中学校、入学
高柳書店は、後を継げる人が居ないので閉店することになりました。
早苗ちゃん達は、店主さんの思い出があるから、とそこに住むことにしたそうです。
一階のお店部分は、落ち着いたら貸し店舗にするのだとか。
店兼店主さんの住まいだった建物の片付けは一週間くらいかかるそうです。
私が行っても足手まといなので手伝いをすることは出来ないです。
早苗ちゃんは学区が代わり、私と同じ中学に通うことになりました。
「早苗ちゃん!」
「晶子ちゃん」
四月、入学式です。
真新しい制服を着た私達。クラス分けを見てから教室へ行けば、直ぐに早苗ちゃんを見つけられた。
まだ少し元気が無さそうだけど、うっすらと微笑んでくれた。
「よかった。一緒のクラスに友達居なくてさ~」
「ふふ。私も居なかったから、心強いわ」
一年間よろしくね。と挨拶しあい、先生が来るまでお喋りを楽しむ。
去年のクラスメイトも何人か居たから、その子達とも挨拶し合って、早苗ちゃんを紹介して。
女の子達の反応は否定的なものじゃないから、これなら、大丈夫かな?
「晶子。…と、高柳。一緒のクラスか」
式もクラスでの連絡もさくさく終えて、さぁ帰ろう。と思ったら、亮くんが顔を出しました。
亮くんは一組です。私と早苗ちゃんは三組。
因みにかなちゃんは四組、由紀乃ちゃんと長谷部君は七組です。
一年は八組まであるんです。大きな中学だよね。
「亮くん、どうしたの? 待ち合わせは正門じゃなかった?」
「桑崎君、久しぶり~」
新しいクラスに他クラスの子が早速訪れる。なんて注目されますよ。
ほら、ざわざわしちゃってるよ。主に女の子の色めき立った声が聞こえる~。
中学は学ランですが、亮くんには黒が似合っていますね。
他の一年生はだいたい制服に着られてる感? ちょっとぶかっとしてるんだけど。
亮くん、制服のサイズ測ってから伸びちゃったからなぁ、身長。
一ヶ月で三センチ伸びたって。羨ましい。
「父さん達、先に帰るから二人で来いって。うちで呑むとかで、酒買いに行った」
「マジか……」
おじさんとお父さんが揃うと、どうしてもお酒がセットになっちゃうんだよね。
主役は私達じゃないの? あれ、これつい最近言った気がする。
「ごめん早苗ちゃん」
「ううん。相変わらず仲良いね~。私も、お母さん待ってるし、一緒に玄関まで行こ?」
呆れてため息を吐いていたら早苗ちゃんに笑われちゃった。
かなちゃん達も早苗ちゃんに紹介したかったんだけどなぁ。
三人で玄関まで行き、早苗ちゃんのお母さんに挨拶をして別れる。
早苗ちゃんのお母さん、お葬式の時より痩せた? 顔色がちょっと悪いなぁ。
早苗ちゃんが何か話しながら、先導するように腕を引いて帰っていった。
「おばさん、体調悪そうだな」
「そうだよね。早苗ちゃん、しっかりしてるなぁ」
亮くんと二人、何となく早苗ちゃん達が見えなくなるまで見送ってから、亮くんの家へ向かった。
遅いぞ。と言いながら顔を赤くしたお父さんズに出迎えられて、二人で深いため息を吐いた。なんか、最近私達ため息多くない?
あ、因みに私も亮くんも自転車通学になりました。




