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午前中の競技が終わり、お昼休憩です。

各自お弁当持参ですが、中学の運動会は保護者参観無しなので、皆教室での食事になります。


早苗ちゃんとお弁当を食べてまったりしていたら、亮くんがクラスに来ました。

手には日焼け止めを持っています。

……はい、またスプレーを吹き掛けられました。

クラスの子達の視線が痛いです。


「亮くん、私自分で持ってるよ」


ちゃんとつけるからちょうだい。と手を差し出せば、亮くんはちょっと考えて……日焼け止めを持っていってしまいました。


「早苗ちゃん、私ってそんなに信用ないのかな? ズボラに思われてる?」

「いや、あれは信用とかじゃなくてさぁ……牽制とかそういう……」


最後の方はあんまり聞こえなくって聞き返したら、世話焼きたいんじゃない? って笑われた。

私、光希と同レベルに扱われてるの?


「ねぇ、神代さん! あれって一組の桑崎君よね!」

「どういう関係? 付き合ってるの?」

「えっ!?」


そろそろ戻ろうか。と早苗ちゃんと教室を出ようとしたら、クラスの女の子数人に囲まれた。

どうやら亮くんが気になるらしい。まぁ、格好良いしねぇ。


女の子達の勢いやら熱気やらに戸惑っていたら、早苗ちゃんがずい、と前に来た。


「早苗ちゃん?」

「晶子ちゃんと桑崎君はね、小学校からずーっとラブラブなんだよ!」

「「「キャーッ!」」」

「ちょ、早苗ちゃん?」

「晶子ちゃんのおうちにも普通に行くし、おじさんおばさんとも公認なんだって~」


盛り上がる女の子達。

って、ちょっと待って? なんで早苗ちゃんが、ピアノの発表会のこと知ってるの?

修学旅行のことは、私話したこと無いよね?

……あ、かなちゃんからっスか…由紀乃ちゃんも情報源? …光希からも……だと?


数人の女の子達のきゃっきゃした会話の中心…の筈なんだけど、なんか疲れるよ。

何で皆、人の恋ばなー恋人ではないけれどーで盛り上がるの? 当事者わたしそっちのけで楽しそうですね。


早苗ちゃんと女の子達と、校庭に戻る。

その頃には、私と亮くんは付き合っている。という認識になってしまいました。

あれ、デジャヴ? 小学校の頃の再現ですか?


「…早苗ちゃん、盛り上がらないで。ほら、午後イチで競技でしょ?」

「あ、ほんとだ。集合し始めてる! 山科さん、行こ!」

「本当だ、ヤバッ」

「「「いってらっしゃ~い」」」


入場ゲートで先生が集まった生徒を並ばせてるのを指差せば、早苗ちゃんと山科さんは慌てて走っていった。

……とりあえず、亮くんの話は終わったよね?




午後はリレー競技が二種類、あとはムカデ競争に借り物競争、障害物競争がある。

午前中にリレー競技が固まってるのは、なんでだろうね?

クラスの女の子達とお喋りしたり応援したり、格好良い先輩を見つけて山科さんと犬塚さんが騒いだり。

前の人生は、こんなに楽しかっただろうか? とふと考えてしまった。


「晶子」


……訂正。

考えようとしたら、亮くんが日焼け止めを持って後ろに立っていました。


周りにいた子達がサッと退く。

そしてニヤニヤ? ニヨニヨ? した笑顔で見守る体勢になった。

って、かなちゃんがまざってる! いつの間に!?


「亮くん…午後の競技は? 何か出るっけ?」

「いや。俺は無いな」


周りの視線と、多分塗り残しがないかじっと見ている亮くんの視線に気を紛らわそうと話を聞いてみれば、サクッと返された。話が広がらないよ。

一組には、目立ちたい男子や運動が得意な男子が多いらしいから、大半の男子は一競技のみでお役御免らしい。羨ましい。


「晶子はこの後、借り物競争だろう? 転けて怪我するなよ」


速く走らなくてもいいんだから。と諭された。

亮くん…私別にそこまで運動神経悪くないよ?

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