あなたよりだいじなひと
ゆめと
うつつは
ずれており
目を瞑ればねむるように
今日のうつつはいつもどおり
わたしは歩き
はたらき 銭を稼ぎ
憂い 惑い 厭い
呼吸をし 涙をながし
あなたを愛し 愛されもし
食事をつくり
風呂に入り
酒を飲み
やにわに寝床にもぐる
ねむりをみる
ゆめに落ちる
永い一瞬である
あいまいで
途切れ途切れで
つぎはぎだらけの夜
やはらかに明けて
だれかのために生きようとする
だれがいうでもないのに
今日もしたりがおで生きていく
こんなわたしを
実は好いてほしいのだけど
あなたより
だいじなひとはきっといて
けれどそれは不幸せではない
ふたりでたべる二十円のつまみが
そのことをしっている