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小学校、卒業

早いもので、とうとう小学校卒業です。


「晶子ちゃん、春休みどうする~?」

「お花見行きたいね~」

「もう咲いてる?」


式が始まる前、教室ではいつものテンションで会話が進む。

まぁ、中学校は同じだもの。親の転勤だとか、私学へ進学だとかがなければ、別れないしね。


小学校は私服だから、女の子は色々華やかな服装が多い。

男の子は学ランかブレザーだけど、中学が学ランだからかな、ブレザーは数人しかいない。


「晶子」

「亮くん。あれ? カメラ?」


振り返れば、亮くんと長谷部君。

長谷部君は学ラン。亮くんはブレザーです。

……はい。予想した通り、亮くんと私の服はお揃い仕様ですよ。うちのお母さんと亮くんのお母さんにデパート連れていかれて色々試着させられました。

二人に似合う色、と言われて薄い藤紫色のネクタイもお揃いです。あ、私のはリボンタイですよ。


「長谷部が皆で写真撮るって。皆川達も」

「長谷部君のカメラなんだ? 撮ろ撮ろ~」

「親のだけどな、借りてきた」

「黒板の前がいいわね」


五人で黒板前に行き、クラスの子に頼んで写真を撮ってもらう。

その後、私達女子三人の写真も撮ってもらったり、亮くんと長谷部君の二人で撮ったり。当然のように亮くんと私の二人で撮ったりしました。

途中、クラスの子達も集まりだして、最終的には先生も混ざって皆で撮りました。


「じゃあ晶子ちゃん。また明後日ね~」

「うん。一回電話するから」

「晶子ちゃん、桑崎君、またね」

「おう、明後日な」


式は恙無く終わり、校庭で暫くお喋りしたあと、徐々に帰る人が多くなる。

かなちゃん達も親に呼ばれたので、遊ぶ約束を確認しつつ別れた。


「さて。私達もお母さん達に合流しなきゃね」

「そうだな」


この後はうちの両親と光希、亮くんの両親と私達の七人でお食事会です。

光希は卒業式には出れないので亮くんの家で敦さんとお留守番をしているのよね。お父さんが迎えにいっているので、お母さんは亮くんの親といる。


そしてなぜか、五人で先にレストラン行っちゃうのよ。私達を待ってはくれないの。主役って私達だよね? おかしくない?

敦さんはこの後は用事があるので食事は一緒には行けないそうです。残念。


「……やっぱり、卒業生って判りやすいよね。服装とか、持ってるもので丸判りだし」

「徒歩とかバスでも、親が一緒だよな。普通……」


卒業生二人、卒業証書の筒と花束を入れた紙袋を抱えてバスに乗ってます。

視線がチラチラと向けられてます。凄く微笑ましそうな視線です。

いつも冷静、周囲の視線なんて気にしない亮くんが、流石に呆れて居心地悪そうだよ。

二人で深いため息を吐いてしまいました。


しばらくバスに揺られて、教えられていた停留所で降りる。

確かバス停で待ってるって……


「お姉ちゃん、亮太くん」

「おぅふ…光希」


光希が一人で待ってました。


「光希、一人か?」

「僕一人だよ~。お母さん達は先にレストランでお喋り始めてる~」

「えぇー……」


なにそれ。四年生に案内させるのはどうなのよ。

光希は入り口で案内してくれるスタッフさんに私達を連れてくるから、と言って出てきたそうです。

なんだろう……光希がどんどんしっかりした子になっていくわ。まるで亮くんのようだよ。そのうちフェミニストになりそうだなぁ。


「ありがとう光希。きっとお母さん達、私達が来てないこと忘れてるんじゃないかなぁ」

「いると錯覚してるとか? ……ありえそうで嫌だな」

「今日の主役はお姉ちゃん達なんだけどねー……僕もお姉ちゃんの予想にさんせい」


三人でレストランに入ってスタッフさんに案内して貰えば、予想通り、四人からあれ? 今来たの? と首をかしげられました。酷くないかい?


「じゃあ、改めて。亮太、晶子ちゃん、小学校卒業おめでとう」

「おめでとう二人とも」

「おめでとう。もう中学生になるのね~」

「あんなに小さかったのに……早いわね~」


大人達は感慨深げに頷き、小さい頃の私や亮くんの話に花を咲かせ始めた。

恥ずかしいから止め……いや、亮くんは全部知ってるし、今更か?


話を聞いていて思ったんだけど、私と亮くんって、所謂幼馴染みってやつよね。

前の時はそういう子はいなかったから、ちょっと嬉しいかも。

あ、食事は大変美味しゅうございました。

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