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流星群の夜に出会った丸い瞳のキミ

作者: りづ


 キミと初めて出会ったのは沢山の流れ星の降る夜の公園だったね。



 この高台にある公園にはその日の流星群を見る為に何人もの親子連れやカップルが集まっていたよね。


 でも、私達の親はそんな空を眺める人達から少し離れて井戸端会議をしていた。


 キミは母親の後ろに隠れて私をその大きな丸い瞳で見ていた。


 私も母の陰からキミを見てドキドキしていたんだ。




 次に会ったのは公園へ向かう小道。


 私の事を憶えていなくて怪しんでいたのか、それとも眩しい太陽のせいなのか、キミは目を細めて僕を見ていたね。


 お互いの母親は軽く挨拶をするだけで、この日は擦れ違っただけだった。


 私はその後、遠離って行くキミの背中を振り返ってボーッと見ていたんだ。


 そんな私を母は置いて先に行ってしまい、私は迷子になるところだった。




 それからも夜の散歩で公園に行くと何度もキミと一緒になったよね。


 時には親達の集まりから少し離れた砂場で子供達だけで遊んだね。


 穴を掘ったり、足で砂を蹴ってお互いに掛け合って全身砂まみれになったりして、目の中に砂が入ってしまって涙を流した事もあったよね。




 そんな楽しい日々が続くと思っていたのに……。



 それは突然だったよね。


 あの日、母達に何があったのだろう。


 よく憶えていないんだ。


 突然、公園に向かういつもの小道で母達は掴み合いの喧嘩になった。


 私もキミもオロオロするだけで何も出来なかったよね。



 

 そして私は引っ越した。


 母とも離ればなれになった。


 新しい家族は私を凄く大切にしてくれ、可愛がってくれているよ。


 でもキミとは会えなくなってしまった……。


 散歩に行く事も無くなった。


 外で遊ぶ事も無くなった。



『キミはどうしているのかな?』


『キミはまだあの公園に行っているのかな?』


 そう考えながら私は窓から外の通りを眺めた。


 もしかしたらキミがそこを通るのではないかと期待しながら……。







 そして月日が流れた。



 私は大きくなったよ。


 キミは格好良くなっているのかな?



 引っ越して遠くになってしまったあの高台の公園。

 

 今日、私は久々に足を向ける。


 それは気紛れだった。


 ただなんとなくだった。


 その日はキミと初めて出会った日と同じ流星群の見える夜だった。



 人が沢山その流星群を見に来ていた。


 家族……恋人同士……その中に見覚えのある綺麗な丸い瞳を見付けた。


 私達は流星群を見る人々から少し離れた場所に座ったね。


 キミはスラッとして格好良くなっていたよ。


 流星群も見ずにお互いの瞳を見つめ合ったね。



 そして私達は体を重ね結ばれた。



 でも、朝になって私を捜しに来た家族に見付かり、また私達は引き離されてしまったよね。


 私はキミと離れるのが悲しくて大声でないたんだよ。



 



 また月日が流れた。


 体に変化が起きた。


 お腹に違和感がある。


 外出が禁止になった。


 また窓からキミが前の道を通るのではないかと思いながら外を眺めて過ごす事が増えるようになっていた。



 そして私はキミの子供を産んだよ。


 キミに似た可愛い黒毛の4匹の子達。


 今は私の乳を吸っているよ。


『キミに会わせたいな……』


『今、キミは何をしているのかな?』


『元気かな?』


 私は今日も窓辺でキミが前の道を通らないか見ているよ。



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― 新着の感想 ―
[一言] また出会えて良かったですね! 一家勢揃いできる日が来ますように。
2021/12/17 16:42 退会済み
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