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対照的な姉妹  作者: 星流
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予定は狂うモノ

…やっと年賀状、出せたぁ〜。



私は解放感を感じ、ポストの前で一息ついた。



只今、土曜日の昼時だ。



私の当初の予定では、今頃は家で課題をやっているはずなのだ。



冬休みは年末年始の準備のためにあるはずだが、先生達は容赦なく大量の課題を出す。



要領の悪い私は毎日コツコツやらないと、全部終わらないのだ。



だから、頭の中できちんと計画を立てていたのだが、予定は昨日の夜にすべて狂った。




帰ってからすぐに取りかかった、住所の入力。

私は挫折しそうになりながらも根気よく続け、最終的に3時間費やし入力を完了した。



あくまで、私はお姉ちゃんが帰ってくるまでに終わらせたのだ。


だが、お姉ちゃんが帰ってきて、入力が終わったのを報告していたとき、


「美月ちゃん、お父さんと私の年賀状も作ってくれない?」


私よりも機械オンチなお母さんが、まさかのお願いをしてきた。



お母さんがパソコンを使うのは、お姉ちゃんからしたら勘弁してほしいだろう。


パソコンの持ち主はお姉ちゃんだ。


お母さんに使わせたら、データが吹っ飛ぶだけじゃなく、最悪、再起不能になるかもしれない。


大学のレポートのデータもきっと入っているはずだ。




そんなことになったら、火の粉が私に降りかかる。


確実にやつあたりされる。



言うまでもなく、すぐにお父さんやお母さんの年賀状も作るようにと、ノルマが追加された。


親戚や友人、知人にとお姉ちゃん以上に年賀状を書く2人の年賀状の追加は…正直いじめだ。



住所の入力は普通に文章を入力するのよりも面倒だ。



地名や人名がすぐに変換されないし、読み方が分からなくて漢字を探すのにも苦労する。



最終的に文字入力は日付を越えるまでかかった。



「本当に機械に弱いわよね〜。私だったら、美月の半分はかからないのに。」



朝、お姉ちゃんに皮肉を言われた。


ならば、自分でやれ、と心の底から叫びたくなったが、理性を総動員させて我慢した。



成長したな…。私。




私は自分をたたえて、達成感を感じた。




さて、と頭を切り替える。



今、家に帰ってもお姉ちゃんはいない。

大学に用事があるらしく、夜まで帰ってこない。



これから、どうしようか。



せっかく外に出たし、どこかに寄っていきたいなと思う。



課題もしなくちゃいけない、と考えたとき、シャー芯がきれていたことを思い出した。



止まっていた足を動かし、私は書店へと向かった。



◇◆◇◆



家から歩いて20分で行けるこの書店は、品揃えがいい。


文房具と本を眺めているだけで、1時間は余裕に潰せる。



まだお昼ご飯を食べていないが、軽食を販売しているスペースもあり、不自由はない。


買い物は帰る間際にするのが、荷物が邪魔にならなくていい。



まず、話題の新刊コーナーを見に行こう。




「美月?」



私は文庫コーナーへとむかう途中、後ろから私の名前を呼ぶ声がした。


聞き覚えのある優しい男声は久々に聞いたけれど、誰だかすぐにわかった。



去年の今頃…だった気がする。


清香が「兄貴が美月ちゃん呼びって、なんか気持ちわるい。」と意地悪を言って、真に受けた彼は私を呼び捨てで呼び始めた。


今はこんなにも自然に名前を呼んでくれるんだなぁ。



私はゆっくりと振り向いて、彼を見つめた。



私より頭1個分高い身長。


清香と似ている中性的な顔立ち。


髪の毛は黒から濃いめの茶色に変わったが、優しい雰囲気は変わらない。



「悠希さん。」



清香の兄である彼はにっこりと笑い、久しぶり、と返した。




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