表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/127

状況確認、把握して決意

ド素人の初作品です。お手柔らかにお願いします。豆腐メンタルな人間です。

ストック無し、行き当たりばったり、遅筆のダメ人間です。

誤字脱字や方言指摘してくださると嬉しいです。

但し防御力1、HP1のザコです。

バイト帰りに近所のコンビニ弁当片手にアパートに帰る。

一人暮らしにも日々のルーティンにも慣れた頃、いきなりそれはぶっ壊された。物理的に。

耳障りな音を響かせながら、眩しい光を向けられた。何、と思う間もなく、全身に衝撃。多分飛んだ。

私は車だかトラックだかに体当たりされて20にもならない人生を終えた。





「…終えた、よね?」


覇気のない呟きがしんとした病室に響く。

とりあえず状況を整理しよう、私の精神の安全のために。

私は神代晶子。母親と二人家族で、大学進学を期に一人暮らしを始めた。

大学近くの居酒屋でバイトをした帰りに、夕食用にコンビニ弁当買って大通りの明るい道を選んで歩いてて…


「車に引かれて、死んだ…」


んでもって、だ。

今現在の私は、神代晶子。両親と弟の四人家族で、保育園生。

明日(もう今日か)ある遠足が楽しみ過ぎて、数日前からハイテンションになってて、風邪だと気付かず拗らせてぶっ倒れた。

うん、どういうこっちゃ?


「あ~、うん? う~ん、はぁ」


頭をひねって記憶を整理して、何となく解った気がする。


「私、産まれ直した。ってこと?」


生まれ変わったとか、前世の記憶が蘇った。とかじゃない。

私が`私´として、一度終えたはずの人生を一からやり直してるんだわ。

高校の時に友達が話してた小説にあった、退行ってやつ?


「あはは~、笑えない…」


思い出したわ。小さい頃、弟が死んで、両親の仲が壊れて離婚した。他にも、嫌なことも悲しいことも、全部かは判らないけど、思い出した。


「こうなったらヤケよ。起こること分かってるんだから、防ぐことは出来るはずよ」


死にたくなかったとか、原因がなんだとかぐだぐだ言ってられない。グチグチ言っても泣いてももう戻らないのは理解できる。

後悔だっていっぱい、やりたかったこともいっぱいある。同じ人生ってことは、死ぬ時期も多分、一緒。だったら、したいことをする。


「後悔一個も残すものかっ」


薄暗い病室で、私は一人拳を高々と振り上げた。




1日経って、朝来た看護師さんがお母さんはすぐ来るからねー。と小さい子に言うみたいに笑顔で諭し、あぁ私マジで保育園生なんだな、と謎の感慨に耽ってしばらく。

看護師さんもいなくなり、お母さんもまだ来てない今がチャンスだと、私の後悔というかやりたかったことと、やればよかったと思ったこと、阻止したかった出来事を時系列で紙に書き出してみた。


「結構あるなぁ」


側にあったA5サイズのメモ帳が埋まるくらいは書いた。内容は途中で投げ出した習い事もあれば、弟の死、なんて物騒なものまである。

何時起きたか正確に覚えてないものがあるから、時期を見極めるのが大変そう。

まぁどうにかなるわよね。っていうか、こうやって客観的に見ると、私の人生波乱万丈じゃない?

紙を小さく畳んで、お母さんが持ってきたのであろう、私のお気に入り(だと思う)兎のぬいぐるみが着ている服のポケットに入れておく。

ここなら、誰も勝手に触らないから見つからないと思うし。


「おねーちゃっ」

「晶子、具合はどう?」

「おかぁさん、こうくん」


病室のドアが開いて、弟の光希とお母さんが入ってきた。

私はしゃべり方を少し舌足らずにする。保育園生って、こんな感じだったよね?


「おねつもうないよ。げんき!」

「おねーちゃっ、いっしょかえる!」


笑顔でアピールすれば、お母さんがほっとした表情になる。

そういえば、お母さんの笑顔ってあまり見てなかった気がする。

ベッドに登ってきた光希を抱きとめながら、ぼんやりと思った。

多分そんな暇なかったんだろうなぁ。私を高校、大学までいれてくれたし、お小遣いだって、周りの友達と遜色ないくらいくれていた。

今考えれば判るのに、当時はそれが当たり前だとすら気付かなかった。


「頑張ろう」


お母さんの笑顔を、光希の成長を、お父さんの優しさを、全部全部、壊さないように、私の出来ることを考えよう。


「おねーちゃ?」

「こうくん、だいすきよ」

「ぼくもっおねーちゃすき~」


不思議そうに見上げてくる光希にぎゅーっ、と声に出して抱き締めれば、光希も抱き締め返してくれて、きゃーきゃー声を上げて笑った。


「二人とも、お母さんを忘れないでよ」

「「きゃーっ」」


羨ましくなったのか楽しくなったのか、お母さんも私達二人を抱き締めてくれて、暫く三人で揉みくちゃになった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ