表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

プロローグ

結構長いです。それでも宜しければどうぞ。

━━三百年前━━

「魔邪神及び魔神の討滅を目的に世界規模で政策を進める!!異議、異論等がある者は居ないか!」

「・・・それには有望な経歴のある人材を集める必要があります」

「その件に関しては既に我々の同士達が名乗り挙げている。更には魔法学校を我が国で開き、世界各地の子供を集め、いつの日か奴等を必ず滅ぼしてくれるわ!!」

━━それから三百年後━━

小さな島国の面積に匹敵ぐらいの巨大な地に魔法学校は存在していた。ただ何人いるのかすら未だ解らない魔王たる奴等を滅ぼす為だけに・・・ざっと見て生徒数は千人は悠にいるだろう。


そして今年も4月になった

「やったー合格っと!!」

「よっしゃー」等と歓声を沸き立てている奴等で一杯のようだ。落ち込んでいる者も決して少なくはない。

その中に1人の男が立っていた。髪色は黒で目元はきりっとしており、作られたような美少年だ。周りの生徒から声が掛かっていても振り返えりもしない。彼は迷わず自席へと着々と歩を進めていた。


そして新入生歓迎会が始まった。全校生徒が集まり学年で今年優秀な生徒が挨拶を交わす場だ。


「まず新入生代表の言葉」

と魔法学の教師の一人が声を響かせる。それに応じて一人の新入生が壇上していた。一礼し、そして口を開く。


「お前達の魔術、体術は遊びに等しい。もっと力を精進させよ・・・以上。新入生代表アラク・ルシファート」


と言い終え“そいつ”は代表者所定の位置に着いた。

全校生徒が“一人”を睨めつけながら囁いていた。


「あの新入生、、、生意気だな」

「糞っ!!気に入らねーな」等が囁かれていた。

それから上級生代表達が挨拶をし、新入生歓迎会は終った。


教室では皆がアラクを見ている。口先だけか本物なのか知りたかかったのであろう。そんな凍えた空気の中に教師が入ってきた。そして何事もなかったかの様に挨拶を交し、自らの自己紹介を言い終えた最後に一人一人の自己紹介が行われていく。

「佐々木夏美です。特技は簡単な“火炎撃呪文”です」


「おーもう呪文を会得したのか、先が楽しみだな〜!!」


「はいっ!!」

と少し緊張気味で声は上がっていた。


・・・

「沖田準です。これと言って特技はありませんが、“移動呪文”が少しだけ使えます。例えば自身の半径三m以内の物を自分の手元に呼び寄せたりできます」


「今年は優秀だな〜!!いや結構結構!!」


・・・

「ティア・ナイリスです。まだ呪文は使えませんがこれから頑張っていきたいと思います」


・・・

と遂に・・・だが

「アラク・ルシファート」と名乗っただけだった。


そして初日の授業が始まった。

担任共々、馬鹿広い敷地にクラス一同三十人が足を踏み入れた。辺り一面、荒地となっている。


「ここは練習場だ。今日はお前達に実際呪文がどんな物なのか見て貰いたい...さてまず始めに佐々木が自己紹介の際に言った“火炎撃呪文”からやろうか!」


と言って間もなく担任の手の平にバスケットボールぐらいの球を瞬時に作り、少し誇らしげな表情を浮かべていた。


「これが“火炎撃呪文”の基本だ。粗方の呪文は力の大きさにより形が変化する。球、不死鳥、龍の順々になっている。その他にも可能だが在るがままがベストだと言う結論が出ているので素直に従うように!」


「先生ぇーでも衝撃波が奴等の中では最高呪文だと祖父から聞いた事があるんですが...」


「衝撃線は生身の人間での使い手は滅多に現れない。魔邪神や魔神の一撃必殺みたいな物だからな」


「他の呪文ないんすか!?」


「先にも言った通り、まだまだ未知の呪文も合わせ沢山あるから心配しなくていいぞ」


初日の授業はこうして終わった。


次の日から猛特訓が行われた。アラクは観察に徹しているようだ。


「アラク、もしお前出来るんだったら皆に助力してくれないか、先生だけじゃ全員に個人指導するのはキツイものがある」


「...いいでしょう」


それから先生が1人の少女を連れてきた。

「ちょっとな何だかコツが全く掴めないようだから解りやすく教えてやって貰えないか」


「はい、...承知しました」


「え、あっティア・ナイリスですっ!!お願いします!!」


少女は赤面を晒しながらアラクを見つめている。歳はアラクと同じ15〜16で黒髪に目はパッチリしており、身長はアラクの肩ぐらいの少女だ。入学当初から男子から目を付けられるハズだ。


「ふぅーん、でさっぱりなわけ?」


「はいっ!」

先生は他生徒の所に言っておりアラク達の周りには人がいない。


アラクは考えた様子をしてティア・ナイリスの片手を唐突もなく手に取った。握られた少女はひやっ!!と酷く驚いていた。



そして手を放す。



「もう一度やってみろ」


「え、えっ!ハイッ!」


と少女は先程までとは比べきれない程、顔は赤くなっている。

そして言われた通りに少女は頭の中でイメージをし、“手の平に火球を作った”

「あっ、できた...」


それは初めてにしては大き過ぎるものだった。先生がこちらに気付き驚いた様子で駆け寄ってくる。


「おー凄いじゃないか!!もう作ったのか!」


「あ、いえ...はい」


少女は困惑気味に返答する。


「じゃ俺は自学に努めますね」


「おぅアラク、助かったぞ。どうもなっ!!」


「あ、あっありがとうございました!!」


そして約束の一週間が過ぎようとしていた。「今日はお前等の努力の成果を試す。緊張せずにやってくれ!試験内容はあそこにある俵に火球をぶつけれたら合格!ぶつけられなかったら並び直しだ、では出席番号順に行ってくれ!!」

そしてクラス全員が問題なく一発合格を果たした。ただ一人を除いて...


「あれ!?この間は出来たはずなのに...何で!?」


「アラク!!アラクはいないか!?」


「はい、俺はここです。何か用ですか?」


「実はティア・ナイリスが火球を急に作れなくなってな...何か原因は解らないか?」


「!?そんなはずは...一度身に付いた技巧は忘れないはずです、何かの間違いではありませんか?」


「ティア・ナイリス、もう一度やってくれ」


「はいぅ」


そして火球は出来ず手の平で弾ける様に飛び散った。

アラクは目を凝らしながら

「ちょっとティア・ナイリスをお借りします」


と言い残しニ人はその場から離れた。


ニ人は馬鹿デカイ校舎の反対側まで行った。


そして立ち止まりアラクは少女へと視線を向ける。


「お前が火球を作れない原因は恐らく...」


「あれ、あの新入生じゃねぇ!?」


「あいつだよ!!生意気なクソ餓鬼っ」


「ふふっ!ちょっとばかし痛い目あわそうぜ!!」


と言いつつ、アラクの言葉を遮った三人組の上級生がこちらに向かってやって来る。


「よぉー新入生ぃーお取り込み中かい!?ひゃっははははは」


アラクは睨みつけている。

「怖い怖いっ、そんなに睨まねーでくれよ。俺達はな生意気な態度のお前に喝を入れに来てやったんだよ!!有難くうけとりなっ!!!」

一人がいきなり腕を振り上げアラクに向かって拳を振り落とした。


「きやっ!?」とアラクは瞬時に近くにいたティア・ナイリスを突き飛ばし、近くにあった適度な塊をした“廃棄物”を呪文により三人の顔面にめり込ませた。


「ぐぁあああっ!!」

と言い残し上級生は無様に気絶した。


「今のは!?」


と隣に尻餅をついている少女が訊いてきた。


「“移動呪文”の一種...ところで言い欠けていたことなんだが...お前が火球を使えない原因は恐らく...」


「何事だ〜!!」


と走ってくる足音が聞こえる。


「逃げるぞっ」


と言い少女の足では間に合わないと判断したのかアラクは少女を“お姫様だっこ”をして常人離れした走りでその場を逃げた。


教室までの帰り道、アラクは言うべき事を切り出した。


「お前が火球を使えない原因は恐らく何らかの呪文が掛っているからだ...」

「ふぇっ!?誰が何のために!?」


「それはさっきの三人組の様な俺に対する当て付けだろう」


「何であたしに!?」


「それは俺への間接的な嫌がらせだ。その間柄にお前が入っただけの事だ...悪かったな」


「アクラ君が悪いわけじゃないし謝る必要ないよ」


「多分、必要あるな」と言いつつアラクとティアは教室に戻った。


教室にはクラス一同がニ人の帰りを待っていた。


「おかえりーお二人さん!!」

「何してたのー!?ふふっ!」


と言われ、ティアは顔を真っ赤にして自室に直ぐさま座り、うつ向いていた。


「アラク、原因は解ったのか?」


「...原因は解りませんでしたが、もう大丈夫だと思います」


「そうかありがとな...それじゃ席に着いてくれ」


「はい」・・・!!?


空が急に薄暗くなった。その暗雲と化した空が不自然な状態で裂け、誰かが宙に浮いていた。

クラスメート達は“何だあれ”と言い、悠長にも窓から顔を出している。

先生は心あたりがあるかの様に青ざめている。


暫くして放送が鳴った。


「魔神“バァーゴ”の奇襲です。先生方は直ぐにグラウンドの方に向かって下さい。生徒の皆さんは教室の方で待機をお願いします」

放送を聞き終えた担任は物凄い勢いで練習場に向かった。

クラスメート達はすこし怯えている様子だった。

アラクは眉を顰めながらその“魔神”バァーゴを見入っていた。



練習場では駆けつけた教師等によって必死の抵抗が繰り広げられていた。


「ぐぁああああっ!!」


教師の一人が断末魔をあげて自身の血溜りに倒れた。その後もバァーゴの特殊な魔術の前に次々と断末魔をあげ倒れていく。仲間に回復呪文を掛けている者もいるが数が数だ。間に合わない。絶体絶命のピンチだ。

バァーゴは着々と校舎に歩み寄って行く。


そこに一人の少年が立ちはだかる。


クラスメートが窓から落ちそうな勢いで目を皿のようにしてその少年を見る。

アラク・ルシファートだ。

アラクは歩を止めた“魔神”バァーゴに歩み寄る。そして一定の間隔を開け、数分間か睨みつけた。


それに耐えきれず口を割ったのはバァーゴの方だった。


「主は誰だ!?」


その応答と言わんばかりにアラクは何処から出したのか、小さなアクセサリーらしき物をバァーゴに見せつけた。

それを見入ったバァーゴは驚愕の表情を浮かべて後退りし始めた。


「お前を討滅する」


アラクはそう言うと地を蹴り一瞬にして間を詰めた。そして手に白い光が溢れていき、バァーゴの胸元に当てた。


バァーゴは何が行ったのかすら解らず、茫然と立ち尽くしている"ようだった"。

バァーゴは後方にバタッと言う音を立てて倒れた。自分が討滅されたと言う自覚もない様子で。


校舎を見上げるとクラスメートが先程同様、いやそれ以上の表情で目を皿の様にして唖然としている。


それはそうだろう。いくら優秀だと言っても教師等がいとも簡単に殺られた“魔神”を瞬殺しているのだ。手慣れた手つきで。


しかしアラクは討滅した直後ちいっ!と誰にも確信できない校舎を背にした立ち位置で舌打ちをしていた。


そう。あれはバァーゴが“捨てた”体だったのだ。本体(力)には危機一髪の所で逃れられたようだ。


アラクは自身を確認するように両手を目線まで挙げる。


「やっばりか...あれがないと...あの程度の奴を取り逃がしてしまうとは...あれさえあれば...“封魔玉”さえあれば」



“封魔玉”それは魔邪神及び魔神の強大な力を抑える為に作った人類の切札として伝説の名を今も残しているものだ。


曾て人類は封魔玉を使い、ニ人の魔邪神の魔力を抑え、封印に至った。


奴等は並外れた力を持ち、魔界で長年と対立し、危険因子だと言う事から、多くの魔邪神、魔神、人間の犠牲の元、遂に封印された。

その重要な位置にあった“封魔玉”は今、この学校にあると言う噂がたっている。



アラクはそれを狙っている。強大な力の詰まったそれを。



こうして学園生活は始まった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ