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D.E. -ドッペルゲンガー・エンカウント-  作者: 福永護
第六章「かみしろ」
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伝承

「そちらと違ってそういったところには深く介入していない。僕達がやっているのは発明じゃなくて捜査だ。科学の誤ちを明らかにして正す。それが僕達の目的だ。」

「キレイ事だな。偽善じゃ飯は食えないぜ?」

「科学はもっとオープンになるべきだ。学者が抱え込んで研究所がそれに蓋をして暗室に閉じ込めては研究自体が迷走してしまう。君たちがいい例じゃないか。殺しまで犯して何になるっていうんだ」


「科学研究ってのは生体実験の繰り返しだ。ネズミ、モルモットと順を追って人に近づく。生物上初めて宇宙に行った猿は着陸に失敗して死んだ。実験用にネズミだカエルだは毎日のように殺され腹を割かれる。それは食物連鎖を離れ処分される。自然の理っていうのは科学研究においては全く無関係だ。人もその例外であっていいのか?俺はそう思わない。新薬開発の最終実験だって蓋をあけりゃ人の自由を奪って行う人体実験と変わりゃしねぇ。命を犠牲にしない研究なんてはなっから無理なのさ」


「君たちは研究の為じゃなく、自分たちの保身のために殺しを行っている。それを肯定しろというのか?」

「水掛け論はやめろ。こっちはあくまで捜査機関、研究のそれとは別だと思ってくれ。そう言うならそっちはどうなんだ?」


「こちらか?そりゃもう手詰まりも手詰まり。シミズの死亡でビビったクライアントが軒並み献金を打ち切り初めて資金繰りも厳しいし、ダミーカンパニーも幾つか潰された。頼みの研究もデータ不足でどうしようもない。残ったサンプルでクローンを作っちゃいるが時間が無い。手放した子どもたちの行方もこっちでは掴みようがない。こっちの支部には無いのか?そのデータ」

「無い。データは小分けにして各国の独立サーバーに保管していある。もちろん暗号化してだ。データを吸い出すには専用の端末を用意して幾重にもはられたロックを開放して初めてアクセスできるし、手に入ったデータは細切れにされてて一つじゃ意味が無い」


 大地が淡々と語る。


「ちぇ。それだけでもありゃ良かったがな。まぁいい、今日はこの辺に…」

「ま、待て!」

「あぁ?」


 正博が常磐を呼び止めた。振り返った常磐は若干不機嫌そうにも見える。


「お前はここの伝承について知っているんだな」

「聞かされた程度だがな」

「…教えてくれ。ぼくの個人的欲求じゃない。一家族の一生がかかっているんだ!」


 誰らのことを指しているのかは明らかだ。常磐はこちらを見渡し「にやり」と笑い再び階段に腰を据える。


「いいだろう。これもちっと長くなるぞ?」

「…構わない」


 真上から太陽の光が指す。時期的にもう暑さを覚えるが不思議と汗は吹いてこない、それに空腹感というのも感じられない。それはここが“取り残されている”からなのだろうか。

今年はありがとうございました


良いお年をー

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