知らなかった
高柳早苗、さん。
前の人生の時、中学、高校が一緒だった女の子。
あまり目立つ存在ではなかったけど、中学の時は同じ大人しめの女の子グループで控えめに笑っていた。
何時からかは分からないけど、段々孤立していって、高校の時は常に一人で、笑顔どころか、声も聞かなくなって………
……決して、こんな全力の変顔をさらす子じゃなかった筈。
「キャハハハハハッ!!」
「ほーら光希君、次はこんなよ~」
「あーっ! キャーッ」
うべろ~ん。と声を出しながら、両手で頬や瞼を摘まんで引っ張り光希を笑わせてる早苗ちゃん。
楽しそうだね。
「……こんな性格だったんだ……」
いや、楽しそうだからいいんだけどね?
`前の時´はもっと大人っぽくなかったっけ?
あれ、私と関わったから? え、私のせいですか? いやいや、そんなばかな。
私自身、こんな変顔したことないよね?
早苗ちゃんとは高柳書店で会うようになって。ピアノ教室の帰りに行くこともあれば、こうして光希と一緒に休日に一日遊ぶこともある。
というか、ほぼ光希と遊んでる早苗ちゃん。
兄弟が憧れだと言っていたから、光希を弟として可愛がってくれているみたい。
「楽しそうだな」
「そうだね。完全に私達のこと放っておかれてるけどね」
そうですよ。当然ながら亮くんもいるんですよ。
早苗ちゃんに、二人で思う存分いちゃついてていいよ! 的なスッゴい笑顔された。ていうか、言われたわ。
否定するのもちょっと面倒になってきた今日この頃。
店主さんに出して貰ったジュースを飲みながら二人を眺める。
不思議だ。前の時には全く接点がなかったのに、こうやって楽しそうに笑いあってる。
「晶子ちゃん達もトランプしよ~?」
「お姉ちゃん、亮太くん、遊ぼー」
しみじみしてたら、二人に呼ばれた。
どうやら変顔は終わったみたい。良かった。
「いーよ~。なにやる?」
「光希がいるならババ抜きか神経衰弱。あと、七並べか?」
亮くんと顔を見合わせて、笑いながら二人に近寄る。
テーブルがないほうがやりやすいからね。
大富豪とかポーカーは出来ないから、とりあえずババ抜きを。
……ポーカーは早苗ちゃんも出来ないって。普通は小学生はやらない?
私と亮くんは私の両親とたまにやるから出来るのよ。おかしい?私じゃなくて、亮くんがおかしいよね。
こうやって少しずつ早苗ちゃんを知っていくけど、なんであんなに大人しかったのか、疑問が大きくなっていくだけです。
本当に、目を疑うくらいはっちゃける子なんだよね。




