とうとう、今年です
何の解決策も対策も浮かばないまま、小四になりました。
……不安しかありません。
桜舞い散る春なのに、私の脳内は嵐です。
「どうしよう…」
とりあえず、ニュースをチェックして? 、夏休みになったら光希をつれ回そうかしら?
あ、おばぁちゃんのうちにお泊まりする? 旅行おねだりする?
………ピアノ教室の帰りは寄り道せずに走って帰ってこよう。
良い案なんて、最良の判断なんて解らない。だから、とにかく光希の傍にいよう。
「晶子ちゃん、なんか最近元気ないね? どうしたの?」
去年一緒のクラスだった友達が、心配そうにしてる。何もないよ。と笑顔で返せば、首をひねりながらも一応の納得をしてくれる。
大半の子は、笑顔を見せればそれ以上踏み込んではこない。
……大半は、ね。
「晶子」
「…亮くん…」
四年生になって再び一緒のクラスになった亮くんに捕まりました。
授業が終わったら残っていろ。と言われ、睨まれてしまえば頷くしかない。
バイバイ、と友達に手を振り見送って、教室には私と亮くんだけになってしまった。
気まずいのは私だけだろうか?
「り、亮くん、部活…もう決めた?」
HRで先生に言われたことを出してみる。
何の話をすれば亮くんの思考をそらせるかしら? と思った結果です。私の頭は悪いらしい。
「バスケ部かな……晶子、何を考えてる」
「バスケかぁ~……はは、やだなぁ別に何もない、」
「晶子」
うぐぅ、ジッと見詰められて怖い。顔も声も真剣過ぎて、まさに蛇に睨まれた蛙の心境です。やだ怖い。
どう言い繕おうかと視線を泳がせれば、誤魔化すな。と両肩を掴まれてまたしてもジッと見詰められる。
至近距離すぎない?
ドキドキします。主に恐怖と緊張で!
やだときめかない。……言ってる場合ではない。
現実逃避も苦しくなってきたわ。
「ほんとに、何もないから……」
苦笑が出てしまった。
亮くんは眉間に皺を寄せているけど、私は何もない。を繰り返す。
だって、言えないもの。
光希が死ぬなんて。これから起こるだろうことを知ってるなんて。
…私の人生が、二回目なんて言えるわけないわ。
確実に頭おかしい人になる。嫌われるだろうし、最悪精神病院入れられるんじゃないかな?
それは嫌だし。
「晶子、俺は頼りないか?」
「ううん、そんなことないよ。そうじゃないの……いつか、いつかちゃんと話すから…今は、そっとしておいて?」
「………わかった」
絶対、いつか言えよ。と念を押した亮くんは、帰るか。とランドセルを背負って私の手を取った。
……うん、手を繋ぐ意味はなに!?
逃げないように? 物理的に?
ごめん亮くん、いつかって、多分五年後とかなんだけど? そんな明日明後日のかとじゃないよっ!?
亮くんの考えてることが解らないわぁ。