亮くんの応援
今日は亮くんの出る剣道の大会です。
本選はちょっと遠い県営体育館でやるので、お父さんに送ってもらいました。帰りは亮くん一家と一緒に帰る予定です。
「光希、あの辺空いてる」
「うーん…あっちにしようよ。亮太兄の試合がどこでも、あそこならちゃんと見えそうだし」
少年野球が普通練習しかないという光希を誘って来たので、一緒に体育館の二階で観やすそうな席を探す。
結構観に来る人が多くてなかなか五人固まって座れそうな所がなくて困ったけど、横一列じゃなくて前後に分かれる形になる、五人分空いた席を見つけることはできました。
光希と前後に分かれて、荷物やハンカチを置いて場所取り。暫くすれば、おじさんとおばさん、敦さんが現れる。
「晶子ちゃん、光希くん、席取りありがとう」
「はい、二人ともお茶で良いかな?」
「ありがとう、敦さん」
「ありがとう敦兄」
五人で少し喋りながら待っていれば、すぐに大会が開催される。
この大会での成績で昇段も出来るらしくて、皆さん気合いが凄い。応援も熱気が凄い。
……おじさんの応援と言う名の怒号も凄かった……耳痛いです。
「順調だね、亮太兄」
「……驚くほど、ね…」
最初の方はスパンスパンと一本決めていったけれど、流石に三人目、四人目となってくれば相手も強くなる。
けれども亮くんは怯む事なく向かっていき、順当に勝ちを重ねていく。
もう、昇段は間違いなさそうです。
試合観ててもハラハラとかドキドキとかがないわぁ。安心して観ていられるって凄いなぁ。
残念ながら最後の一試合は負けてしまいましたが、昇段は大丈夫とのこと。
表彰と閉会式を最後まで観て、おじさん達と一緒に一階に降りる。
おじさんが車を正面に回してくれるので、私達は玄関で待機。亮くんともここで待ち合わせです。おばさんもおじさんと一緒に行きました。
「あ、亮太!」
「兄貴。晶子、光希も来てくれたのか」
「亮くん、お疲れさま! 格好良かったよ!」
「お疲れ亮太兄。姉ちゃんに練習休まされた」
ちょっと光希、その言い方は無いんじゃないかな?
敦さんが苦笑してるじゃない。亮くんは頷くだけじゃ、意味わかんないからね?
ぺし、と光希の腕を叩く。反応すらしないのがちょっと悔しい。
「姉ちゃん力無さすぎじゃない? 痛くないってか、痒いんだけど」
「も~っ!」
ぺしぺし叩き続けた場所を、光希は痒いと擦るだけ。
確かに本気じゃないけど、痒いって何よ。
「おーい。亮太も揃ってるな? 帰るぞー」
おじさんが来たので、皆で車に乗り込みます。
運転がおじさん、助手席がおばさん、光希と敦さんが真ん中‐って、言うのかな?‐最後尾席に私と亮くん。
おじさんの車は七人乗りの大きいやつです。
今日の試合についてや、強かった人、亮くん以外の試合の話何かをしていたら、肩にとん、と亮くんの頭が乗った。
どうしたのかと見れば、私に凭れるようにして眠っていました。
「珍しい、亮太が居眠りしてる」
「亮太兄、頑張ったもんね」
敦さんがこっちを振り返ってクスリと笑った。
おばさんもあらあら、なんて言って微笑ましそうに見るだけ。
疲れてるだろうから。とそのまま寝かせることに。
「シートベルトがちょっとキツそうだけど…」
「あー、流石にベルト取るのは危ないからな。晶子ちゃん、少し亮太の方に体をずらせるかな?」
敦さんに、ベルトを手で緩めて亮くんの体をちょっと押して…。と指示されるまま体を動かして、何とか亮くんの体勢を無理の無いような形にする。
私の体勢がちょっとキツいけど、まぁ耐えられないほどじゃないから、良いかな。
帰り道でスーパーにも寄ったけど、亮くんは家に着いて敦さんに起こされるまで眠り続けました。
大会の様子や昇段については、全て想像、むしろ創造です。
実際とは違うと思いますが、見たことないので許してください。




