2
亮くんが居れば、長谷部君も来るわけで。
結局、二人は出発時間まで私達の班のレジャーシートに居座りました。
「さて。休みの時間が休めなかった気がするけど、あとちょっと、頑張って歩こう!」
「おう!」
「ねぇ、何か私のせいみたくなってない?」
「気のせいよ…」
堀さんの言葉に突っ込みたいけど突っ込めない。
亮くんと長谷部君って、二人共女子人気高かったね、そういえば。
堀さん達が気疲れするはずですわ。申し訳ない。
……いや、私のせいじゃないよね?
一度クラスごとに集まり、点呼確認したら出発です。
今日泊まる予定のキャンプ場は、今いる場所の反対側あたりらしいです。
緩やかに登りながら、山を半周するみたい。
「少し曇ってきたわね」
「どーする? 今のうちにジャージの中にもう一枚着ちゃう?」
「でも歩き始めたら暑くならないかなぁ?」
「とりあえず出すだけ出して、腰にでも巻いとこう。ね?」
今度は八組からの出発になるのでまだ時間がある。私達はリュックサックを下ろして薄手のシャツを出しておきました。
由紀乃ちゃんに、脱ぎ着しやすい前ボタンのシャツを一枚持ってきなさい。と言われたのですよ。
寝るときの服装とか自由だし、ちゃんと先生に確認したよ?
証拠に、私達の班を見て、うちのクラスは同じように皆上着を取り出し始めたしね。
由紀乃ちゃんの従兄弟がキャンプ大好きなんだって。豆知識的なやつですね。
「午前中よりかは歩きやすいね~」
「傾斜が殆どないから楽だわ」
風も止んできたのでシャツ要らなかったかな? と思ったけど、やはり陽射しがないからか寒い気がする。
ちょっと立ち止まってジャージの下にシャツを着て、ジャージを着直して歩き出す。
うん、やっぱり由紀乃ちゃんの言った通りですね。シャツ一枚でこんな違うのか。
キャンプ場はコンクリート敷きの広い場所に、等間隔にかまどとテーブルが置いてあり、雨避けの屋根がついています。
その隣に大きめのバンガロー? が二棟あり、周囲に伸びる道が沢山。きっと小さなロッジが点在しているんだろうなぁ。
「では、レクリエーションの説明をします!」
クラスごとに荷物を纏めてバンガローに置き、夕飯前のレクリエーションです。
このレクリエーションで、なんと! 夕飯の材料を獲得するのです!
気合いが入ります!
キャンプ場周辺にポイントと呼ばれる場所があり、そこでクイズを解いたりして次のポイントへのヒントとスタンプを貰います。
集めたスタンプの数によって夕飯の材料が変わるので、わりと本気でやらないと…
基本セットは米と漬物らしいです。ご飯オンリーな夕飯は避けたいです。
「最初のヒントはくじ引きでランダムって言ってたよね。簡単なのが当たりますよーに!」
「高木さん、箱に祈らないで早く引きなさい。次の班が困ってるわ」
ムムム…! と気合い入れてる高木さんに、先生が困ってます。
全員がくじ引きを終えたら、キャンプ場の地図も貰って、スタートです。
「ヒント見せて~」
「えっと、流れのない川の始まりの場所は山のような茶色……?」
意味が解らないよ?
首を傾げながら、四人で地図を覗き込む。
「川って、ここだよね?」
「でも水はあるから、流れのないっておかしいよね~?」
地図の端の方に川があったけど、キャンプ場から結構離れてるし、違う場所かなぁ?
じっくりと地図を見ていきます。
「中心がこのキャンプ場でしょ~? テント区域とー、ロッジ区域とー」
「大きい木とお地蔵様? があって、赤い鳥居、階段に、ロープウェイ?」
「……あ、これは? 落ち葉スキーだって!」
「落ち葉! 流れない川だ!」
そっか! 落ち葉なら茶色だ!
私達は納得して、早速落ち葉スキーの場所へ向かいます。
でも、七月だから茶色っていうのは違うよね? とか結構遠いなぁ。とかお喋りしつつ行けば、落ち葉が山盛りありました。
「おぉ…茶色い山だ…」
私の背よりも高く積み上げられた落ち葉がありました。
先生もいるし、ここがポイントで間違いないみたいですね。
早速ヒントの紙を先生に渡してクイズを出してもらいました。




