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作戦を立てて

日曜日。

両親と弟、私の四人で一駅向こうにあるショッピングモールにお買い物に来ました。

目的は特になく。主に両親のデートを画策してみた次第です。


「お母さん、私ゲームコーナー行ってもいーい?」


お母さんは服を買おうとしてるみたいだし、時間かかりそうだから、とは言わずに光希と手を繋いでプラプラ意味もなく振ってみる。

お母さんはちょっと悩んで、お父さんをちらっと見てから、私に千円をくれた。


「光希と一緒に居てね? それから、ゲームコーナーから出ていかないこと。知らない人にはついていかないこと。何かあったら店員さんに言うのよ?」

「わかった!」

「わかったー!」


言い聞かせるようにゆっくり話すお母さんに返事をすると、光希も私の真似をして返事をした。

隣でちょっと眉をしかめてるお父さんを、ちょいちょいと手を動かしてしゃがませ、ないしょ話をしてみる。


「お父さん、お母さんとデート、楽しんできてね」

「っ! 晶子!?」

「行ってきま~す」

「ま~すっ」


頬を赤くしたお父さんとお母さん。

ないしょ話のつもりが、聞こえてたみたい。

光希の手を引っ張り、さっさととんずらしましょう。


お母さんとお父さんの離婚。

それは光希の死がきっかけなんだと思う。だけど、きっかけはあくまでもきっかけにしか過ぎないから。

少しでもすれ違いが生じないようにするの。そのためにも、普段から会話をして、お互いの考えやらちょっとした不満なんかを潰していくのよ。

二人っきりの時間って大事!


「光希、なんのゲームしたい?」


このショッピングモールのゲームコーナーは、小さい子向けのゲームゾーンと、大人向けのゲームゾーンと分かれている遊ぶ側に大変優しい作りになっている。

子供向けの方にはボールプールとか、簡易的なメリーゴーランドとかもある。

光希は左右をキョロキョロ見回し、ボールプールを指差した。


「あれっ! やりたいっ」

「プールね。いいよー、行こう」


光希に手を引かれて受付のお姉さんに千円札を出して、お釣りを貰う。無くさないようにスカートのポケットにしっかり入れて中に入る。

光希が靴を飛ばすように脱いで行ったので、それはちゃんと揃えました。私はお姉ちゃん! って感じでちょっと嬉しい。

弟って可愛いわぁ~。


「お姉ちゃんっ!」

「きゃっ!? やったわね光希っ」


軽くお腹にボールを当てられた。痛くはないけどびっくりしたよ。

足元に敷き詰められたボールに四苦八苦しながらも光希に近付いて行って、反撃する。


「そ~れっ」

「うきゃ~っ」


両腕いっぱいボールを抱えて光希に降らせれば、楽しそうな笑い声。

それからお互いにボールを降らせたり埋もれさせたり力の限り遊んでいたら、いつの間にか周りにいた子達も一緒になって遊んで騒いでいた。


「光希、もう帰るわよ~?」

「まだあそぶ~」


迎えに来た両親が呆れ返っても遊び続ける光希は神経太すぎると思いました。

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