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わたしは……1

作者: ネギ焼き

「ジリリリリリリリリ…」

なんだろう不思議な夢を見ていた気がする。暗い中で、立っていて私の正面に私がいる夢。おかしいのに何も違和感を感じない夢。

あれ?なんで夏休みなのに目覚ましが鳴ってるんだろう。そうだ、今日は友達と遊びに行く約束してたんだ。急いで準備して出かけなくちゃ。


「あいーーーーー!!」

名前を呼ばれて駅前にいた私はそっちのほうを向いた。友達のエリが待ち合わせに5分遅れてやってきたのだ。

「ごめん、ごめんちょっと遅れちゃった。」

「まったく、今日はエリのおごりね。」

「えー、そんなひどいよー、だって今日の朝……」

いつも通りの会話をして私たちは、待ち合わせをした。


「今日はどうする?」

喫茶店に入った私とエリは今日何をするか話し合っていた。

「エリはどうしたい?」

いかにもパフェを食べている女子って感じのエリに私は聞き返した。

「んー、買い物はこの間ほとんどお店まわっちゃったし、今日はこの間言ってた映画でも見に行かない?」

「いいよ、爆弾解体の映画だっけ?」

「そうそう、それとファーストフードの経営物語ね!かなり面白いらしいよ」

「どっちを見ようかな」

「じゃあ今日は爆弾解体のやつがいいな」


映画館についた私たちは、チケットを買って中に入って始まるのを待っていた。

少しずつ暗くなるにつれて私はなぜか不安になっていた。

そして真っ暗になった瞬間私の意識は確かになくなっていた。


「…い!あい! あい!」

「ん?エリどうしたの」

「どうしたじゃないよ?映画終わってからずっと動こうとしないし、次の映画始まっちゃうよ」

「え、うそ!」

「いいから、とりあえず出ようよ」

「うん」


私たちは急いで、映画館を出た。

まだ意味がわからない私はエリに質問した。

「私、映画の途中で寝てた?」

そうだ、きっと寝てしまったんだ。そう思った私はエリに尋ねたが返ってきたのは、予想外の答えだった。

「何いってんの!ずっと見てたじゃん」

「うそ!だって私意識がなかったもの!」

「そんなわけないよ、鈴木さんがリストラされたのは?」

「見てない」

「赤い帽子と緑の帽子をかぶった人たちが活躍したのは?」

「見てない」

「鈴木さんのパソコンがバグで壊れちゃったのは?」

「見てない」

「それじゃ、ほとんど見てないじゃない」

「だから言ってるじゃない、私は初めから意識がなかったの!」

「そんなわけないわ!だって映画始まってからあいニヤニヤしながら周りを見てたじゃない」

その言葉を聞いてから私は急に怖くなった。その映画を見てるのが私じゃない私のような気がして。


青ざめた私を見てエリは私を心配してくれた。

「大丈夫~?夏バテでもしてるんじゃない?今日はもう、あいの家で遊ぼうか?」

わたしは、これ以上外にいる気分でもなくなってのでエリの提案に素直に乗った。


それから私とエリは私の家で楽しく遊んでいた。

そう…あの時が来るまでは




エリは私の体を心配してか、それとも私が今日作ると言っていたお手製カルボナーラを食べたかっただけなのか9時くらいまで家にいてくれた。

エリがそろそろ帰ろうかと言った瞬間にその時は来た。


ブツン…


突然真っ暗になった。そう、停電したのだ。

その瞬間私の中の何かが動きだす気がした。私は、それが怖くてしょうがなかったが、叫ぶしかできなかった。


「いや、いや、いや」

「どうしたの?どうしたの、あい!!」


「いや、いや、いや、いや、いやーーーー」

「あい!!あい!!」


「ヴォ゛ォ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛」


「なに?どうしたのあい?あい!!」




あいが叫んだ瞬間わたしは嫌な予感がして携帯のライトであいを見た。

その表情は、私が見たことのないあいの表情でさっきの声と合わせて私を恐怖させるのに十分だった。

私はあとずさるように、逃げた。私のほうを向いたあいが私は怖くて怖くてしょうがなかった。


私は後ずさって台所の方に逃げた。


「あい!!あい!!あいだよね」



無言で近づいてくるあいに、私は手元にあった鍋とお玉を投げつけて言った。


「あんた一体誰なのよ!!!!」

そこで私が聞いたことのないような声であいだったものは、しゃべった。













「わたしは、 まさかり坂 むたぞう 」

そうしゃべったあと鍋とお玉をキャッチしそれぞれ持って、頭の上で鍋の底をお玉で数回不思議なリズムで鳴らした。


「カーン カーン カーン カーン カーン カン カン カン」



「わたしはあいの……    今は、言うべきではないな」



「では、私と共に来てもらおう」


意味がわからない私はただ小さく丸まっているしかなかった。


その手が私に触れようとした瞬間





バリン!!!!!!!!!!!!!!



家の窓が割れ、何かが家の中に入ってきてまさかり坂?と名乗るやつに飛びかかった。


「ぐわっ」


まさかり坂は、後ろに飛びのいた。


そして私とまさかり坂の間に何かに降り立った。



それは四足歩行でよく見ると猫のような、しかし猫のようでないものがいた。


その猫のようなものは振り返って私の眼をしっかりと見ると、








「BAO!!!!!!!!!!!!!!!」


と意味が分からないことを叫んだ。


私が不思議な顔をしているとその猫のようなものは、


「すまん、すまん。興奮していて間違えてしまった。なにせ人間の言葉をしゃべるのは久しぶりだったのでな。」



わたしは、猫がしゃべるのにも驚きつつも尋ねた。




「あなたは何なの?」




「わたしは、¥^@「@子。仲間からはそう呼ばれている」



「何?よく聞こえなかったわ」



「そうか猫の間の呼び名では人間には理解できないんだな。なら好きに呼ぶがいい。」


「じゃあ…!! 前!! 」


その猫にまさかり坂が鍋で殴りかかっていた。


「雑魚が!!」


そう猫がしゃべった瞬間不思議な力のようなものでまさかり坂は壁まで吹き飛ばされ動かなくなってしまった。


「何?今の力!あいは大丈夫なの?」


「大丈夫。気絶程度にセーブした。これでまさかり坂も、すこしはこりて、おとなしくしているだろう。」


「あのあいは、あいなの?そしてあなたは誰なの?」



「あいについては何も言えない。しかし問題なのはあいではないお前なのだエリ。」


「どういうこと?」


私は全く心当たりがなく聞いてみた。


「変な夢を見ただろう?」


その瞬間私は今朝見た夢を思い出した。


「見た!! いろんな人たちが私を追いかける夢。私はひたすら一生懸命逃げるだけだった。」


今日あいとの待ち合わせに遅れた理由でもある


「その夢のせいというわけではないが、その夢の通りお前はあるやつらに狙われている。私はお前を守るために来た」


さすがに信じられない私は言った

「そんなことを信じろというの?」


「お前の中では猫はしゃべるのか?」


私は何も言えなくなった。


猫はそしてこう言った。


「とりあえず私についてきてもらおう。ついてこないならお前の勝手だがな。それ相応の覚悟はしてもらおう。」


猫は歩き出して出かけようとする。


「こんな状況じゃ、ついていくしかないじゃない。」


私は投げやりにそう言った。


そしてわたしは、こう言った。


「まあよろしくね****」


そういった私に


猫はびくっと振り向いて言った


「何だそれは。まさか私の名前か???」


「そうよ。だってなんとか子ってことは女の子でしょ」


「そうだが。そんなかわいい名前でなくてもいいだろう。」


「好きに呼べって言ったのはあなたでしょ。」


「だが……」


「なによ……」
















「やられたか」


そう言ってあいの体はしゃべっていた。


「次はこうはいかない」





『貴様ではこの程度か、お前に任せていられるか…』



猫とエリが出て行った後に、まさかり坂はどこからともなく聞こえる声を耳にした。


「誰だ」

まさかり坂は叫んだ。


『わたしだ』




「まさか………!!、私に任せてください大丈夫です。次は必ず………」

まさかり坂は慌てだし急に敬語になった。

しかしそのしゃべっている途中で、




「ヴォ゛ォ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛」





まさかり坂は叫びだし、急に脱力したかと思ったが、ベッドの方に歩き出し



枕をつかみ

「わたしは  やみ あい」


バリバリバリ!!!!!

そうして枕を引きちぎった。


『なぜそこで枕を引きちぎるのですか?』

どこからともなくまさかり坂の声がして質問をした。おそらく心の中からしゃべっているのだろう。



やみあいは、どこか少し照れたように答えた。

「わたしを生み出したものの考えなので仕方がないのだ…」



「そんなことより何をしている!!エリを逃がすとは」

照れ隠しのように少し強い口調で尋ねた。


『す、すいません』




「まぁ、あの猫が相手なら仕方がないだろう。次は色んな刺客を送り込んで必ずエリをとらえてやる。楽しみにしているがいいエリよ」




続く(第一部完)

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