小学生になりました
文字数がバラバラで申し訳ありません。
なかなか切りのいい部分が解らない。
よく観察し、周りの言動を真似て協調性を持ちつつもやりたくない事には妥協せず歯向かって過ごした保育園。
飛ばしたとかではありません。
ほぼ同じ毎日なため、報告するような事柄が無かったのです。
まぁ機会があればその内、ね。
気を取り直して。
今日から私、小学生になります。
「お母さんお父さん、はやくっ」
私は笑顔で二人を急かし、光希と手を繋いで校門をくぐった。
`前の時´に六年、しっかりと通っていた小学校も、懐かしいけれど何だか真新しく思えてドキドキわくわくする。
「ひろーいっ。すごいねぇ」
「そうだね。光くんはもうちょっと後から、いっしょに来れるようになるよ」
キラキラした目できょろきょろと見回す光希に言って、私も同じように周りを見る。
男の子はジャケットにネクタイがほとんどだけど、女の子は服の型がバラバラ。ワンピースやセットアップっぽいの、高校の制服みたいな子もいる。
お母さんとお父さんが追い付き、四人で体育館へ向かう。
光希と手を離し、自分のクラスへ行くことにする。お母さんに頑張って、と笑顔で言われてしまった。
何を頑張るの?
「一年三組の皆さん、こっちに集まってくださーい!」
担任となるであろう先生の声があちこちで聞こえる。
新入生の集団に紛れ、私も自分のクラスの先生の近くへ行き、指示通りパイプ椅子に座る。
皆緊張しているのか、割りと静かに行儀よくしているみたい。良い子だわ、皆。
「みなさん、入学おめでとうございます。みなさんは……ですので、…から……という…」
…長い。物凄く長いよ、話が。
進行役の先生、PTA役員、教頭ときて、校長のお祝いの言葉。
何回体験したとしても、絶対に慣れないこと第一位だと思うの。
ちら、と周りを見回せば、眠そうな子や長時間同じ姿勢なのがツラい子、話に飽きて隣の子とお喋りし始めてる子。
全体的にだらけた空気ですね、分かるよその気持ち。
というか、役職持ちの大人ってなんで話が長いんだろうね? しかも大抵脱線した内容になってる。
「…早く終わらないかな?」
「ね、つかれちゃった」
隣を見たらちょうど隣の子も私を見てて、小さな声で笑いあった。
よし、友達ゲット! ボッチ回避!
暫く笑っていたら、漸く校長の話が終わり、退場となった。
初日は教室の場所、靴箱の場所の確認やランドセルを置くそれぞれの場所に自分の名前シールを貼って、担任の先生の自己紹介のみで終わった。
生徒の自己紹介は明日らしい。
担任の先生は濱田美岬先生。
新人ではないがベテランでもなく。三十代半ば? 小綺麗だけれど、多分結婚してないし、彼氏も居なさそう。
いや、まぁ前回彼氏いない歴=年齢の私が言えたことではないわね。そっか、恋愛経験無かったわ、私。
「それではみなさん、明日も元気に学校へ来てくださいね」
「「「はーい」」」
さようなら、の挨拶を皮切りにいつの間にかいた保護者達が廊下から自分の子を呼び、ばらばらと帰路についていく。
私もお母さんに呼ばれて席を立つ。今日は荷物が何も無いから楽だわぁ。
さて、明日から友達作りを頑張りましょう!
小学生二日目、先生の挨拶を経て一人一人の自己紹介をする。
と言っても、名前位しか言うことはないんだけどね。
それよりも、驚いたことに高校が一緒だった子が三人もいた。
まさか小学校から一緒だったとは…記憶に無かったからつい凝視してしまったわ。
「神代晶子です、よろしくお願いします」
私の自己紹介はこれだけ。クラスの半分以上同じように名前だけしか言わないのでこんなものなんだろう。
たまに習い事をしてるとか、動物が好きだとか言う子がいるくらいかな。
さてはて。
無事に小学生生活がスタートしたわけだけど、私は悩んでいます。
私の思い出せる限りの後悔のうちの最初の出来事。
弟の死、である。
まぁ実際に詳しい日時は覚えてないけど、確か私が四年生くらいの時だった気がするのよね。
病死ではなかったはず。
うっすら覚えてるのは、光希の冷たい体と真っ青な顔、手についた赤。
そう、確か私が最初に見つけた。後悔したんだ、なんでっ、て。
なんで光希を一人にしたのって、泣いた気がする。
辛すぎて、段々と`弟´の存在そのものを忘れた。ううん、忘れようと目を背けた。
光希と`今´一緒に居て、`前´の記憶が少しずつ思い出されるの。
「絶対、光希を死なせたりしない」
そうそう、同じクラスにかなちゃんがいたのよね。
「かなちゃん、おはよう」
「おはようしょうこちゃん、席はなれちゃったね」
「こんなにすぐに席替えすると思わなかったよ」
入学して一週間したら、急に席替えをしましょう! って、先生何いってるの? って空気になったよ。
せっかくかなちゃんが斜め後ろの席で、心強かったのに。
まぁ周りの子達とも仲良くなれたから良いんだけどね。
「しょーこちゃん、かなちゃん、おはよ~」
「「おはよう、ゆきのちゃん」」
教室の外から声を掛けられて、二人で廊下に出る。
ゆきのちゃんは残念ながら1組でした。
でもしょっちゅう来てくれるし、私達もクラスに遊びに行ってるから仲良しです。
そうだ、二人のフルネームが今更だけど判りましたよ。
野崎かなちゃんと南川由紀乃ちゃん。
みなみがわと書いて、ミナガワって読むんだって。
かなちゃんは平仮名。漢字より平仮名の方が可愛いってお母さんがつけたらしい
。
三人で暫く他愛もないお喋りをしていたらチャイムが鳴って、由紀乃ちゃんが慌てて教室に帰っていった。




