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一応、一区切り、かな?

「*」印を付けるほどではありませんが、加害者糾弾が入ります。


期末テストは軒並み八十点台を出せました。国語は九十七点でした。

亮くんには、勝てませんでした…。

…諦めないよ、一応二度目なんだよ、私の方がアドバンテージある筈なんです。


「部活日程が出ました」

「光希の試合日程持ってきました」

「「夏休みのカレンダーせいさく~」」


終わったことは忘れて、楽しいことを考えましょう!

かなちゃんと私のハモった言葉に、早苗ちゃんは苦笑、由紀乃ちゃんは呆れた顔、亮くんはいつもの無表情。

唯一長谷部君が、パチパチと手を叩いてくれました。


「まず、皆の部活日程の、休めない日を記入していこう」

「あー、結構大会は日にち被ってるね。これなら遊べる日確保しやすいかも」

「晶子と高柳は、作品の締切日もだな」

「なぁ、宿題やる日も入れようぜ~」

「そうね。七月中を中心に勉強会入れましょう」

「光希君の試合って、朝から? お弁当皆で作らない?」


わいわいと言い合いながら一つの紙‐カレンダーが埋っていく。

家族との旅行やお出掛けもあるから、絶対ダメな日も記入。

う~ん、結構少ないかも?

かなちゃんがペンの色を変えてお祭りや花火大会の日に印を付ける。

あとは、家族の予定を聞いて話し合いですね。





「すみませんでした!」

「………何この状況?」


夏休み前の、最後の部活。

家庭科室に入ったら、一年生が木内君に深く頭を下げていました。

木内君は困惑しています。二、三年生もハテナを浮かべていて、一年生は訳を知っているのか、眉根が下がってます。


「ね、どういう状況?」

「あーなんかね、平松さんが、木内君の怪我は自分のせいだっていきなり言い出しちゃって…」


平松さん、というのは、未だに木内君に頭を下げている一年生のことです。

木内君の怪我。

木内君が山の学習で怪我をしたことは、周知の事実です。

原因がいじめだったとか、もしかしたら死んでしまっていたかもしれない、というのは私や由紀乃ちゃん、亮くんくらいしか知らないはずです。しなちゃんには説明してあるけど。

なんで平松さんはいきなりそんなこと言い出したんですかね?


「私、たっくんの幼馴染みで……その、」


平松さんと赤城君は幼馴染み。

中学から家庭科部に入った平松さん。

赤城君は構われなくなった。

平松さんは部活が楽しい。

部活の話を楽しそうにする平松さん。

構われず、しかも自分の知らないところで楽しそうな平松さんに、赤城君はイライラ。

平松さんは木内君を尊敬。

木内君の名前がよく出てくる。

赤城君、キレる。


……纏めれなかったけど、そんな感じで木内君は苛められたらしい。

なんて自分勝手で独り善がりな理由だろうか。


「晶子ちゃん。目付き恐くなってるよ」

「しなちゃんこそ。手、握りすぎだよ」


山の学習から帰ってきてから、私やかなちゃん、由紀乃ちゃん、亮くん…木内君を必要以上に心配したりしていたから、しなちゃんには何かあったのかと心配されてしまったのよね。

だから、大体は説明してあるし、私達の過剰な接触や心配を解ってくれています。


「平松さんが悪い訳じゃないし。赤城君は、あれから近付かなくなったし。気にしないで?」

「いえっ! そんな訳にはいきませんっ。たっくんにもキチンと謝らせます!」


木内君は困った表情で言うけど、私達は許す気ありませんよ?

謝る? 近付けさせる気もありませんが?


私や亮くんが、赤城君を遠ざけているのを分かってる木内君は、平松さんの言葉に困った表情で視線を泳がせてる。

私が口を挟んでも良いのかな? 良いよね?


「平松さん。私ね、木内君がどれだけ酷い目に合ったか知ってるの。だからね? とてもじゃないけど、赤城君を木内君に近寄らせるなんて出来ないわ。出来るならクラスを変えて、二度と木内君の視界に入らないで欲しいくらいよ」

「神代先輩…」

「私も、晶子ちゃんに賛成。口先だけならいくらでも謝れるもの」

「川口先輩…」


私としなちゃんの言葉に、平松さんが泣きそうになる。

けど、そんなこと知らない。

今回の件で泣いて良いのは木内君だけだよ。


何も言えなくなった平松さんをじっと見詰めていたら、佐川先輩が手を叩きながら割り込んできた。


「はいはーい。そこまで。事情は何となく察した。神代さんと川口さんは口を挟まない」

「佐川先輩、でも」

「でもじゃない。当事者は木内君と、その赤城? って男子だけでしょうが。神代さんと川口さんは勿論、平松さんも部外者だよ」


佐川先輩の正論に何も言えません。

木内君を見ると、困った表情で苦笑されました。


「……僕は、どっちでも良い、かな…まぁ、出来ればあんまり関わりたくはないけど……謝られても、謝られなくても、変わらない、かな」


木内君の正直な気持ち、ってことなのかな。

どっちでもって言われた時に、平松さんは泣きそうになったけれど、佐川先輩が言った部外者っていう言葉に、泣くのを我慢しているみたい。


「まぁ、謝罪したいならさせればいいし。許したくないなら無視すれば良いんじゃない? 謝ったから許さないといけないなんてルールはないんだし」


佐川先輩のその一言でこの話は終わり、ってことになりました。

……思うんだけど、佐川先輩が一番キツいこと言ってるよね!?


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