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デート (笑)


「もしもーし、亮くん? ……うん、うん分かった待ってるね~」


高校の授業や通学にもなれ始め、今日は亮くんと放課後デート (笑)です。


まぁ冗談ですけど。

帰りのHRが終わって、先生が居なくなったのを確認してから電話を掛けたら、ワンコールで出ました。

亮くんの学校の方が、帰りにある先生の話が短いらしい。

うちのクラスが長いだけって可能性も、十二分にあるけども。


終わったら連絡すると事前に約束していたから電話をしたんだけど、十五分くらいで着くから。と質問の前に答えがありました。

そして急ぐためにすぐに切られた電話。

亮くん、何気に携帯電話での初通話なんだから、もうちょっとこう……まぁ、いいか。


「晶子ちゃん、もう帰るの?」

「うん、今日は`制服デート´の日なんだよ~」


声を掛けられて、冗談で返しながらも急ぐ。

十五分って言って、十五分かかったことないからね、亮くん。

待たなくて良いようにって、いつも掛かる時間の軽く倍の時間を言うんだもん。

じゃーね。と手を振って教室を出る。

デートと聞いて友達が目を輝かせたからね。捕まる前に行かないと。


制服デートっていうのは、実は光希が言い出したんです。

一学期の始めだから、新入生用のイベントやら何やらに追われてたのと、生活リズムに慣れるのにバタバタしてて、二週間以上、亮くんと会ってない、声も聞いてない状態だったのです。

だからかは分からないけど、光希に、たまには学校帰りに寄り道してくれば? と言われました。

勿論、一人では駄目だから、亮くんを誘って。と厳命されました。

弟にキツく言い含められる姉ってどうよ?

まぁ、異存はないから亮くん誘ったよ。二つ返事で決まりましたよ。

それで、放課後だから、制服デートだな、と笑って光希に送り出されました、今朝。


「あれ~、しょーちゃん。どうしたの? 誰か待ってるの?」

「はなちゃん。そうだよ、待ち合わせ。はなちゃんはもう帰るの?」


門前で立っていれば、はなちゃんが声をかけてきました。

たたっ、と走ってきてくれるの、動作は可愛いんだけどね?

…その小脇に抱えた広辞苑並みの厚さの本が…色々台無しだよ。


「これは図書館の本だよ。今日までだから、返しに行かないとね~」

「分厚くない? 何このハードカバー本。重っ!」


私の視線に気付いたはなちゃんが本を渡してくれたけど、本当に重い。なにこれ?


「しかも待って、これもしかして洋書? え、はなちゃん英語出来るの!?」

「まっさか~。これ、後半部分に日本語版のがついてるの~。そっちしか読んでないよ~」


パラパラ捲れば、確かに、半分までが洋書で、半分は丸々日本語でした。

二冊に別けようよ。なにこの本。


「晶子」

「あ、亮くん! 早いねやっぱり…」

「友達か?」

「うん、はなちゃん」

「始めまして~。うわぁ~、しょーちゃんの彼氏、格好いい~」


本の内容について聞いていたら、亮くんが来ました。やっぱり十五分も掛かってないじゃない。

亮くんははなちゃんに軽く挨拶をして‐頷いた、くらいの動作だったけど‐私を促すように見てきました。

はなちゃんの彼氏発言はもうスルーですね、分かります。


はなちゃんにバイバイ、と挨拶して亮くんと帰ります。

ちなみに、今日はデートってことで、二人とも自転車は止めました。

お母さん曰く、放課後にデートするなら自転車は邪魔よね。らしいです。

基準がよく判らないし、朝がその分早すぎて地味に辛かったよ…。


「亮くん、私行ってみたいお店あるんだけど、良い?」

「あぁ。夕飯はどうする? 食べてくるならって、飯代貰ったんだが」

「本当!? えへへ~、実は私も貰ってきたの。駅前の脇道にさ~…」


どうやらご飯もお外ご飯になりそうです。

制服だから、行ける場所は限定されるだろうけど、それでも楽しみです。

いつの間にか私が歩道側を歩いてるのも、亮くんと手を繋いでるのも、いつものことなのです。

だから、はなちゃんや、学校の人達に見られているのも、ある意味いつものことなので、全く気にしてませんでした。






「神代さん、彼氏いるって本当?」

「昨日一緒に帰ったって聞いた!」


翌日、教室に入ったらなんか、目が物凄くキラッキラした女子達に囲まれました。

…何だろう、このデジャヴ…

これはあれだね。否定しても駄目なやつだね。

……ごめんね、亮くん。


「えーっと、小学校から一緒でね…」

「小学校から!? ね、写真とかある?」

「あるよ~。んと、確かここに、」


入学前に、制服着て二人で撮った写真が、生徒手帳に挟んであるのです。

何故か? 光希に入れておけ、と真剣な顔で言われたからよ。

はい、と見せれば、ツーショットだぁ! とキャッキャし始めた。


「やだカッコいい~!」

「この制服って、あそこの高校だよね!? 頭良いんだねっ」

「ねー、昨日手ぇ繋いでたって聞いたんだけどさー」


ううん…、一斉に喋られると分かりませんよ?

一人ずつ喋って? 求めてる回答が出せるかは分からないけどね。

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