おまけ
「やっぱり、バカ?」
帰り道、夜空に真新しい指輪がはまっている指を見つめながら私はぼやいた。
「るっさい、黙れ!また金が貯まったらちゃんと買うから待てっ!!」
ふてくされたかのようにジーンズのポケットに親指だけを突っ込んでいる彼
「買わなくていいわよ?」
私より少し前を歩いている彼に叫んだ。
「は?」
いらないと言った私にびっくりして彼は振り向きすっとぼけた声を出した。
「私、これ気に入ったし。」
彼に見えるように指輪を見せた。
「そういう問題じゃないだろ?婚約指輪がピンキーリングだなんて話あるか!?」
あの店員めっ・・・と指輪を買った店員に文句をブツブツと呟く彼
「間違った本人が何いってんのよ。」
彼の態度にクスクスと笑いがこみ上げてくる私。
なんと彼は、婚約指輪といってピンキーリングを買ってきたのだ。
対応した店員が新人だったらしく気に入ったデザインをそのまま包んでもらったらしい。
彼らしいと言えばそれまでだが、私としては彼が出向いてまで指輪を買いに言ってくれていたことのほうが嬉しくてそんなことどうでもよかったのだ。
それに・・・
「貯めるなら結婚資金にして。また指輪を待っていたら、私いつまでもあなたの所に行けないじゃないの。」
すぐにでも彼の元に行きたい私はそう叫んだ。
柄にもなく、彼の顔が真っ赤に染まっているのを見てしまったことは私だけの秘密。