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対照的な姉妹  作者: 星流
7/18

勘違い=誤解


瞬間、コーヒーを飲んでいた彼は突然激しく咳こんだ。




その普通じゃないむせように、私は驚き、


「だ、大丈夫ですか?」


と、恐る恐る声をかけた。



彼はめちゃくちゃ苦しそうにして、何かを訴えるように私を見た。





な、何かまずいことを言ってしまったのだろうか。




私は少し焦って、彼に聞いてみようとした。


が、


「はぁ!?兄貴、彼女いるのっ!?」



リビングのドアを勢いよくあけた清香の声にびっくりして、私も悠希さんも言葉を失った。


切り分けてきたババロアをテーブルに置いて、清香は彼に少しつり上がった目をむける。



盗み聞きしていたのか、聞こえたのか、清香は悠希さんに疑問を投げかけた。



「ちょっと、どういうこと!?」




清香はなぜか怒ったように、悠希さんへ疑問を投げかける。



だが、なぜそこまで清香が怒りをあらわにしているのか分からない。



私もお姉ちゃんに彼氏がいたと知ったら、驚きはするだろう。


けれど、怒ったりとかはしない。


むしろ、相手の男性を崇拝したい気持ちで満たされること間違いなしだ。





私はこの事態がよく分からず、交互に2人を見た。


「清香、ちょっと落ち着いてくれって。」



やっと普通に呼吸ができるようになったらしい、悠希さんが清香をソファーに座るように促した。

清香はつり上がった目をそのままにして、しぶしぶ私の隣に座った。



彼は少し困った顔で、私に聞いた。



「えっと…美月、どこから俺に彼女がいるって話を聞いたの?」



「聞いたも何も…6月に悠希さんと映画館で会ったとき、一緒にいたじゃないですか。」




あれは…私が中学時代の友達と映画を見に行った時だった。



映画を見終わって、帰ろうとしたときに悠希さんを見つけて、私が声をかけた。



そのとき、彼の隣に清楚で可愛らしい女の人がいたのだ。



私はデートなのだろうと思って、挨拶だけして帰ったのだが、彼は覚えていなかったのだろうか。




私は悠希さんをちらっと見た。

少しの間、記憶をたどった彼は、思い出したようで、あれか、と呟いた。


私が小さく頷くと、悠希さんはちょっとだけため息をついて、苦笑を浮かべた。



「兄貴、思い当たるふしでも、あるわけ?」


しばらく黙っていた清香がしびれを切らしたようで、悠希さんに聞いた。




「あの日、一緒にいた人は友達の彼女だよ。」



「友達の彼女?」



清香が意味が分からないという風に聞き返す。


私もイマイチよく分からない。



「美月はちょうどタイミング悪くて会わなかったみたいけど、本当は俺の友達と3人で見に行ったんだよ。

…清香、あいつのことだよ。(あきら)の彼女、知ってるだろ?」



清香はそれを聞いて、納得したような顔をした。


きっと、清香はその悠希さんの友人を知っていたんだろう。



テーブルの上のババロアに手をのばしながら、


「なぁ〜んだ。慌てて、損しちゃった。」


と、清香がいつもの調子で言った。



「俺は今、付き合ってる人はいないよ。清香、当たり前だろうが。」


悠希さんは少し呆れたように、清香に言った。




なんだか…私だけ会話についていけてない。



今までの話をまとめると、

映画館には友達、友達の彼女、悠希さんの3人で行っていた。

そして、悠希さんには現在彼女がいないらしい。




それは、つまり…


「私の勘違い?」



「まぁ、簡単にまとめるとそういうことよね。」


清香はそう言って、ババロアを口に入れた。



私は少し恥ずかしくなりながら、悠希さんの方を見た。



「ということだから、安心して、クリスマスは誘われちゃってよ。」


悠希さんは笑いながら、私に言った。



勘違いで、2人を振り回してしまった私は素直にはい、と返事をするしかなかった。




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