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残念賞ってことで、ヨーヨーを貰いました。
あの風船、水風船だったんだね。
テシテシと水風船を叩きながら、亮くんと一緒に調理室に向かいます。
一階にある調理室は、廊下とは別に外に出られるドアが付いています。
なので、教室で料理を受け取って、ドアから外に出て、中庭? に作られた長机と椅子の、簡易な食事スペースでの昼食になります。
「まだ早いから、あんまり人がいないね」
「ゆっくりできて良い。何食べる?」
「ん~、オムライス、か、カレー。……どっちが良いかなぁ~」
あ、みたらし団子がある。焼きとうもろこし…たこ焼き…
結構ラインナップが豊富で迷うよ~。
メニューを見て悩んでる私を、亮くんが微笑ましそうに見ているのは気付かないフリ。何か、光希よりも年下に見られてる感じするけど、気のせい! 私は気付いてないっ! ないったら、ないっ!
「うん、カレーにする!」
「そうか。じゃあ、席を取っておいてくれるか?」
「はぁーい」
亮くんに手を離されて促される。
二人分注文してくれるのも、持ってきてくれるのも、今更だから遠慮はないです。
外に出て、なるべく端の方の、日陰になってる場所に座る。木陰って、何か良いよね。
暫くすると、亮くんが両手にトレーを持ってきました。
亮くんは焼きそばにしたみたいですね。
ついでに、お茶も買ってくれたみたい。
お礼を言って、隣に座った亮くんと一緒に食べ始める。
外で食べるのって普段よりも美味しく感じるよね。不思議です。
「それじゃ、私そろそろ行くね」
「? 俺も着いていく」
ご飯をゆっくり食べて、いい時間になったので当番に行こうとしたら、亮くんに首を傾げられました。
どうやら私の当番にも付き合う気らしいです。
……亮くんには逆らうまい。機嫌悪くなったら嫌だしね。
亮くんと再び手を繋いで家庭科室へ行けば、先に来ていた飯塚先輩と佐川先輩にニヤニヤされ、からかわれていじられて終わりました。
凄く長い二十分間だった…。
亮くんは安定の亮くんでした。
「姉ちゃん、亮兄」
「光希」
「光希、一人か?」
精神的に長い当番が終わり、三年のお化け屋敷に行こうと廊下を歩いていると、後ろから声を掛けられた。
振り向けば光希が一人でいて、周りに親がいる様子はない。
どうやら二組とも学生時代を懐かしんでたりデートをし始めたので、さっさと離脱してきたらしい。
うちの両親も大概だけど、亮くんの所も…うん。
「光希も一緒に行く? お化け屋敷」
「うーん…僕は止めとく。まだお昼食べてないし」
「そうか。…お金貰ったのか?」
「あ、」
どうやらお金もらうの忘れたみたい。
私は昨日のうちに貰ったけど、光希はお母さん達と一緒に来たから、あとでって思ってたみたい。
私と、何故か亮くんまで光希にお金を渡して別れました。
どうやら光希は少年野球の仲間と待ち合わせしていたらしく、少し多めにお金を渡しました。
あとでお母さんに請求しよう。亮くんの分もね!
「結構並んでるね~」
「時間掛かりそうだな…どうする?」
「亮くんが良いなら入りたいな」
お化け屋敷のある教室にやってきました。
中には一組ずつ入っていってるからか、割りと多くの人が並んでいました。
最後尾に私達も並びます。生徒以外も結構いるなぁ。
並んでいれば、時々叫び声? 笑い声? が聞こえてくる。
うぅん、怖いのかなぁ? ちょっと不安になってきたぞ。
五分くらいして、順番が回ってきた。
受付の男子生徒が、私達を見てムッとした表情だったけど、何でだろう? まぁいいか。
亮くんと繋いでる手をきゅ、と握り直して、いざ出発!
「うわ、真っ暗…」
「足下に一応ライトがあるな…転ぶなよ晶子」
大丈夫、転ぶ前に亮くんが引っ張るから!
でも、結構本格的だなぁ。
くねくねした進路に、曲がり角で現れる脅かし役。吊り下げられてるナニカにマジビビりしました。
「、ヒギャッ!?」
「晶子っ」
ちっさな坂道の先、踏み出した足が空を切り……段差だった…見事にガクンって落ちた。
「び、ビックリしたーっビックリした~っ」
「大丈夫か?」
足下、体育マットかな? クッションで助かった。固かったら足首グキッて行くわぁ。
亮くんに手を引かれたけど、段差に落ちる方が早かった。
足を気にされたけど、痛めてはないから大丈夫。
そのままお化け屋敷を堪能? して出口から出る。
出たら亮くんに足首を見られたけどね。触られても痛くないし、腫れてないから大丈夫だろうってことで、文化祭の続きを楽しみます。




