部活を決めます
一学期の最初は校内の案内だったり部活動紹介、委員会紹介、各教科での自己紹介で覚えることがたくさんある。
その間に友達を作ったり、かなちゃんと由紀乃ちゃんに早苗ちゃんを紹介したり、そしたら長谷部君が仲間外れは嫌だと乱入してぐだぐだになったりした。
「早苗ちゃんとかなちゃんは、部活決めた?」
仮入部が明日から始まる、という放課後。
由紀乃ちゃんのクラスが終わらないのでクラスでお喋りしながらまってます。
帰る道は違うんだけどね。駐輪場まで一緒に行くんです。
「部活ね~…やっぱりテニスかなぁ」
「アクティブだね、かなちゃんって。私は美術部かな」
「二人とも決まってるんだね~」
亮くんは道場での時間が少なくなってきたからって剣道部だし、長谷部君はサッカー部でしょ?
決まってないの私だけだよ~。
「晶子ちゃん、決まってないの?」
「う~ん。家庭科部かなぁ、とは思ってるんだけど~、運動部もちょっと良いかもとか考えちゃってさ」
「運動部? 何処が良いの?」
かなちゃんにテニス部どう? と聞かれたけど、やるならバレーボールかなぁ?
でも、小学校でやってないから知り合いとかいないだろうし。どうしようかなぁ。
「お待たせ。って、どうしたの晶子ちゃん」
「由紀乃ちゃん」
机にぐでぇ、と突っ伏してる私を見て、由紀乃ちゃんが首を傾げた。
かなちゃんが笑いながら理由を話せば、由紀乃ちゃんは呆れた表情でため息を吐いた。見下ろされてるから、ちょっとグサッとくるわぁ。
「好きなところに入れば良いじゃない」
「おっしゃる通りです~」
さっさと帰りましょ。とかなちゃんと早苗ちゃんを促す由紀乃ちゃん。
私への優しさがないわ~。
ノロノロ起き上がり、置いていかれないよう三人を追う。
話の続き、とばかりに由紀乃ちゃんはどの部に入るのか聞けば、水泳。と一言で答えられた。
「水泳かぁ…それって、冬の間はマラソン部に成り代わるって言う……」
夏しか泳げないから、秋から春の間は体力作りでずっと走ったりしてるって言ってたよね?
大丈夫なの? と聞けば、体力付くし秋からは毎年ダイエットしてたから、丁度良いわ。と由紀乃ちゃんは笑った。
仮入部はお試し、体験するためにあるそうなので、とりあえず色々見て、やってみた。
……うん。やっぱり運動は向いてないらしい。辛い。
「で? 結局家庭科部にしたの?」
「だって、バレー部凄かったし、テニス部も見てみたけど、初心者はよっぽどやる気と覚悟ないと無理。私にはそんな根性ありません」
リビングのソファに座りながらお茶を飲む私に、キッチンで洗い物をしてるお母さんがクスクス笑いながら言ってきた。
一応反論をしたけど、余計に笑われてしまった。
「まぁ、晶子が決めたことなら構わないけどね。家庭科部ってことは、お料理かしら?」
「ん~と、普段は裁縫だったかな。割りと好きなもの作って良いみたい。それから、月に一回土曜か日曜に調理実習? だったかな?」
説明されたことを思い出して伝えれば、花嫁修行ね。とにっこり笑われた。
どういう意味かな? 早く嫁に行ってしまえと?
「……掃除と洗濯は習わないから無理かな」
「あら、それならお母さんが教えるわよ~。ついでに、今度からお弁当、自分で作ってみる?」
「え~」
にっこにっこしながら言わないで欲しいな。何か企んでますか?
実の母親の考えが解らないわ。




