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運動会です

お父さんの料理はとても美味しかったです。

女として色々負けた気がする。


「と言うわけで、お母さんに料理を習うことにしました」

「…いや、お父さんに習ったら?」

「それは敗北感とか屈辱感とかが凄そうだから…」

「……まぁ、そうね。わかるわ、何となく……」


由紀乃ちゃんに宣言をしたら、案の定呆れた表情をされました。けど、理解はしてもらえた。

父親が自分より料理上手って、何か言い様の無い敗北感半端無いよね。


かなちゃんと早苗ちゃんは委員会で居ません。運動会の実行委員になったので、準備とプログラムとかの説明だとか言ってたよ。準備期間短いから大変だ。


「運動会かぁ~。由紀乃ちゃんは何に出るの?」

「百メートル走、四百メートルリレー、学年対抗と部活対抗」

「うわ、走ってばっかり」


私なんて借り物と玉入れだけだよ。走る気? ありませんよ。


「早苗ちゃんも百メートル走出るって~」

「かなも結構登録してたわよね」

「皆アクティブだね~」


イロモノに出る私が不真面目みたいじゃない。

机にへちゃりと突っ伏すと、由紀乃ちゃんにふ、と笑われました。


しかしまぁ、テスト終わったら運動会して、今度は期末テストがすぐにある。

中学生も結構多忙ですよ。夏休みまでがあっという間だよね。

部活も縫いぐるみがなかなか上手くいってるので、夏休みまでにはウサギとネコ、両方出来上がるかなぁ?


「運動会……終わった後が、晶子は大変だと思うわよ」

「え、何が?」


由紀乃ちゃん? 明後日の方を見ながら変なこと言わないでくださいよ。ちょ、せめてこっち向こうよ。何を悟ったの!?




由紀乃ちゃんの言葉の意味がよく解らないまま、運動会当日を迎えました。

結局何も教えてくれなかったし。なんなんだろう?


「晴れたね~」

「ね。暑くなりそう」

「晶子、日焼け止め」

「え?」


早苗ちゃんと一緒に、まだ人が疎らなクラスの席に座っていたら、亮くんが日焼け止めを取り出しました。ていうか、いつの間に来ました? ……愚問か。

家で塗ってきたんだが…。あ、はい、二時間経つからね、塗り直せと。


日焼け止めを受け取り腕や足、首なんかに塗っていく。勿論顔も。

そして亮くんが取り出したのは、スプレータイプの日焼け止め。

座ってる私の前に立ち、私の頭全体にスプレーし始めた。


「晶子ちゃん…至れり尽くせりって、言うのかなぁ…?」

「……ハハハ…」


早苗ちゃん、引かないで。

やってもらう。というか、やられる事に関しては、何も口を挟めないんだよ。

うちの親から何か言われたのか、自主的なのかは判らないけど、何か言えば最終的にもっと恥ずかしい事になる。絶対になる。

嫌な確信だよね。


ついでだから、と早苗ちゃんにも日焼け止めを貸して、亮くんが持ってクラスに帰っていった。

渡しておいてくれればいいのに…。二時間ごとに来る気かなぁ?

私はそんなに信用ないの? まぁ、多分言われないと忘れるけどね。

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