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古本の神様  作者:
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第三話:イタズラをしてます


「せんば、さくら…」


 所々漢字が混ざる文章が、メモ帳に浮かび上がっていた。落書きと思っていた印は、謎の人物からの手紙であった。

 全てひらがなで書かれた「せんばさくら」の文字が、やたらと蒼太の印象に残る。

 名前の雰囲気からして、恐らく女性…または老婆、または女の子だろうか。たまに男性でも”さくら”とゆう名前の人がいるので断定は出来ない。

 そして「とある病院でくらしている」と言う部分。病院関係者ならば、”暮らしている”とは書かないと、推理小説をあまり読まない蒼太でも容易に考えることが出来た。つまり、この女性(仮)せんばさくらさんは、長く病院に入院している人なのだろう。

 ならば「とてもたいくつ」という部分にも納得ができる。入院生活が長くてやることが無いためだろう。

 おぼろげながら、”せんばさくら”さんの状況を想像出来た。


「入院患者からの手紙ねぇ…」


 ポツリ、とそう呟くと、一拍置いて蒼太の唇の端がニヤリと効果音が付きそうな具合に釣り上がった。


「おもしろそうじゃん」


 意外と動じてない蒼太は、むしろ楽しそうにこの手紙の存在を受け入れていた。

 元々は暇だから古本市にまで出向いて暇つぶし用の本を買ったのだ。寧ろ、こんな面白そうな出来事と遭遇出来たことは、蒼太にとってはラッキーでしかなかった。

 実は、本に隠された手紙ってなんかロマンチックだな、程度にしか考えてなかったりする。



 ふと、部屋に掛けてある時計を見上げると、まだまだ寝るまで時間が余っていた。

 傍らに置いてある学生かばんから新品のノートを一冊取り出す。今日は、とことんこの本を解読してやろう、と鼻息荒く気合いを入れた。

 解読するのは、高校の漢文の授業に似ている。慣れればもっと早く解読できるだろう。



 今夜はせんばさくらさんのことを詳しく知る夜になりそうだ。
















こんにちは、名前もしらないあなたへ。


じこしょうかいをします。せんば桜、今年でじゅうなな歳になります。


本当ならば、今頃じょ子こうせいをしていました。がっこうには行ってません。


びょうきのせいでずっとびょういんで暮らしています。でも、げんきです。


好きなたべものは、しゅーくりーむです。それがあれば、ごはんさんばいはいけます。





「桜……女の子で…同い年か? 好きな食べ物が、多分シュークリームで……ってイヤイヤ、シュークリームでご飯三杯ってオイオイ…」








こんにちは、なまえもしらないあなたへ


わたしは、基本てきにこしつの病室にくらしています。


一日にかいのけんしんがある以外は、ずっとべっとに寝ているだけです。


正直とっても暇です。てれびもまんがも飽きました。どくしょぐらいしかやることがありません。


でも、わたしには生きがいがあります。それは……いたずらです。







「イタズラ?」









こんにちは、なまえもしらないあなたへ。


やはり、いたずらと言えばタライ落としだと思います。


用具しつからたらいを盗み、ろーぷも自分でよういしました。


どあにタライを仕掛けて、開けたらおちるようにさいくしました。


ふふふ…しばらくはたいくつせずにすみそうです。







「イタズラってこれか!! 」






こんにちは、なまえもしらないあなたへ。


今日はせんせいをしょうかいします。たんとう医のしどうせんせいです。


いつもわたしの体調をみてくれます。だんでぃなせんせいです。


びょういんではイケメンでうっています。でも、わたしは見抜きました。


あの人は…ズラです。カツラです。







「そっとしといてやれよ!!」







こんにちは、名前もしらないあなたへ。


びょうしつの扉のわなをかいりょうしました。とびらをあけるとタライから水が落ちます。


しどうせんせいのしんさつ時間に合わせました。たのしみです。


今度こそはせんせいのズラがおちて、ぶざまな頭皮がさらされるのを激写してやります。


しかし、残念なことに、かかったのはかんごふさんでした。びしゃびしゃでした。


誤算でしたが、したぎがすけて見れたのでよしとします。ちなみに、ぱんつは黒いろでした。


一応、激写しておきました。





「う、うらやま…イヤ、ゲフンゲフン。けしからん。でもありがとう」








こんにちは、なまえもしらないあなたへ。


今日は気分がいいのでそとに出ました。ひさしぶりです。


きぶんがいいので、きんじょの子供とあそんであげました。


でも、最後にはみんな泣きながらかえっていきました。なんでだろ。







「自覚無いうちに子供虐めてるぞコイツ」









こんにちは、なまえもしらないあなたへ。


きょう、へんなおじさんに会いました。いえ、おやじです。


私をやらしい目でみて、にたりと笑います。きしょくわるいです。


きよわな乙女をひわいな目で見るとはいいどきょうです。


特製のさいるいすぷれーをよういしてやりました。覚悟しろえろおやじ。








「いや! まてまてまて!! 実力行使には早くないか!?」







こんにちは、名前も知らないあなたへ。


変しつしゃにさいるいすぷれーをふんしゃしました。


しかし、なんと、へんしつしゃは理じちょうでした。結果からいうと、はやとちりでした。


「わたしにはちゃんと妻がいるわ!!」とおおごえで叫ばれました。


色々あってぱとかーまで来ましたが、ぎりぎりたいほはまぬがれました。








「危なッ!! 色んな意味で」












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