お料理します
料理の手順やらはテキトーです。
私自身が大雑把に作る人間なので
文化祭は日曜だったので、月曜の今日はお休みです。
「亮く~ん、今日一日一緒って、何するの?」
約束通り、亮くんと過ごします。
私IN、桑崎家! です。
私達はお休みだけど、世間は月曜なので、亮くんちには誰もいません。
何故か、おばさんもいない。…いてほしかったなぁ。
「まだ時間は早いし、とりあえず映画借りてきた、観るか」
「は~い」
レンタルDVDの袋を掲げられ、素直に返事をして亮くんに着いていく。お茶とお菓子も忘れずに持っていきます。
亮くんの部屋にも、テレビが置いてあるのです。
今まだ九時少し前。今から映画だと、終わるのは十一時過ぎかな? そしたら、お昼ご飯を私が作る予定。
「何の映画?」
「晶子が前に観たいって言ってたやつ」
亮くんの部屋は和室です。
座椅子が二つあるので、テレビの前に並べ、お茶とお菓子をミニテーブルに置いてスタンバイオッケーです。
亮くんが借りてくれたのは、タイミングを逃して見れなかった洋画。
五歳の女の子と、隣に住む偏屈なお爺さんの交流を描いた物語。
ほのぼのした二人の場面から、お爺さんが女の子の親に糾弾される場面への切り返しが急すぎてビックリしたわぁ。
思わず亮くんにすがり付いてしまった。お父さんの迫力が、最早犯罪者に対するそれだよ。
「ふ~。結構ハラハラだったね~、これ」
「そうだな。面白かった」
亮くんも楽しんだようです。良かった、たるかったとか言われたら申し訳ないもんね。
時計を見れば、十一時。
お昼ご飯の材料買いに行かなきゃね。
もちろん亮くんと一緒に行きます。
亮くんちから近いスーパー。私行ったことない場所だわ。
「お昼はなに食べる? 結構色々作れるようになったよー」
お母さんに和食の基本から習ったし、洋食も、家庭料理ならば大体出来るようになった。
ただ中華はなかなか、うちそんなに中華料理食べないしなぁ。
お母さんが、油っこい料理好きじゃないんだって。
「そうだな…しょうが焼きが食べたい」
「しょうが焼きね! じゃあ豚肉と~、キャベツ。あ、じゃあお味噌汁のほうが良い? 卵とトマトのスープ?」
献立を決めながらスーパーの店内をクルクル回る。効率悪い? 仕方ないよ、決めながらだもん。
結果、しょうが焼きと卵スープ、ホウレン草のお浸しにポテトサラダとなりました。一汁三菜です…か? あれ、合ってる?
ご飯はおばさんがセットしておいてくれてます。流石に、ね。
買い物中、会計中、帰る時。周りの奥様方の視線が微笑ましかったのは、中学生が二人でお使いしてたから、かな?
可愛い夫婦だとか初々しいカップルだとか、聞こえたのは幻聴だ、きっと!
亮くんちのキッチンは対面式出はないので、顔を見ながら料理というわけにはいかない。
うちが対面式だから、壁に、っていうか、窓に向かいながら料理するのって、何か不思議な感じ。
「…亮くん、そんな真横で見てられると緊張するんですが?」
「気にするな」
いやいやいや、気になるからっ!
手元をジッと見られてると、なんか間違えてる気がして緊張するからっ! やりにくいよ~。
…うん、集中しましょう。
先ずはポテトサラダから。
じゃがいもを洗って、ピーラーで剥き剥き。四等分から六等分に適当に切って、水を張った鍋に入れて火にかける。
もう一つ鍋に水を張って火にかけておく。
ハムとキュウリを薄切りして、キュウリは塩揉みしてボウルに。
次にキャベツの千切りを作りましょうか。
二人分…亮くんいっぱい食べるかな? ちょっと多めにキャベツ四枚。さっと洗って、四枚重ねてクルクルっと。
猫の手でザクザク切ります。ちょっとくらい太くなっても、そこはご愛嬌ってことで。
あ、鍋がぶくぶくしてきました。
ほうれん草を、茎の方から入れます。
茎だけお湯につけて暫く待つ。それから葉っぱ部分を入れる。
あ、じゃがいもももうそろそろかな?
じゃがいもに一度菜箸を刺してみて…良さそうです。火を切って、あ、ほうれん草を先にしなきゃね。お湯をきって、流水にさらして。
じゃがいもはお湯をきったらそのまままた火にかけて軽く潰します。
良い感じに潰れたら、あら熱を取るためにしばらく放置。
それでは主役の豚肉です。
しょうが焼きのタレは手抜きですが、市販品で。
ふむ、浸け置きするタイプですね。バットに豚肉を並べて、上から回しかけて、放置です。
ほうれん草をぎゅっとして、三センチ位に切ります。調味料は、お醤油、みりん、砂糖ですね。
うん、良い感じ。ほうれん草を入れて混ぜ混ぜ。器に盛ったら白ごまパラパラ。
じゃがいもも、ハムとキュウリを混ぜ合わせて、マヨネーズを遠慮せずにたっぷりと。少ないとおいしくないからね。
二つは冷やしておきましょう。
さて、フライパンに油をひいて熱くします。
ここからは速いですね。
肉を並べるように入れて、焼き目がつくまでジッと待つ。動かさない。
ひっくり返して、もう片面もじっくりと。
焼き目がついたら、バットに残ってるタレを回しかけちゃって……
「出来たよ~」
「うん、旨そうだな」
亮くんよ。最初から最後までジ~ッと見続けたね。楽しかったのかい?
おばさんの用意していてくれたご飯をよそって、亮くんと二人分、ダイニングテーブルに並べてご飯です。
何故か私の分の食器類が一式有りますが、突っ込んではいけません。今更です。
亮くんはどれも完食してくれました。
食事中はあまり会話はしないけど、表情を見れば美味しいと思ってくれてるのは解るので問題なしです。
ご飯の後は他愛ないお喋りをしつつ、まったりしました。
お昼から出掛けるのかと思ったけど、二人でゆっくりしたいと言われたので、お部屋で過ごしました。
夕方頃に、帰ってきたおじさんに家まで送ってもらいました。
亮くんの機嫌は完全に治ったみたい。よかったよかった。