違和感
授業は相変わらず、解る部分と解らない部分が混在してます。
先生が丁寧に解説してくれるけど、解らないものは解らないんです。
「なんかね~、もう、子守唄だよね。特に英語」
「私は歴史が子守唄だわ~。あと、化学は単純に嫌いだわ」
「しなちゃんハッキリ言い過ぎ~。木内君は? 眠くならない?」
「ん~、僕は、国語かな? 漢文とか意味分かんないよね」
木内君の言葉に、分かるー! としなちゃんと二人で相槌を打つ。
中間テストが終わり、もうすぐ夏山登山なのです。準備が始まると、なんか浮き足立っちゃって、普段の部活さえ楽しくなってしまうのです。
「木内君、神代さん、川口さん。ちょっと手伝って~」
「どうしたの?」
「わっ、凄い荷物!」
「きゃ~! 無理しないで! 一回置きなよ!」
ドアの近くにいたからか、同じ二年の子に呼ばれた。
振り向けば、ドアの所に段ボールを抱えて脇に筒状の入れ物二つ抱えてよたよたしてた。
三人で直ぐに助けに行きました。そしてドアの外にいくつかの段ボールとプリントがありました。
「ぃっ」
「えっ! どうしたの木内君?」
段ボールを持って運んでいたら、木内君が小さく呻いた。顔も痛そうに歪んでる。
隣にいたしなちゃんがビックリしてる。木内君、大丈夫。って呟いたけど、大丈夫じゃないよね!?
木内君が持ってた段ボールを奪い取ってしなちゃんに目配せ。頷いたしなちゃんは、木内君の腕や手をペタペタ触って確認してる。
「川口さん、何でもないから……、っ!」
「お腹? ぶつけたの?」
「保健室行く? 湿布貼って貰いなよ」
三人で木内君を囲んで騒いでいたからか、三年生がどうしたの、とこっちに来た。
大丈夫だと苦笑する木内君を無視して、部長に木内君が怪我してることを告げると、部長も保健室へ行くように、とすぐに私達に賛成してくれました。
「いや、本当に、たいした事じゃないです」
「木内、怪我がほんとにないか、今ここで服剥がされるのと、保健室にいって自分から服捲るのと、どっちが良い?」
部長の分かりやすい脅しに、木内君は素直に保健室行きを選びました。
部長、チッて舌打ちしたの、全員に聞こえてますよ?
木内君一人だと行った振りするかも? と言うことで、三年生が一人付いていくことになりました。ついでに、部活用のバンソーコー補充するんだって。
家庭科部には専用の救急箱があるんです。
木内君を見送り、また段ボールやらプリントやらを運び込む。
中身は何だろうかと思ったら、三年生が使う授業の教材でした。家庭科部関係ないよね!?
「先輩、木内先輩大丈夫ですかね?」
「う~ん。どうだろう? とりあえず、三年生が付き添ったし、保健室にはたどり着くよね」
「でもさ~、木内君に着いてったの、小林先輩だよ? 多分嬉々として脱がされて触られてるんじゃない?」
「しなちゃん、怖いこと言わないでっ! めっちゃくちゃ想像に難くないから余計怖いっ」
一年生の子達が数人、心配そうに話し掛けてきたので答えれば、しなちゃんが明後日な方向で怖いこと言い出した。
確かに、小林先輩はへんた…げふん、極度のスタイルフェチで、色んな人の身体を観察したり触ったり写真撮ったりしてる。
……あ、立派な変態さんですね。濁さなくてもいいわ。
理性は一応あるらしく、観察対象は男子ばかりだから、女子部員は苦笑するだけで止めませんけども。
「木内君細いって、前言ってなかったっけ?」
小林先輩のフェチズムの射程範囲外だった気がする。と首を傾げれば、話を聞いていた一年生が否定した。
「あの…最近木内先輩、身長伸びて来て、細身だけどバランスが良いって……この前、小林先輩が呟いていたの、私聞いちゃったんですけど……」
「「ぅあちゃあ……」」
ダウトです、小林先輩。
どうしようも出来ない私としなちゃんは、保健室で半泣きになってるであろう木内君に、静かに黙祷を捧げた。
ガチ泣きかもねっ!




