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修学旅行

うちの家族と桑崎家との関係は良好過ぎるほど良好です。

色々突っ込みたいことは流しつつ…


あっという間に修学旅行です。

早い? 私の精神安定のために、今までのことは聞かないで。


「おはよー、晶子ちゃん!」

「おはよう。テンションたっかいねー、かなちゃん」

「昨日寝れなかったみたいね」


跳びはねてるかなちゃんに苦笑すると、由紀乃ちゃんが呆れる。

由紀乃ちゃんの言ったことは合っていたらしく、かなちゃんはてへ、と笑った。


「バスで酔わないでよ?」

「大丈夫! バスん中で寝るからっ」

「え~…」


きゃいきゃいはしゃぎながらクラス点呼を待ち、バスに乗り込む。

バスで高速を使って奈良まで行くから、一日目はほとんど移動で終わりなんだよね。


バスの座席は班ごとになる。

私達の班は、私とかなちゃん、由紀乃ちゃん、それから亮くんと長谷部恵斗はせべけいと君の五人班。

男女混合なのは、担任の先生の意向です。男子だけの班だと迷子や遅刻が多いから、今年から混ぜよう。となったらしい。

女の子の方が時間管理出来るらしいよ?


「晶子、荷物貸して」

「あ、うん。ありがとう亮くん」


私の隣は当然のように亮くんです。今更ですね。

大きな荷物はバスの荷物置き場? 下の部分にいれたけど、財布やお茶とかはリュックや肩掛けカバン。

亮くんに手を出されて自然にリュックを渡せば、座席上の網棚に置いてくれた。


「おぉ…桑崎はナチュラルにまた……」

「あれがハイスペック彼氏…」


何か長谷部君と由紀乃ちゃんが言ってるけど、気にしない。っていうか、ハイスペック彼氏なんて言葉、どこで覚えたの由紀乃ちゃん。


亮くんからの申し出を断ると、結果としてもっと恥ずかしいことになるからね。

例えば今のだと、リュックを自分で置くとか言ってやろうとすれば、亮くんは余裕で手が届いても私はギリギリ。

リュックが結構重いし、つま先立ちで頑張ることになる。そしたらきっと焦れた亮くんが背後から手を貸すのよね。

端から見たら、きっと後ろから抱き締められてるのと変わらない感じになるわ。

……うん、恥ずか死ぬわぁ。


だから私は、亮くんの申し出は断らない。よっぽどのことがなければ、好意に甘えます。


「よし、南川、野崎、俺が荷物を置く!」

「ありがとー長谷部君」

「真似っこねぇ」


考えごとしてたらなんか後ろでわちゃわちゃしてる。

まぁいっか。長谷部君も立派な男前紳士になるのかしらね?




『皆さん、おはようございます。今日からの修学旅行でバスガイドをさせていただく~~~~』


出発してすぐ、正面に立ったガイドさん。

自己紹介を簡素に済ませて日程をおおざっぱだけれど教えてくれる。

やっぱり今日はほとんど移動だね。


「お昼ごはんは道の駅だったよね」

「そうだよ。地元の山菜と牛肉の定食だよね」

「山菜って俺食べたことねぇや」

「俺も~」


後ろでかなちゃん、由紀乃ちゃん、長谷部君と他の班の男子が喋ってる。

かなちゃんと由紀乃ちゃんが隣同士で、長谷部君は通路を挟んだ隣に、他の五人班の一人と座ってます。

私も会話に入りたいけど、走行中に下手に後ろばかり向いてると、酔うのよね。

だから我慢。


「ん? 亮くんそれなに?」

「光希がくれた。交通安全のお守りだな」


あ、私ももらったわ~。

亮くんに私の分も見せれば、心強いな。と笑った。

うん、全日バス移動だしね。間違ってない。

光希よ、ありがとう。お姉ちゃんはおみやげを奮発しちゃうよっ!




さてさて、渋滞もなく順調に走行したバスは、正午少し前には初日の第一目的と言っても過言ではない、サービスエリアに着きました。

ここは一般道からも入れる、いわゆる道の駅です。

まぁ小学生なので、野菜とかの物産品は見向きもしません。ひたすらごはんに意識が行っています。


「はいじゃあクラスごと、班で固まって座ってくださーい」


先生達がそれぞれクラスに声を掛け、ざわざわしながらも徐々に着席していく。

私達の班もさっと座り、……かなちゃんが目の前のごはんをじぃっと見詰めてる…ちょっと怖いよ?あと、ぐぅ、って音が聞こえたのは……うん。気のせいにしておこうかな。


私も改めて食事を見る。

キノコの炊き込みご飯に山菜のお味噌汁。山菜の天ぷらとおひたしに漬物。

見事に山の幸尽くし。


……確か、この天ぷらスッゴい苦かったんだよね……

残しちゃダメかな? ダメ、だよね~。


「いただきます!」

「「「いただきます」」」


はっ! どうしようか考えてたら、挨拶終わってた!

慌てていただきますをして箸を取る。

とりあえず後回しにしよう。


「おいし~」

「う、苦い…」

「しゃきしゃきしてるね」

「おかわりしてくる」


ざわざわと楽しそうに食事が進む。

お味噌汁やご飯は美味しい。天ぷらは、野菜もかき揚げになってたから、それは食べた。

そして、山菜の天ぷらだけが残ってしまった。


「……お茶、おかわりしてくる」


お味噌汁残しておけばよかった。

無くなってしまったものは仕方ない。おかわりしてもお味噌汁は具もあるからなぁ。おなかいっぱいになっちゃうから無理かな。


山菜の天ぷらは、冷めてしまったけど、衣はサクッとしていて、一噛みごとに草の味が広がってとても苦かったです。

一番最初に食べちゃえばよかったなぁ。

……あれ、なんか前の時も、同じこと思った気がするわ……

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