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真面目ホラー

またいる

作者: 七宝

 当時、その場にそんな男は居なかった。

 しかし、実際に写っている。撮影した写真全てに、その男が写り込んでいるのだ。


 ただ花が綺麗だね、気持ちいいね、と日常の1枚として撮影したにすぎなかった。当然そこも、その周辺も、なんのいわくもない普通の場所だった。


 それから男はどこに行くにもついて(・・・)くるようになった。


 東尋坊、水族館、スカイツリー、沖縄の海、遊園地、旅館など、奴はあらゆる記念写真に写り込んだ。


 妻は「気味が悪いから捨てよう」と言ったのだが、私は「それでは思い出がなくなってしまう」と必死に止めた。


 先日船に乗った時も写真を撮ろうと言ったのだが、妻は撮らせてくれなかった。捨てないのなら最初から撮らせない、と言うのだ。


 それからめっきり写真を撮ることはなくなった。


 そんなある日、認知症を患っている義母が突然私たちのアルバムを引っ張り出して眺め始めた。


 そして、あの男が写り込んでいる写真を何枚か見ると、義母は目を細め、「この人⋯⋯」と漏らした。


 もしかして、知り合いか?


 そう思っていると、義母は続けてこう言った。


「この人、どこまで行っても同じ服なんやね」


 それから私たち夫婦はなぜかこの男が怖くなくなり、写真をたくさん撮るようになった。

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― 新着の感想 ―
[良い点]  この作品、コメディーかと思ったらホラージャンルでした。  最後のお義母さんの一言に、思わず笑ってしまいました。
[良い点] 顔を見て死んだ知り合いを思い出したかと思ったら…… 主人公夫婦が気づかないぐらい特徴のない服を着てたんだろうのに、義母さん目ざといな(*´ω`*)
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