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発表会です

まさかの季節。

リアルガン無視で進んでます。

かなちゃんと時々ピアノの練習をするようになって、なかなか上達した気がします。


そして今は秋です!

食欲も読書も運動も適度にこなします、秋です!

大切なので二回言いました。


「発表会…」


音楽の秋! ピアノの秋! 発表会の秋!! テンションおかしい秋!!

……緊張で胃がぐるぐるするよ~。


「大丈夫、晶子ちゃん?」

「……だいじょばない」

「ありゃ~…」


発表会当日の朝。かなちゃんの家族と、私の家族とでコンサートホールに来て、私はかなちゃんにしがみついて唸ってます。

なんでかなちゃん平気そうなの? ……あ、いや緊張してるわ。握った手が超冷たいもの。


いやぁ、まさか習い始めて半年足らずで発表会とか思わなかったわ。

あれ? "前の時"にこんなことしてた? 記憶にないわよ?


「晶子、野崎」

「あ、亮くん」

「あれ、桑崎くん?」


少しでも落ち着こうとかなちゃんと二人でおトイレに行った帰り、控え室前で亮くんが待っていた。

光希に誘われていたのです。恥ずかしいから来なくてもいい、とは言えなかったのです。


「……大丈夫か、お前」

「大丈夫に見える?」

「いや…」


先に行くね。とかなちゃんが離れてしまい、廊下に亮くんと二人。

心配そうに見てくる亮くんに微妙な笑顔を向ければ、ちょっと引きぎみに首を振られた。


ふぅ、と深呼吸してみる。……うん、なにも変わりません。


「…!? どうしたの?」

「……がんばれ」

「っ、はい」


亮くんが何故か頭を撫でてきましたよ。

ビックリして聞けば、一言。

なんてことない言葉だけど、何故かスッと入ってきて、落ち着いた。


ドキドキがビックリしすぎてどっか行ったわ。

あ、嘘です。とっても嬉しいです。


「うん。バッチリ頑張ってきます!」

「おう。見てるから」


顔を見合せて笑ったら、ちょうどスタッフの人が始まりを告げたので、亮くんと別れる。

さて、いっちょ頑張りますか。




「……さんでした。…次は神代晶子さん。曲目は………」


進行の人に名前を紹介され、ゆっくりとステージ中央まで歩く。前を向いておじぎ。顔を上げると、家族が真剣な表情をして私を見ていた。

私より緊張してないか? あれ。光希は亮くんと内緒話してるよ、お姉ちゃんを応援しなさい少しくらい。


椅子に座り、鍵盤に指を乗せる。

ひとつ、深呼吸。瞬きをゆっくりして、最初の音。


うん。大丈夫。指の動きを体が覚えてる。

ゆっくりした曲調から、次第に速く、力強く。ここから、最初に戻って、今度は弱く。

難しいところ……よしっ。あとは急ぎ足にならないように、でも滑らかに……


頭で確認しながらも何とか躓くことなく弾き終えることが出来た。

鍵盤から指を下ろし、ゆっくり立ち上がる。

前まで出て、おじぎ。途端、沢山の拍手を貰った。


「…良かった」


つい、呟きがでちゃった。大分緊張してたみたい。


「おねーちゃん」

「光希、亮くん」

「はいっ」

「え、わっ! ありがとうっ」


ステージ奥に帰ろうとしたら、光希と亮くんが近付いてきて、なんと、花束貰いました! しかも二人それぞれ違うもの。

光希からはピンクと白の、亮くんからはオレンジと黄色のミニブーケ。

まさかのサプライズにすっごく嬉しくなった。


控え室に戻ったら一部始終見ていたかなちゃんにからかわれたのは予想外でしたが。

小ニでこんなおませさんなんだね、女の子って……

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