年末恒例です
亮くんの学校の文化祭は、完全に日程が被っていたし、かなちゃん達の学校と由紀乃ちゃんの学校は、学生の親兄弟しか入れないという規則がありました。
木内君の学校の文化祭は誰でもオッケーだったんですが。
……飯塚先輩達、手芸部三年生の作品が一時期ネットやら雑誌やらに取り上げられたらしく、入場制限が設けられたらしいです。
招待券なる物を持っていないと入れない。一年生は招待券を親兄弟分くらいしか貰えなかった。
なので、私達は泣く泣く諦めました。
流石に木内君の親に申し訳ないからね。
息子の初文化祭! 初作品! しかもちゃんとファッションショーやったらしいので。写メは沢山送って貰いました。
やっぱり飯塚先輩は次元が違いましたね。そしてレース作品は現物を見たいです。
まぁ、来年は大丈夫じゃないかな? と期待しています。
文化祭の浮かれた気分がテストによってぶった切られ、早くも冬休みです。
年末恒例の大掃除を開始しながら、頭の中は休み前に配られたプリントに悩まされています。
「進路調査ねぇ…」
早くない? 高校一年で大学の希望出すんだよ?
`前´の時は凄く適当に書いた気がするんだよね。
まぁ一年の時に出すのは、二年生からの選択授業の関係とかあるんだろうけど。
私は文系です。
かなちゃんやはなちゃん程ではないけど、あんまり数学とは仲良くないんです。
理科系も、化学はわりと好きなんだけど、科学は理解ができないんです。記号が多いよね。
なのでまぁ、`前´と同じ大学書いておきましょう。
……私、第二志望とかどこ書いたっけ?
「…ま、適当に埋めておこうかな」
掃除が一段落ついたので、机の上に置いておいたプリントにささっと書いておきましょう。
流石に通っていた大学名を忘れることは無いだろうけど、念のため。
「姉ちゃん何書いてんの?」
「ぅわあっ!? …光希、突然耳元で話すの止めて」
心臓が口からピョッて出ちゃう。
勢いよく振り向いてしまいました。
光希が覗き込むように背後に立ってます。
あ、掃除してたから部屋のドア開けっ放しでしたね。
どうやらお昼御飯が出来たので呼びに来てくれたらしいです。
さっきまで掃除機使ってたし、聞こえないと思ったんでしょう。
「ご飯なに?」
「具沢山のにゅうめん。昨日パントリー整理したら素麺出てきたって」
「にゅうめんか~。嫌いじゃないけど…」
「あんまり腹に溜まらないよね」
嫌いじゃないんですよ? 温かいお素麺。
でもやっぱ素麺なだけあって、あっさりしてるから、光希の言うように、お腹に溜まらない。だからすぐにお腹減っちゃうのよね。
リビングに行けば、お母さんがテーブルに丼を置いてる所でした。
……丼の中身が、思ってたのと違う…?
「にゅうめん?」
「にゅうめんよ~、親子丼風に、卵とじにしてみました~」
「おぉ~。母さんスゲェ」
トロトロふんわり。まっ黄色な卵に、チラチラ見える鶏肉と、緑はネギかしら?
あ、卵とじの下にえのきとかまぼこが浮いてる汁が見えるわ。
これならお腹に溜まりますね。
お母さん凄い。
「冷凍庫の中身も整理しなきゃだし、ちょうど良いでしょ?」
……賞味期限大丈夫かしら……
ちょっと不安なお昼御飯を終えて、再びお掃除開始です。
今日中に自室を終わらせて、明日は水回りをお母さんと二人でやる予定です。
お父さんと光希は庭の手入れと洗車の予定です。
`前´の時はアパートだったから、お母さんと二人で、一日で終わらせられたのに。一軒家って広いよう。
「お母さん、ゴミの回収って、今週で終わりだっけ?」
「来週の水曜までよ~。ペットボトルは明日が最後ね」
「了解」
ゴミ袋を縛りながら聞いて、玄関の外に纏めて積んでおきましょう。雨の予報は無いから、大丈夫でしょう。
家中を家族四人で隅から隅まで、三日間かけて壁や天井まで綺麗にしたら、無事に年越しです。
進路調査の紙は学校用のファイルに入れて、忘れないようにカバンにしまってあります。ついでに、終わった課題もカバンに入れました。
うっかり忘れないようにです。
「さ、二年参りに行きましょう」
「マフラー持ってかなきゃ」
「車先に暖めとくから、ゆっくりで良いぞ」
「姉ちゃん、俺の手袋も~」
「はーい」
若干ドタバタしながらも、無事に新しい年を迎えられそうです。
あ、二年参りは亮くん家族も一緒ですよ、勿論。
にゅうめんって、方言的なものですか?
とりあえず、温かいお素麺のことです。