◎アプローチ方法(主観)、STEP1
※必ず、最後の「習得完了」の部分まで到達してから次のステップに進んで下さい。基本は大事なので、慌てずじっくり進めていきましょう。
※始めに。
アプローチ方法ですが、まず上の「五大原則」を見て大半の方は真っ先に「欠伸」を思い浮かべると思うのですが、実はこの新発声法は「欠伸」では無く「溜息」を用いてアプローチします(これ、結構盲点だったと思います)。
残念ながら「欠伸」は「鼻口喉の空間を広くとる」事こそ出来るものの、それを全身に力を入れながら行っている為に「全身の脱力」と言う点で条件を満たす事が出来ておらず、実は男声の習得に用いると言う観点からするとあまり相応しくありませんし向いてもいません。なので皆さん、習得の際には「溜息からアプローチする」と言うのを念頭に置いて習得に臨んで頂ければと思います。
さらにこの「溜息」ですが、男声(ダンディ声、ナチュボ)を出す上で基本または基準となる息遣いに該当します。かなり重要な要素なので、しっかりと脳みそに刻み込んでおきましょう。
そして今回ですが、現状最も可能性の高いと思われるアプローチ方法を紹介しようと思います。新発声法を習得するにあたって、それらの過程を四段階(4STEP)に分類する事にしました。基礎は大切と言う観点からも、基本的には各段階でこの「習得完了」の状態に到達出来ましたら次の段階に進むようにして下さい。
〇STEP1……音が出る溜息
ユージー法の第一関門、「風邪声」の習得にあたり押さえておきたい項目です。
「風邪声」の一歩手前まで習得する事で「習得完了」となりますがこれが、一度ここで一早く風邪声のコツを掴んで頂こうと思います。風邪声は男声と直結する代物ですから、ここで得たコツは後程男声のコツを掴むのにも大きく役立つ事となるでしょう。これが出来るようになるだけで、風邪声の習得がグッと近づく筈です。
①溜息をつく。
特筆すべき点は特にありません、普段ついているように口を開いて溜息をついて下さい。息遣いは下方向に向かって、脱力すると同時に息が抜けていく感覚です。息を吐くと同時に、肩を落としながらため息をつくようにすると良いでしょう。
この時、羞恥心や周りの目はなるだけ気にしないようにしつつ、息を吐くと同時にきちんと全身の脱力が出来ているか確認しておいて下さい(ここでちゃんとした溜息をつけるかどうかが重要です、変に力んで「ただ溜息のように息を吐くだけ」にならないように気を付けましょう)。
余談ですが、ここで言う正しい溜息は、「大体2秒弱で息を吐き切ってしまう溜息」になります。もしあまりにも息が長く続く場合には、正しい溜息になっていない可能性が高いです。今一度確認してみて下さい。
②声または音を出しながら溜息をつく。
溜息をつけるようになったら、今度は「ハァー」と実際に声を出しながら溜息をついてみて下さい(物凄く疲れている時など、意図せずとも溜息に声または音が混じることがあると思います。そのイメージです)。この時、息を吐く祭に「意識的に声を出す」のでは無く「無意識に声または音が出る」感覚で行うように気を付けて下さい。
そしてこの時も前と同様、声を出しながらちゃんと溜息をつく際に全身の脱力が出来ているか確認しましょう(コツとしては、重心を落としながら息を下顎に沿って下方向に向かって吐き、どちらかと言えば喉声よりも鼻声を混ぜてやるイメージでやると良いと思います。力んで声を出しているだけになっている場合は、息を吐いている方向が前や上に向かってしまうと思います。飽くまでも「溜息をつく」と言うのが基本の形です。もしどうしても力んでしまうようなら、無理せず声を出さずに溜息をついてみて、その時の息の仕方や向かう方向等を確認するようにしておきましょう)。羞恥心は最大の敵です。
③上を向いた状態で、②を行う。
②が出来るようになったら、一度全身に力を加えて盛大に力ませた後、肩を落としながら上半身の力を一気に抜いてみてください。両手を握り、肩をすぼめ、歯を食いしばり、顔を顰めながら上半身を全力で力ませ、それを一瞬で脱力。それによって無意識に顎関節が外れながら開き、且つ頭の自重によって顔が無意識に上を向いてしまった状態を作って頂ければと思います(ここで周りの目を気にしない方が良いです、思いっ切り脱力してください)。それが出来たら、今度はこの上を向いた状態で②でやったように「声を出しながら」溜息をついてみて下さい(この時息をとりわけ多めに、大胆或るいは大げさに溜息をつくと習得しやすいです)。くれぐれも口から息を吐くのではなく、飽くまでも下顎の両関節の中央付近から息を真下に落とすイメージ、その上で鎖骨の中央付近を振動させるイメージを持ちましょう。
この時に上手く出来ていれば、声が裏返るような感覚と共に意図せずとも喉が鳴って、声の代わりにガラガラ或いはゴァァァと言う変な音が鳴るようになります(録音してみたり傍から聞いてみたりすると、物凄く喉を痛めそうな耳障りの悪い轟音が聞こえます。しかしその音を出している本人は、然程喉に負担をかけず音を出す事が出来ます)。ため息が鼻にかかっていた感覚が殆ど無くなり、代わりに意図せずとも喉が鳴るようになる筈です。この段階に到達出来れば「習得完了」となります(このガラガラ或いはゴァァァと言う音が風邪声の正体です。これは仮声帯を振動させた結果出る音に該当するのですが、これが出せるか否かが新発声法を習得出来るか否かを大きく左右します)。
ここで普通に声が出てしまう場合は上半身に力み(特に顎に注意)があるか、そもそも正しい意味での溜息になっていない可能性が高いです。もしくは、息を吐く方向が上擦っている可能性があります、その場合は真下(下顎の方向)に向かって息を落とすイメージを持って試してみて下さい。またはいっその事、「声を出す」意識では無く「喉を鳴らす」意識だけ強く持ちながら試してみてもいいかもしれません。
また別の可能性として、顎が外れた状態でポジションを作れていない可能性があります。その場合は顎をこれ以上開けなくなる位最大限に開き、そのまま上を向き…その状態で顎周り含め、可能な限り上半身の力を抜いてください。すると同様にポジションが作れると思います。
ただいずれであれ、しっかりと脱力しつつ「溜息をつく」という点を忘れないように行ってみて下さい。もし上手くいかなければ➁をももう一度おさらいしましょう。
※もしどうしても上手く行かない人は「荒い息切れ」を意識して試してみて下さい。STEP2の②にて後述してあります。
※もし風邪声が正しく出来ている場合、顎の筋肉が非常に疲れます。これはダンディ声にも同様に言える事ですが、風邪声の場合、鳴らしていると直ぐに顎が筋肉痛になる事でしょう。これは慣れを重ねたとて改善されるものでは無いので覚悟して頂きたい所存ですが、参考としてチェック項目の一つに加えておくと良いでしょう。