◎アプローチ方法(主観)、STEP2
〇STEP2……風邪声
ユージー法の第一関門「風邪声」を本格的に習得していきます。とは言え、STEP1を無事突破できた方ならば比較的容易にコツを掴む事が出来るでしょう。しかしここで肝要なのは風邪声を安定して出せるようになる事。その為には局所の筋肉を鍛える必要があり、主にそのトレーニングが中心となる項目です。地味で退屈なSTEPではありますが、このトレーニングが意外と効果的。後々で殆どの人が「やって良かった」となる筈です。この地道な積み重ねこそがきっと、皆さんの快適な両声類ライフの実現に大きく役立つ事となるでしょう。
※必ずSTEP1で「習得完了」してから進んで下さい(息を強くする以前に、溜息を出すと同時に音が出る感覚を身体で覚える事が肝要です。何なら音を出す事に慣れてから次の段階に進んで貰った方が良いかもしれません)。
①溜息をする際に吐く息の量を増やす。
音が出るようになったら、次第にで良いので吐く息の量を意図的に増やして行って下さい。最初は溜息をつく直前に大きく息を吸い、吐く息の量を少しづつ増やすイメージで大丈夫です。それに慣れてきたら、今度は息を吐く際に勢いをつけて出すようにして行くと良いでしょう(兎に角、回数をこなすようにして下さい。決して焦ること無く、まずはこの音を鳴らす感覚をしっかりと自身の身体に染み込ませるようにしましょう)。
そんな感じである程度喉を鳴らす感覚に慣れて来たら、息を吐く祭、必要な箇所(鳴らし続けて行けば、何処に力を入れれば「音を出し続けながら息だけを強く出来るか」が感覚で分かると思います。これを私は「局所(多分腹筋周りが中心になるかと…)」と読んでいます。この局所に力を入れる事で意識的に強くして行きましょう。
女性の方等は、初めの内は使い慣れない部位を酷使する必要がある為に気持ち悪く感じたり、物凄く疲れたりする事と思います。しかし回数をこなして局所に筋肉がついてくれば、その内に慣れるでしょうし、さ程苦手意識を抱く事無く大きな音を出せるようになると思います。
➁溜息を短く切る
次に「ハァー」と長く出していた溜息を、局所の腹回りの筋肉に力を入れる事で、強く短い息を「ハッ!ハッ!」と出すようにします。この時、息遣いは溜息のままで、息を素早く吐き出すイメージで行うと良いと思います。
別の言葉で例えるなら、運動後の荒い息切れのイメージが近いでしょうか。激しい運動の後に出る「ゼー、ゼー」と言う息切れに該当します。実はこの「ゼー、ゼー」と言う音も風邪声と同等の音になっていますので、息切れをすると同時に喉が鳴る感覚が体に覚えさせられるようになれば、この段階はクリア出来たと考えてよいでしょう。(但し息切れを意識する場合、息が浅くなり息の量も少なくなりますので、普段の息切れ以上に多くの息を使うように意識し、お腹の底から大胆に息を吐くようにしましょう。)
繰り返すようですが、息は豊富に使い勢いをつけながら溜息を吐くことで、それなりに大きい音や強い音が出せるようになるでしょう。この「強い音が出せる」というポイントが男声安定のカギになりますので、ここでは「息切れ」を用いる等で反復練習を重ね、強い音が出せるかどうか入念にチェックする事をお勧めします。
③溜息を使わずに音を出す。
溜息と同時にある程度意識的に強い音を出せるようになったら、今度は溜息をつかず、自然な状態から意識的に音を出すようにして行きます(①の段階である程度強い音が出せるようになって居れば、ここにはあまり苦労する事無く持って行けると思います)。➁が出来ましたら、➁の段階で溜息として出していた息の流れを切り替えます。厳密には下方向に出していた息を、前方向に強く出すようにしましょう(これが新発声法において基本中の基本となる「風邪声」に該当します)。
イメージとしては、溜息の形で下方向に抜いていた強めの息を、今度は喉に直接当てるようにするとよいでしょう。地声を出すのと同様の方向を意識し、息の流れを若干上方向に切り替えると➁以上に大きい音が出せるようになると思います。あまり上方向に向けすぎると音が掠れてしまうので、飽くまでも前方向に強く出す意識を強く持っていれば問題ないと思います。
この時、しっかりとお腹周りの筋肉が使えていないと大きい音が出せないはずです。その場合は何度も反復して見に覚えさせつつ、尚且つ意識的に息の量を次第に更に強くして行くようにして下さい(ここでしっかりと回数をこなすようにして下さい、これが楽に出来るようになっていればより楽に男声を出せるようになります)。そして最終的に、音を出すと同時に喉が痒くなる位にまで強い音が出せるようになったら「習得完了」となります。ここまで来ればもう何も心配はありません、次のステップに進んでしまいましょう。
※リアルな風邪声を出すには?
普段喋っている時の息の量と同じ(ないしは若干多い位の)息の量で風邪声を出しつつ、適量の鼻声を混ぜて喋るとそれらしく聞こえます。喋っていると思た以上に息切れしやすいと思いますが、それで構いません(寧ろそれくらいの方がリアリティがあって良いです)。
分からなければ、一度風邪をひいて声を枯らしてみて下さい。くれぐれも悪用は厳禁です。