きらきらの指輪とおばあちゃんのおくりもの
りこは小学三年生の女の子です。
去年の冬、大好きなおばあちゃんが天国へ行ってしまいました。
りこは今でも、おばあちゃんのことを思い出すと胸がきゅっと痛くなります。
ある日、お母さんがりこに小さな箱を渡しました。
「おばあちゃんが、りこに渡してほしいって言っていたのよ」
箱を開けると、中には小さな指輪が入っていました。
銀色の指輪に、透明な石がひとつ付いています。
「これ、ダイヤモンドじゃないのよ。ただのガラス玉なの」
お母さんは優しく笑いました。
「おばあちゃんが子どもの頃、川で拾った石なんですって。それを大事にとっておいて、大人になってから指輪にしてもらったの」
りこは指輪を窓際に持っていきました。
冬の光が指輪に当たると、きらきらと虹色に輝きました。
その夜、りこは不思議な夢を見ました。
小さな女の子が川で何かを見つけて、嬉しそうに笑っています。
女の子は石を拾い上げて、太陽にかざしました。石がきらきらと光ります。
「わあ、きれい!」
女の子の声が聞こえました。
その子は、子どもの頃のおばあちゃんでした。
朝、目が覚めたりこは、指輪をもう一度見つめました。
おばあちゃんも子どもの頃、りこと同じように「きらきら」が好きだったんだ。
そう思うと、なんだか嬉しくなりました。
りこは学校へ行く前に、指輪をそっとポケットに入れました。
重いランドセルを背負って玄関を出ると、雪がちらちら降り始めていました。
学校への道で、りこは転んでしまった小さな男の子を見つけました。
男の子は泣いていて、膝から血が出ています。
「大丈夫?」
りこは男の子を起こして、ハンカチで膝をそっと拭いてあげました。
「ありがとう」
男の子は涙を拭いて、にっこり笑いました。
その笑顔が、朝日に照らされてきらきらしているように見えました。
りこはポケットの中の指輪に触れました。
指輪が温かく感じます。
その時、りこにはわかりました。
おばあちゃんがこの指輪を大切にしていたのは、石がきれいだからだけじゃない。
子どもの頃の嬉しかった気持ちや、誰かに優しくしたい気持ちを忘れないようにするためだったんだ、と。
教室に着くと、窓から冬の太陽が差し込んでいました。
りこは机の引き出しに指輪をそっとしまいました。
もう、おばあちゃんに会うことはできません。
でも、おばあちゃんの優しい心は、この指輪と一緒にりこのそばにあります。
それからりこは、誰かを笑顔にできる人になろうと思いました。
おばあちゃんみたいに。
放課後、また雪が降り始めました。
白い雪が校庭をきらきらと光らせています。
りこは指輪をもう一度手に取りました。
ただのガラス玉だけど、世界中のどんな宝石よりも大切な宝物です。
「おばあちゃん、ありがとう」
りこは小さく呟きました。
冬の風が優しく頬を撫でて、まるでおばあちゃんが「がんばってね」と言ってくれているようでした。
指輪はりこの手の中で、きらきらと光り続けていました。
おわり




