女子会です。
日曜日です。
高校生活もルーティンワークが明確になったので、久しぶりに由紀乃ちゃん、かなちゃんとお出かけです。
「あっ! かなちゃ~ん、こっちこっち!」
「晶子ちゃん! 早苗ちゃん! 久しぶり~!」
「久しぶりかなちゃん。相変わらず元気だね~」
早苗ちゃんと待っていれば、かなちゃんがキョロキョロしながら現れました。
ちなみに今日は女四人です。女子会です。
主にお喋りが目的なので、亮くんはつまらないだろうから、って納得させて来ました。
……納得、してなかったけどね。
「かなちゃん、もう日焼けしてる」
「テニス部だからね。バリバリ外を駆け回ってるよ~!」
「私も晶子ちゃんも、室内だから、かなちゃんと比べると凄いね」
「ね」
腕を三人並べてみると、とっても違う。
凄いね運動部。
あーそっか、剣道も運動部だけど室内競技だし、剣道着って肌あんまり出ないからなぁ。
バレーボールも室内だわ。しかも、光希は夏でも長袖着てたわ。
二人ともあんまり焼けないわぁ。
「三人で何やってるの?」
「「由紀乃ちゃん!」」
「わぁ! 久しぶり~! …背、また伸びた?」
クスクス笑っていたら、後ろからひょっこり由紀乃ちゃんが現れました。
由紀乃ちゃんも、結構焼けてます。
そして、大分身長が高くなっ……
「あ、なんだ、由紀乃ちゃんヒール履いてる~」
「本当だ、いきなり身長伸びたのかと思った~」
「多少は伸びたけれど、これ以上はあまり伸びて欲しくはないわね」
贅沢な悩みですな!
もしかしなくても、四人のなかだと私が一番小さいんじゃなかろうか?
うぅ…早苗ちゃんですら、百六十はあるのに……あと六センチ…っ!
まぁ、私の身長事情は置いておいて。
「早速行こう!」
「うん! 電車で二駅だったよね?」
「切符は纏めて買ってしまいましょうか。後で貰うわ」
「ありがとう由紀乃ちゃん」
まず最初の目的地は二駅向こうの映画館。の、一階にある雑貨屋さんです。
かなちゃんが新しいポーチが欲しいそうです。
その後、映画館の向かい側にあるビルの服屋さん、スポーツショップ、本屋さんを廻り、駅構内のカフェレストランでおやつを食します。
「うーん、こっちのポーチの柄が可愛いけど、大きさはこっちの方がいいなぁ…」
「店員さんに聞いてみたら?」
「もう夏物出てるね~。あ、このワンピ可愛い」
「晶子ちゃん、これ! これで桑崎君を誘惑!」
「かなちゃんそれ下着!?」
「あら、これいいわね……新しくしようかしら」
「由紀乃ちゃん……競泳水着って……際どい……」
「私新しいグリップテープ買おう~」
「あ! 新刊出てるっ、買わなきゃ!」
「早苗、流石にその大きな画集は今度にしなさいよ」
「だってなかなか無いんだよ、この人の画集! 今買わなきゃ!」
気付けば、皆結構な荷物になりました。
こんなに買う予定では無かったんだけどなぁ?
四人とも首を傾げながら、カフェレストランでケーキセットを注文しました。
皆バラバラのケーキを頼んで、皆で分け合いっこします。
「ん~! おいしぃ~!」
「タルトも美味しいね~」
「はぁ…糖分最高」
暫くケーキの美味しさを堪能したら、話題は高校生活のことになります。
「晶子と早苗は、クラス別になったのよね?」
「うん。でも隣のクラスだし、ちょこちょこ遊びにいってるよ~」
「早苗ちゃん、どんな感じ?」
「ん~、入学当初は割りと狙ってたのがいたけどー、最近はパッタリかな? まぁ、まだ油断は出来ないけど」
かなちゃんと早苗ちゃんの会話がちょっと分からないんですけど。
何? と聞いても、何でもない、と返されてしまいました。
クラスでの友達の話、授業の話、部活の話。話題は尽きません。
「…そういえばさ~。最近たまに、亮くんがうちのお父さんと料理をするんだけどね。……私よりも上手なんだけど……」
「それは…えっと……」
「色々突っ込みたいけど……ええっと、」
高校が離れて、毎日は会えないけれど、三、四日に一度はうちに来て夕飯を食べているのです。
それで、どういう経緯かは知らないけど、お父さんと料理を作るようになったのです。
亮くん器用だし、頭の回転速いし、応用きくしで、メキメキ上達していきました。
……私の女子力って一体……
「ちなみに早苗ちゃん。苦笑しているとこ悪いけど、光希も手伝い始めてるからね?」
光希は休日の部活に持っていくお弁当、自分で作るようになりました。
玉子焼きが、だし巻きと塩味と砂糖味、三種類完璧になったって言ってたよ。
早苗ちゃんは何味派ですか?
「え……っと、私あんまり料理出来ないんだけど…」
「じゃあ、料理は光希にまかせて、掃除と洗濯を頑張る?」
「あれ? 早苗ちゃんと光希君って、もう付き合ってるの?」
かなちゃんの素朴な疑問に、私も早苗ちゃんも首を横に振ります。
いやでもね? あれはバレバレだと思うっていうか、隠す気とかないからね、光希。
早苗ちゃんが気付くレベルです。