イイ性格だね
お昼御飯を家族でーー亮くんも勿論一緒にーー食べて、しばらく休んだら出発です。
「いってきま~す」
「まーすっ!」
「いってきます」
光希を真ん中にして、三人で手を繋いで行くことになりました。
亮くんに手を引かれるよりは、ましかな?
商店街を通り、はしっこにある本屋さんに到着する。
ちゃんと見れば、高柳書店って書いてあるわ。見落としてたのね。
「こんにちは」
「こんにちわー!」
カラカラと引き戸を開いて声を掛ければ、奥から早苗ちゃんが顔を出した。
「晶子ちゃん、いらっしゃいませっ」
「いらっしゃい」
早苗ちゃんは若草色のエプロンをして、にっこり笑っておじぎをした。
その後ろから店主さんも出てきて、私達を見て笑顔を深めた。
二人に光希を紹介して、手土産のカステラを渡す。
店主さんがちょっと困った顔をしたから、早苗ちゃんに皆で一緒に食べよ。と話を逸らした。遠慮されても困るしね。
「はい、じゃあこれがご注文の本だよ」
「ありがとうございます!」
「お姉ちゃん、僕も読むー!」
「うん。一緒に読もうね」
今回はお母さんにお金を両替してもらってきたから、百円玉ばっかりではないよ。
紙袋に入れて貰った本を受け取り、光希と読む約束をする。
早苗ちゃんに促され、カウンターの奥の部屋へ上がる。
そこから、店からは死角になる位置に階段があって、二階に向かうと広いリビングになっていた。
システムキッチンが似合わない…ギャップがすごいね。
「それでね、お姉ちゃんがねっ」
早苗ちゃんが光希に、私のことを聞いた瞬間から、かれこれ15分くらい。
ずっと喋り続けてます。しかもシスコンっぽい自慢話になってるよ。お姉ちゃんの顔真っ赤だよ。光希よ、気付いて……
「ふふ。光希くんは、晶子ちゃんが大好きなんだね」
「うん!」
「もうやめて………早苗ちゃん、わざとよね」
恥ずかしすぎる。と顔を覆って見悶えれば、早苗ちゃんがクスクス笑う。
睨むまねをすれば、吹き出すように笑った。光希は私達を見比べてきょとんとしてる。
早苗ちゃんはなかなかイイ性格をしているらしい。
「いーなぁ、兄弟。私一人っ子だからうらやましい」
「だからってからかうことはないと思うの」
早苗ちゃんの家は隣の地区にあって、お母さんと二人暮らし。お父さんは単身赴任で大阪なんだって。
店主さんーお爺さんの店には、お母さんがパートが終わるまでいつもいるのだそうだ。
小学校も私達とは違うみたい。
「ね~ぇ、晶子ちゃん」
「ん? なぁに?」
光希が亮くんと遊び始めたのを横目に、早苗ちゃんが小さな声で話しかけてきた。内緒話かな?
店主さんが出してくれた、持ってきたカステラをモグモグしながら早苗ちゃんを見れば、ニヤニヤしてた。やな予感。
「晶子ちゃんと桑崎くんは、いつから付き合ってるの?」
「ぐふっ!」
やな予感的中!
つか、噎せて変なところにカステラがっ! 鼻っ、鼻痛いっ!
「やだ、大丈夫!?」
「晶子!?」
「お姉ちゃんっ?」
ゲホゲホ咳き込む私に、早苗ちゃんが慌てて背中をさすってくれる。
亮くんと光希も、慌てて私の顔を覗き混んでくる。
やめて。覗き込むな。今絶対酷い顔してる自信あるから。
というか、やっぱりそういう誤解があるのね。
何でだろう? 早苗ちゃんとは、二回しか会ってないのに、なんでそんな風に思われるの?
やっぱり、私が亮くんに世話を焼かれてるからかなぁ?
………解せぬ。




