。

ただ、部活もあるので二週に一度、最低で月に一度の頻度になってしまってますが、ちゃんと通ってますし、上達してます。


そして秋の発表会は、去年は文化祭の準備やテストで出るのを辞退しました。

心に余裕がなかったので。失敗するの解りきってたしね。

そして、来年は高校受験もあるので、勿論辞退の予定。

というか、来年の夏休みまでで、ピアノ教室は終わろうと思います。

高校に入ったら、通う時間や余裕が無いだろうし、高校生で通っている人達って、音大目指してたりする、云わば本気と書いてガチな方々ばかりだから。

私場違いだから。


「神代さんの、集大成。楽しみにしているわね」

「はい!」


夏休み中は比較的週一で通えるので、早速来週から練習開始です。

楽譜コピーしなくっちゃね。準備を考えるのすら楽しいわ。

頑張るぞ~!


「そうか、今年の発表会が最後か」

「うん。それでね、私が弾く曲、月光っていう、難しい曲なんだ」


家に帰って早速楽譜を引っ張り出していたら、亮くんが来ました。

引っ張り出した楽譜をコピーしたいので、コンビニに行くと言えば、亮くんは玄関にUターンしました。ついてきてくれるそうです。

ついでにお醤油と料理酒をお使いです。

人使い荒いな、お母さん。

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